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ウンディーネさんのそんな言葉を聞いた俺は、


「詳しく聞かせて下さい」


少し前のめりになって、彼女にそうお願いをした。

俺のそんな様子に少しだけ気後れしたのか、それとも単純に俺に近づかれるのが嫌だったのか、ウンディーネさんはやや背中を反る様にして俺から距離を取ると、


「私達は比較的に海と陸で交互に生活をしているのですが、彼女達は私達とは違って深い場所で海上には基本的に出ない生活をしています。海の外に出る必要が無いので、人族に関しての危機感もあまり持ってはいませんが、警戒心はしっかりとあります。…正直、ダーヅウィット以上に住処を離れるつもりもない者達ですね。それに、出る必要が無いのも理由としてはあります。わざわざ深い海の底に来る物好きなど、人族ではいませんから」


俺の問いにしっかりと答えてくれるウンディーネさん。

その言葉に、


「その物好きに、貴重な情報を流してしまった訳ですね」


少し自信が漏れ出している声を出して反応してしまう。

まだこの近くに、様々な亜人族がいるという事に喜びの感情が溢れて、まずはどうやって交流をしていこうかと考え始めてしまう。

しかし今はウンディーネさんやセイレーン達との大事な話し合い、今は何とかこちらの話に集中しなければいけない。

俺は気を取り直して、


「んんッ!今はとりあえず、その海の底で暮らしている人達が何故海の警護に良いと思うんですか?ウンディーネさんの話の内容的に、あまり海上に姿を出す人達では無い様に聞こえるんですが…」


話題を少し掘り下げて、疑問に思った事を質問する。

俺のそんな問いに対してウンディーネさんは、


「簡単な話です、セイレーン達とは違って戦闘が出来る者が多いんです」


当然だと言う様に、俺の問いにそう答えてくる。

彼女の言葉に、セイレーン達が拗ねた様子でか弱い事をアピールする声が聞こえてくる。

セイレーン達のそんな様子と言葉に、ウンディーネさんは頭上を見上げて瞳を鋭くすると、声を出していたセイレーン達がシーンと静かになる。

ウンディーネさんは静かになったセイレーン達を見た後に、俺へと視線を戻してくる。

彼女の様子を見て、俺は少しだけ背筋を伸ばす。

それ程、彼女の視線は冷たくなっていた。

本気で怒っているのかは分からないが、それでも怒られない様に緊張して言葉を選ぼうという考えが頭に残る。

俺がそう思っていると、


「私やレヴィと同等の強さではありませんが、上にいるセイレーン達よりは戦闘に向いていると思います。彼女達に協力を仰いでみるのはどうでしょうか?」


ウンディーネさんが俺にそう進言をしてくる。

彼女の言葉に俺は、


「とりあえず、挨拶はしに行きたいですね。ちなみに種族はどの様な方達がいるんですか?」


とても気になっている事を質問してみる。

俺の問いに彼女は、


「………マーメイド、スキュラです」


凄く不機嫌そうというか、不満そうな様子で俺の問いに答えてくれる。

マーメイド、まさに海中や海上にいる亜人族筆頭と言っても良い有名な亜人族だ。

スキュラも下半身がおそらくタコの脚、もしくは狼の上半身である亜人族だろう。

想像しただけでワクワクしてくる。


「その2つの種族の人達とセイレーンさん達が力を合わせれば、もしもの場合は人族を撃退出来ますか?」


俺はワクワクとした気持ちを落ち着かせながらウンディーネさんに質問をすると、彼女は頷いて出来ますと返事をしてくれた。

ならば、やる事は決まったな。

今の所、ウンディーネさんとレヴィさんは反乱に、ジーグに協力してくれるつもりだ。

セイレーン達はあまり乗り気では無さそうだが、ウンディーネさんが言った先程の戦闘能力が高いマーメイドとスキュラがいてくれれば少しだけでも協力的になってくれるかもしれない。

巨人族の男性については、あまり期待は出来ないだろう。

しかしそれも仕方が無い、種族を後世に残していくにはあまり危険な事はしたくないだろうし、俺もさせたくはない。

俺はそう考え、


「分かりました。ではこの後、その事についても少し教えて欲しい事があるので話し合わせてください。とりあえず、今は今後のウンディーネさんやレヴィさんの事について、話し合いましょう」


一旦マーメイドとスキュラの話は保留として、今はウンディーネさん達の事について話し合う為に話題を戻す。

その言葉に続いて、


「ウンディーネさんの情報を元に今考えている事は、まずウンディーネさんとレヴィさんにはジーグから大陸へと海の移動をするセンジンさん達の護衛と、辿り着く海岸の護衛をお願いしたいです。センジンさん達と合流した後は、そのまま大陸を移動して欲しいです。もし俺がマーメイドさんとスキュラさん達に協力の許しを得る事が出来た場合は、彼女達と協力してセイレーンさん達には物資などの搬入、怪我人の運ぶ先である海路と海岸の護衛をお願いしたいです」


更に続けて先程まで考えていた作戦を少しだけ訂正して確認をする。

俺の言葉を聞いたウンディーネさんは特に意見は無いのか、ただ頷いて返答をしてくれる。

上にいるセイレーンさん達はやはりまだマーメイドさん達とスキュラさん達の協力が定かでは無い事が不安なのだろう、あまり乗り気では無い様子が窺える。

彼女達に安心して貰える様に、話し合いをしっかりと進めないといけないな。

俺がそう考えていると、


「話し合い、終わった?」


背後からそんな問いをされて俺は振り返る。

そこにはレヴィさんが少しだけつまらなそうな表情で俺とウンディーネさんを見ており、


「今少しだけ話し合いの区切りがついた所なんですよ」


俺はそんな彼女に話しが一旦区切れた事を説明する。

すると、


「…海の底へ向かうの?」


レヴィさんが俺の事を見てそう聞いてくる。

彼女の言葉に俺は、


「はい…と言いたい所ではあるのですが、正直どうやって海の中を移動すれば良いのか考えている状態ですね。水圧的な問題は大丈夫だとは思うんですけど、肺活量的な問題がありまして…」


俺は素直に今直面している問題点を挙げてみると、俺のそんな言葉に対してレヴィさんが、


「私なら、すぐに行ける」


少しだけ胸を張ってそう言ってきた。


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