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レヴィさんの言葉を聞いた俺は、確かに彼女なら海の底まで行ける事は容易ではあるだろうけど、反乱に協力して欲しいとお願いをする俺が直接出向かないのは失礼になるのではないかと考えて、レヴィさんの言葉に素直にお願いをする事が出来ない。
俺がそう思っていると、
「…海の中での移動方法は大体予想がつきます。しかし移動距離を考えると息が続かない、そこでどうしようかと考えている訳ですか…」
ウンディーネさんが俺にそう言ってくる。
彼女の言葉に俺は顔を向けつつ、
「はい、流石に協力をお願いする立場の俺が直接出向かないのは失礼だと思うんですよね。向こうにわざわざこちらに出向いて貰うのも申し訳ないですし、だからと言って俺が行かないのは失礼ですし、今色々と考えている所です」
苦笑しながら答えると、彼女は少し考える様に手を頬に当てて首を僅かに傾ける。
何を考えているのだろうかと疑問に思いつつ、俺は更にこれからの事を考える。
あまり長い間ここで悩んでいても時間を無駄に使ってしまうだけだ、ならば考えながらも他の準備をしていくのが時間を無駄にしないで済むし、何かしらの情報を得たり解決策が思いつくかもしれない。
俺がそう考えていると、
「…ハァ、少しの間、お時間を貰ってもよろしいですか?」
ウンディーネさんが溜め息を吐いて俺にそんな事を言ってくる。
だが、突然の申し出に彼女が何を考えているのか分からない俺は、
「それは、まぁ構いませんけど…。どうしたんですか?」
彼女に質問をする。
俺の質問にウンディーネさんは、
「私の方で連絡を取ってみます。人族がいきなり海の底へ行くのも、向こうからしたら恐怖でしかありません。ここは向こうの者達の事を考えて、同じ亜人族が使者として赴いた方が良いでしょう」
俺にそう進言をしてくる。
彼女の言葉を聞き、俺は確かにと同意してしまう。
失礼が無い様にと考えていたが、向こうの人達からしたら突然の人族の来訪に警戒してしまうだろう。
それを考えて、ウンディーネさんがまずは向こうの人達の元へと行き、状況の説明などを行ってくれるのだと思う。
「そう…ですね。人族である俺が直接、突然赴いたら今回の様に警戒されてしまうと思いますし、ここはウンディーネさんにお願いしても構いませんか?」
俺はウンディーネさんに頭を下げて協力してくれるかとお願いをすると同時に、彼女も忙しい身である事を知っている故に大丈夫なのかと心配をしてしまう。
俺のそんな質問の意味を感じ取ったのか、
「大丈夫です、それにこのまま静観するのはこれから協力をしていく者同士としては、あまりにも貴方に任せ過ぎていると思っただけですし、貴方には貴方にしか出来ない事を。私には私にしか出来ない事を、互いに補っていく事が効率的だと判断しただけです。決して、気を許したとかそういった事では無い事を先に伝えておきます。くれぐれも、これからも私達の機嫌を損ねない様に気をつけて行動をして下さい」
ウンディーネさんが俺に注意?の言葉を伝えてくる。
しかし、
「ありがとうございます、助かります」
それでも、彼女の助けがあるだけで俺の悩みが無くなる。
つまり、まだ頭を悩ませて立ち止まる事が無くなるのだ。
俺のお礼の言葉を聞いたウンディーネさんは、はいはいと大して気にした様子も無く俺の言葉に返事をすると、
「聞いていたわよね?私は明日にでも、レヴィと共に底の方に向かうわ。それまで留守をお願いするわ」
ウンディーネさんが上の方を見てそう報告をする。
彼女の言葉を聞いたセイレーン達は、
「はいはーい」
「ここは任せて、頑張ってね」
気軽に返事をする。
その様子に、ここはそれだけ安全な場所なのだろうと察する。
さて、ではこれで俺がここに居続けるのも他の人に申し訳無い、話し合いは終わったからすぐに退散するか。
俺はそう思うと、
「話し合いに応じてくれてありがとうございました。と言っても、俺が押し掛けた様なモノなんですけどね…、申し訳ないです。でもとても良い話し合いが出来たと思います。改めて、ここにいる皆さんに信頼を得られる様に頑張りますので、今度ともよろしくお願いします」
ウンディーネさん、レヴィさん、セイレーンさん達、そして建物の奥にも聞こえる様に挨拶をすると、俺は振り返って建物から出ようとする。
そんな俺に、
「送る」
レヴィさんが俺の服を掴んでそう声を掛けてきてくれる。
そんなレヴィさんの様子を、ウンディーネさんがやれやれと言った表情をして見ている。
…わざわざ断るのも申し訳無いし、ここは素直にレヴィさんに甘えるか。
「よろしくお願いしますレヴィさん」
「うん」
俺がお願いをすると、レヴィさんは俺の言葉に頷いて歩き出す。
服を掴まれているから、ズンズン進んでいくレヴィさんに引っ張られる形で建物を出た俺は、レヴィさんに少し待つ様に言われて、海に飛び込んだ彼女の様子を窺う。
少しして、レヴィアタン本来の姿に戻ったレヴィさんの背中に乗り、俺は島を後にした。
道中は少しだけ、特に巨人族の男性とセイレーンさん達の反応に不満そうだったレヴィさんであったが、それは仕方が無い事だという事を説明し、それくらい警戒心を持っている方が大陸では当然だという事も教えておいた。
もしも今度、レヴィさんが1人で大陸に行ったとすると、絶対に何かしらの問題に巻き込まれてしまうと考えた。
亜人族云々では無く、単純にレヴィさんは人の姿をしている時は可愛らしい見た目をしている。
それにプラスして、彼女はあまり人を信用するとかしないとかで考えていないのだと思う。
そういった無垢な彼女に、悪い事を企む者などたくさんいる。
俺も、それに含まれていると言っても過言ではないし…。
それを踏まえて、俺はレヴィさんにもう少し警戒心を持つ事を提案したが、彼女はあまり分かってくれない様子だった…。
しかしウンディーネさんにも同じ様な事を言われていたらしく、善処をすると言ってくれた。
そうしてレヴィさんにジーグまで送ってもらった俺は、彼女にお礼を言って別れた。
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