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レヴィさんの頭まで移動した俺は、大きな声を出してレヴィさんと会話をしながら移動をしている。

移動と言っても、俺はレヴィさんの頭の上にいるだけで実際に動いてくれているのはレヴィさんだけなのだが…。

俺は申し訳なさを感じつつ、


「ふと思ったんですが、レヴィさん達が暮らしているというか、今住んでいる場所は海中なんですよね?流石に俺もきついのですが…」


レヴィさんにそう伝えると、


「私ハ、海中デモ海上デモ大丈夫。ダガ、海中ニ居ラレナイ者モ多クイル。故ニ、誰モ近寄ラナイ場所デ過ゴシテイル」


彼女は俺の質問にそう答えた。

なるほど、確かにレヴィさんやウンディーネさんは海の中とか海上で過ごす事は出来そうだけど、セイレーンなどは海上で生活すると言っても翼を休めないといけないから、どうしても足場がある場所が良いだろう。

そう考えると、彼女達の生活範囲も結構狭いのではないだろうか?

俺がそう思っていると、


「見エテキタ」


レヴィさんのその言葉を聞き、俺は彼女の体を見つめていた視線を何とか海の方へと移す。

レヴィさんが向かっている先に、大きな島が見えた。

岸壁が波で抉れたのか、簡単には登れない様な反り返った崖が目に入る。

全体的には森と言うか、山の様な輪郭をしている。

頂上付近から中腹辺りまでは緑に覆われており、そこからは岩肌がさらけ出されており色合いは濃い灰色に見える。

まだ遠くの位置故に、ハッキリとした様子は窺えない。

しかし、目の前に広がる雄大な海の一点にそんな島があると、より一層その島が目立って見える。


「あの島に、人族が来る事って無いんですか?」


俺が島を見ながらそう質問をすると、


「ココマデ来ル事ハ滅多ニ無イ。近クニ人ガ住ム場所ハ無ク、私達ガイルノデ漁ヲスル事モ無イ」


レヴィさんが俺の問いにそう答えてくれる。

それを聞いた俺は、確かにここまで危険を冒してまで来るメリットは、人族側からしたら無いだろうなと考える。

ある意味では、ここが亜人族にとって一番安全な場所なのかもしれない。

そう考えている内に、徐々に島へと近づいて行く。

すると、俺は島の様子がおかしい事に気がついた。

遠くから見えていた島は普通だったが、近くに来てよく分かった。

緑で覆われている、森などを想像していた岩山などでは無かった。

山だと思っていた島は、山など存在していなかった。

岩山だと思っていたモノは、建物の屋根。

明らかに人工的に作られた建物に、おそらくコケやそれこそ木や草などが生えている。

人族どころか、亜人族ですらこのサイズの建物はあまりにも大き過ぎる。

だが、俺はあの建造物に見覚えがあった。

ジーグにもあった、俺の体の遥か数倍はあった建造物を。


「レヴィさん、あそこにはレヴィさんやウンディーネさん、海の亜人族以外にも人が住んでいますか?」


俺は少しだけ希望を込めた気持ちを込めつつ、レヴィさんにそう質問をする。

俺の質問を聞いたレヴィさんは、


「男ガ1人。女ガ2人イル」


そう答えてくれた。

それを聞いた瞬間、俺は何と表現したら良いのか分からないが、達成感の様なモノを感じる。

俺の想像では、あの建物には亜人族の他に、巨人族が住んでいると思う。

ジーグでは見つける事が出来なかった巨人族を、思わぬ所で見つける事が出来た。

ジーグで一度諦めた故の、この大きな喜び。

是非とも、ゆっくりと話がしたいものだ。

そうして考えていると、島の方からセイレーンが数人飛んでくるのが見える。

おそらく、レヴィさんの迎えに来たのだろう。

俺がそう思っていると、レヴィさんと俺に近づいてきたセイレーン達が俺の姿を見た瞬間、


「レヴィッッ!?」

「人族ッ!」

「レヴィが操られてるッ!?」


セイレーン達は敵襲かと想像したのだろうか、悲鳴を上げて島の方向に一気に帰って行ってしまった。

彼女達が驚くのも無理はないが、せめて話だけでも聞いてくれれば…。

俺はそう思いながら、


「…レヴィさん、後を追いかけて大丈夫ですかね?このまま俺が貴女を操ったという認識であの島まで行ってしまったら、マズい事になるんじゃ…」


レヴィさんにそう聞くと、


「大丈夫、問題無イ」


レヴィさんは特に気にした様子は無く、泳ぐスピードは変わらずにどんどん島へと近づいて行ってしまう。

そうしてレヴィさんの上に乗っかった状態のまま島へと到着してしまう。

島の近くまではレヴィさんが泳いで、そこからはジーグにいた時の様に人の姿へと変身して島へと入る。

俺も彼女の後ろを付いて行くと、


「大きいですね…」


山だと思っていた建物の大きさに、俺はレヴィさんにそう声を掛ける。


「当然、中に住んでいる人が大きいから」


レヴィさんは俺の言葉に当然の様にそう言い返してくると、付いて来てと言って歩みを進める。

俺もそんな彼女の後を、少し心配しながらも付いて行く。

海岸からすぐに、建物の奥へと続く入口。

島の全体像が見えていないから、正確な事は分からないが、ここまでギリギリの面積まで家を建てているという事は、食料とかはどうしているのだろうか?

この建物の奥に、作物などを作る庭などの空間があった様には見えなかった。

俺がそう思っていると、


「卑怯者ッ!よくもレヴィをッ!?」

「レヴィをどうやって操っているか、聞き出すのよッ!奴だけの力なら、まだどうにか出来るかもしれないわッ!」

「早くレヴィを解放して、人族を海に叩き落とさないと!」


建物に入る瞬間、建物からセイレーン達が体を武器にした突撃を仕掛けてきた!

俺は襲いかかって来るセイレーン達を避ける為に足に力を入れた瞬間、


「駄目」


レヴィさんの、レヴィアタンの威圧が辺りを支配する。

体全体が重くなる様な、怠くなる様な錯覚に陥る。

彼女の威圧スキルを受け、セイレーン達はその場で翼を羽ばたかせて急停止をする。

静寂、誰も動かずに声を発する事も無い空間で、


「皆、ただいま。紹介する、ヴァルダ。面白い」


レヴィさんが俺の事をそんな紹介をしてくれる…。

面白いで、信用されないと思うんですけどレヴィさん?

俺がそう思っていると、


「小さき者だな、しかし我らと同じ姿をしている。レヴィアタンの言う通り、面白いかもしれん」


建物の奥から、叫んでいる訳でも無いのに耳を塞ぎたくなる程の声が響いた。


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