表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
458/501

457頁

レナーテさんと共に彼女の家を後にした俺達は、まずは魔法学院に戻る為に帝都を出るために街を少し遠回りしながら歩いている。

帝都は相変わらず人が多く、気配察知スキルを使用してもすぐに監視をしている者を探り出す事が出来ないのが難点ではあるな。

俺1人なら、人通りが少ない場所に行ってしまえるのだが…。


「………」


流石にレナーテさんが一緒にいる状態で、人通りが少ない場所に行くのは良くないだろうと考える。

そうして気配察知スキルで辺りに監視者がいるかどうかを探りつつ、帝都の検問所までやって来る。

今の所、俺達を追って来ている気配はいない様に感じるな。

俺はそう思いながら検問所をくぐり抜けて外に出ようとすると、


「………先生、竜車は使わないのですか?」


レナーテさんが俺にそう質問をしてきた。

彼女のその言葉に、ブルクハルトさんが前に使った様な事を言っていたなと思いながら、確か馬車に比べて相当な速さで目的地に行く事が出来る代物だったはずだ。


「レナーテさんは、竜車を使ってここへ帰って来たんですか?」


こう思うと、皇帝が奴隷に関する命令を出してからレナーテさんが帝都に戻って来るのが早過ぎる。

明らかに馬車で帰って来た訳では無いだろう。

俺がそう思っていると、


「はい、お父様からの手紙は竜車を使って運んでもらい、その竜車を使って帰って来なさいとの事だったので」


レナーテさんが俺の問いにそう答える。

彼女の言葉を聞き、


「なるほど。………レナーテさんの様に竜車を使って魔法学院から家に帰った人もいるだろうし、時間を掛けて家に帰っている生徒もいると考えると、魔法学院に向かって皆と会える可能性は低いかもしれませんね。その際に、どうやって動いたらいいと思いますか?」


俺はクラスの生徒達とすぐに出会える可能性が低いと考え、俺はその件についてはどうやって動いた方が良いかとレナーテさんに問う。

俺の質問を聞き、


「先生がそうやって質問をしてくるのも珍しいですね…」


レナーテさんが意外そうな表情を向けながらそう言ってくる。


「流石にクラスメイトの事は、付き合いが長いレナーテさんの方が知っていると思いますしね。俺が想像した程度よりも、より正確な想定をする事が出来るでしょう。それを考えて行動した方が効率が良いと思いますし」


俺がレナーテさんの問いに答えると、


「それもそうですね。先生よりかは私の方が皆さんの実家のある国の事も聞いていますし、道案内とは言いませんが、近い事は出来ると思います」


レナーテさんが俺にそう言ってくる。

それを聞き、


「では早速、どんどん問題を解決していかないといけませんね」


検問所を通り抜け、いつもの様に近くの森へと移動をする。

しかし、


「…冒険者の仕業か?木々が切り倒されている」

「…おそらく戦争に必要な物資の補充などに使われるのでしょう」


久しぶりに感じる森へと来てみたが、そこは少しだけ今まで見てきた森の風景とは違っていた。

青々としていた草木が刈り取られて、切り株がいくつも見える。

草なども地面ごと掘り返された様子で、土からまだ青い草が出ているのも見える。

事態がゆっくりとだが、確実に動き始めている様子が分かる。

帝都の、皇帝の考え…。

向こうがどの様な戦略を考えているのか、流石に全てを理解する事は出来ない。

ジーグから来るセンジンさん達を帝都に集めた全勢力で迎え撃つのか、それとも途中途中で奇襲を仕掛けて来るのか、そこまでは分からない。

しかし出来る限りの戦略に対応出来る様に、幾通りもの作戦や手段を考えておかないと。

その為には、利用できるモノは全てを利用し協力をして貰う。


「…先生?」

「いえ、少し考え事をしていて」


もしこのまま森の奥まで人の手が迫ってしまうのなら、奥で成長しているマンドラゴラ達は…。

いつから始まっているのかは分からないが、今この状況で森の切り崩しが進んでいる状況を考えて、まだ少しだが時間はある。

それまでに、マンドラゴラ達も出来れば助けてあげたい。

色々と、やるべき事は沢山ある。


召喚(サモン)、カルラ」


俺は思考しながらカルラを呼び出すと、


「グリフォン…。伝説上のモンスター…。やはり本物…」


レナーテさんがカルラを見ながら何かを呟いている。

俺は少しだけ彼女の言葉を気にしつつも、


「さて、では行きましょうか。カルラ、今回は彼女も乗せてあげてくれ。至急向かわないといけない状態なんだ」


俺がカルラにそうお願いをすると、カルラがレナーテさんの事を鋭い眼差しで捉える。

カルラのそんな視線に、


「よ、よろしくお願いします」


レナーテさんが少し緊張した様子でカルラに挨拶をした。


「…ピィ…」


微かにカルラが嘴を開いて鳴き声を発すると、鋭い視線を更に鋭くするカルラ。

まるで、何かが気に入らないと言った様子ではある。

レナーテさんが家族では無いから、背に乗せるのが嫌なのかもしれない。

俺がそう不安に思っていると、


「…ピィィ~」


仕方が無い、まるでそう言っているかの様な声色で鳴き声を出したカルラが、脚を曲げてレナーテさんが乗り易い様に体勢を変えてくれる。

カルラのそんな気遣いに、俺はカルラの背中を数回撫でた後彼女の背に飛び乗り、


「出来るだけ体を踏み付けない様に、飛び乗る感じでお願いします。カルラも女性なので、あまり体を汚されるのは嫌がるので」


俺はカルラの背に乗る際の注意を伝えながら、レナーテさんに手を差し出す。


「分かりました、ありがとうございます」


レナーテさんは俺にお礼の言葉を言いながら手を掴み、勢いよくカルラの背に飛び乗ろうとする。

俺も少しだけ彼女の手を引っ張り、レナーテさんは上手くカルラの背に乗る事が出来た。

レナーテさんが安定して座れている事を確認してから、


「じゃあカルラ、よろしく頼むな。レナーテさんは、振り落とされない様に俺の体にしっかりと捕まっていて下さいね」


俺がカルラとレナーテさんにそう言うと、レナーテさんは返事をして俺の服を掴み、カルラは一鳴きしてからゆっくりと立ち上がり、ゆっくりと歩き始める。

そして徐々にスピードを上げていき翼を広げた瞬間、一気に空へと駆け上がった。


読んでくださった皆様、ありがとうございます!

ブックマークしてくださった方、ありがとうございます!

評価や感想、ブックマークをしてくださると嬉しいです。

誤字脱字がありましたら、感想などで報告してくださると嬉しいです。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ