表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
457/501

456頁

俺の説明を聞いたレナーテさんは、ハッとした表情を俺に見せると、


「…という事は、皆も同じ様に…」

「えぇ、おそらくですが家族から呼び出されているんじゃないでしょうか?状況によっては、家の主の意思に反抗する事が出来ずに、思い悩んでしまっている人もいる可能性があります。レナーテさんの場合は、貴女自身が自分の意思をハッキリと示す事が出来、それをご家族が尊重してくれる人達であった、そして頼りになるかは置いておいて、協力者である俺に会えた事で良い方へと話が進んでいますが、他の人達が必ず同じ結論に至っているとは考えられません。レナーテさんにはまず、彼らとの話し合いを行って貰います。それに関しては、クラスメイト同士の再会程度などで監視の目も欺けるとは思いますけど、次の他の貴族との話し合いについては、監視の目があると想定して動かなければいけません」

「分かりました。しかし先生、私を甘く見ていませんか?」


俺の説明を聞いたレナーテさんが、何故か挑発的な余裕がある笑みを俺に向けてそう言ってくる。

その言葉に今度は俺が首を傾げると、


「先生のお陰で達成する事が出来た魔法学院でのクラス対抗戦。その後私達が実力に満足し、練習を疎かにしたと思っているのですか?そう思っているのなら、先生にその後のクラスでの話をしてあげなくてはいけませんが?」


レナーテさんが俺にそう言ってくる。

彼女のそんな発言に、


「いえ、真面目と言いますか練習熱心な皆さんの事です。あの後も魔法の練習は怠っていた訳では無いでしょう」


俺がそう返すと、レナーテさんの余裕がある笑みから一転して、


「リーゼロッテ先生の力の入り様、先生にも見せてあげたかったです」


一気に当時の事を思い出したのか、瞳から光を無くして浮かべる笑み。

それだけで、彼女達の身に何があったのか想像する事が出来た。

あの人も勉強熱心な人だったのは覚えている、それ故に自分達の新しい可能性を見出して熱がより一層入ってしまったのだろう。

俺は彼女の様子を見ながらそう思い、


「分かりました、ではレナーテさんにはこれからクラスメイト達と会い、彼らの様子と今度の方針についての意思を確認してきてください。その間に、俺はお父さんと同じ様に亜人族に対して友好的な他の貴族達の意思を確認する事をするとしましょう。それの進捗状況でレナーテさんにも手伝って貰います。お父さんも、それで構いませんか?ひとまず、俺とお父さんが先行して危険な役割を担いましょう。貴族間での話し合い、特に当主同士の話し合いの現場と子供のクラスメイト同士の再会でしたら、明らかに向こうの監視は俺達の方を優先してくるでしょうし、ひとまずこちら側に危険な監視者を誘き出す作戦で行きたいんですが…」


レナーテさんと彼女のお父さんにそう確認をする。

俺の言葉を聞いたレナーテさんは分かりましたと返事をし、お父さんも無言ではあるが納得した様子で頷いて返事をしてくれた。

2人の返事を確認した俺は、


「レナリアさんとメイドさん達は、何かあった時にすぐに避難出来る様に必要な荷物の整理をお願いしても良いですか?」


レナリアさんと周りのメイドさん達にそうお願いをすると、周りにいたメイドさん達は主でも無い初対面の俺からの突然の指示に困惑した様子でレナーテさん達の事を見ている。

そんな視線を受けたレナーテさんは、


「先生の言う通り、何か起きた時の事を考えて行動しておくのは悪い事では無いわ。皆、お母様とこの屋敷の事は任せても良い?」


メイドさん達にそう言う。

その言葉を聞いたメイドさん達は、俺の時とは違って彼女の言葉に返事をして即座に行動を開始した。

周りにいたメイドさん達が一斉に動き出して、客間から出て行ってしまった…。


「先生、亜人族の皆がいなくなった瞬間に表情を暗くするのはどうなんですか…?」


俺のやる気というか、目の保養が無くなってしまった客間の様子に、俺の表情は相当変化していた様だ。

レナーテさんが、ジトーッとした目を俺に向けてそう言ってくる。

そんな彼女の視線を受け、


「…まぁ、色々とこれからやる事があるので、皆さん動きましょうか。レナーテさんはこれからどんな感じで動きます?」


俺は彼女の視線から逃げる様に、話題を変えて彼女がどう動くのか質問をする。

俺からの問いを聞き、


「そうですね。まずは一度学院に戻って、皆さんにも同じ様な命令が出て、どの様な決断をしたのかを聞いてみます。勿論、私の家の方針と先生の協力を得ている事を説明して、協力出来る事をしたいと考えています」


レナーテさんは俺に向けている視線を止めて、真剣な表情で俺の問いに答えてくれる。

それを聞き、


「分かりました、では俺とお父さんはレナーテさんに監視の目が行かない様に、目立つ様に行動して貴族と話し合いに行きましょう。お父さん、これからすぐに会う事が出来る人に心当たりはありますか?」


俺がそう質問をすると、レナーテさんのお父さんは少し考え込む様子を見せる。


「いるにはいるが、それでも約束も無しにいきなり会う事は失礼になる。即座に動きたい気持ちは分かるが、今日の所は動く事は出来ない。…心当たりのある者達にはすぐに会う約束を取り付ける」


レナーテさんのお父さんはそう言って立ち上がると、客間を出て行く。

…仕方が無い、今日の所は俺にする事はあまり無い。

この後移動をするレナーテさんの送り迎え、それと彼女の周辺に潜んでいる可能性がある監視者の存在を確かめる事くらいか…。

俺はそう思いながら立ち上がり、


「ではレナーテさん、お父さんの方はお任せするしか出来ないので、俺は貴女を安全に魔法学院に送る事くらいしか出来る事が無さそうなので、移動しましょうか」


そう彼女に声を掛けると、


「分かりました。お母様、それでは行って参ります」

「気をつけて。先生、娘をよろしくお願いします」


レナーテさんが立ち上がって、レナリアさんにそう挨拶をして、レナリアさんが俺に頭を下げてそう言ってくる。

その言葉に俺は、


「レナーテさんの事は、任せて下さい。レナリアさんも、準備をお願いします」


そう返した後、レナーテさんと共に客間を後にした。


読んでくださった皆様、ありがとうございます!

ブックマークしてくださった方、ありがとうございます!

評価や感想、ブックマークをしてくださると嬉しいです。

誤字脱字がありましたら、感想などで報告してくださると嬉しいです。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ