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434頁

レヴィさんは焼き魚が来た瞬間、それを豪快に手で持って頭から齧り付いた。

その豪快な食べ方に、俺は苦笑しつつ彼女と同じ様に…とは流石に出来ず、俺は普通に食べていく。

その際に、レヴィさんは細かく食べている俺の様子に何か思う事があるのか、ジッと俺の事を見つめてきたのだが、結局彼女は何も言わずに焼き魚に集中していた。

そうして食事を済ませた俺は、食事代くらいは出せる事を伝えて料金を払い、レヴィさんと共に外へと出る。

食事を済ませたレヴィさんは満足したのか、食事処から出たレヴィさんは、


「明日、海まで来て。案内する」


俺にそう言うと、来た道を戻って行ってしまった。

どうやら、本当に焼き魚を食べに来ただけだった様だ。

陽も傾いては来ているし、バルドゥと竜人族の男性の話ももう終わっているか、別の話題になっているだろう。

俺はそう思うと、集会場に戻る為に歩き出す。

町を後にし、森を通り抜けて集会場へと戻って来ると、


「おかえりなさいませ、ヴァルダ様!」


集会場の外で敬語をしていたバルドゥが俺に気がついて、挨拶をしてくる。


「ただいま、何か問題は無かったか?」


俺もバルドゥに挨拶を返すと同時に、何か異常は無かったかと質問をする。

俺の言葉を聞いたバルドゥは、


「特に問題はございませんでした。………おや?」


俺に報告をしてくると、俺を捉えていた視線が俺の後方に移動して声を出す。

その声に俺は後ろに視線を向けると、


「センジンさん、どうしたんですか?」


何故か凄く疲れている様子のセンジンさんが、俺が通ってきた道からやって来るのが見える。


「お、おぉ…。少し話し合いが長引いちまってな…。というか、色々と難しい事を言われて頭がぐわんぐわんするんだわ」


俺の問いにそう答えたセンジンさんは、覇気が無い表情で苦笑いを向けてくる。

どうやら、ウンディーネさんとの話し合いで何かしらの問題か、それこそ彼女の言葉が難しすぎて理解出来なくて神経を使ったのかもしれないな。

俺はそう思い、


「お疲れ様です。なら、屋敷でゆっくりとしていた方が良いんじゃないですか?」


彼の事が心配でそう提案をすると、彼は俺の言葉を聞いて顔色を悪くして、


「まだ話し合いは終わって無くてな…。ウンディーネには、俺の家に泊まってもらった。流石に、延々と難しい話は俺には出来ねぇ…。男と俺がいたら羽を伸ばしてゆっくりと休めないだろうと気遣って、何とか逃げて来たんだ…」


そんな説明をしてくれた。

…そこまで、センジンさんを悩ませる様な事があったのだろうか?

俺と会った時には、あまりそういった問題がある様な様子を見せなかったが…。

…それもそうか、まだ信用していない者に弱い姿を見せる訳にもいかないもんな。

俺はそう納得し、


「じゃあ、今日もセンジンさんは竜人族の皆さんと?」


彼にそう聞くと、センジンさんはまるで懇願する様な表情で頷いてくる。

そんな様子に、俺は苦笑しながら、


「まぁ、彼らが許してくれるのなら良いんじゃないですか?」


そう言うと、センジンさんは縋る様な表情で集会場へと走り入って行った。

…中から困惑した様な声が聞こえて、俺は竜人族の皆さんも大変そうだなこれはと思いながら、


「バルドゥ、今日はありがとう。明日からまたよろしく頼む。短いが、ゆっくりと休んでくれ」


俺はバルドゥにお礼を言う。


「光栄のお言葉です。ヴァルダ様のお気遣いに感謝します、ありがとうございます。お言葉に甘えさせて、今日はゆっくりと休ませて貰います」


俺の言葉に、バルドゥは凄まじい感謝の意を込めた言葉を伝えてくるのだが…。


「そこまで感謝される事は言っていないんだがな。本当に助かったと思っているからな。バルドゥ、帰還」

「失礼します!」


俺が出した黒い靄に入っていくバルドゥを見送り、俺はセンジンさんの後に続いて集会場の中へと入って行く。

集会場の中へと入ると、落ち込んでいる様子のセンジンさんに竜人族の皆さんが困惑している。

流石に、センジンさんを彼らに任せるのは酷だなと察した俺は、


「ほらセンジンさん、皆さんが困惑していますから。ウンディーネさんの話は一回忘れましょう。あの人は元々参謀として動いている様子ですので、俺達みたいな先に行動するタイプとは考え方が違います。あらゆる可能性を想定し、それに対する行動を考えているんです。センジンさんとの話し合いがどの様な状況かは知りませんが、彼女もある程度想定していた事でしょう。明日にはおそらく、センジンさんでも理解出来るくらい分かり易く説明などをしてくれますよ」


センジンさんを慰める様に声を掛けると、周りの竜人族の男性陣がハイシェーラさんも難しい話をして、理解出来無い事があると言い合ってセンジンさんを励ますのに力を貸してくれる。

やはり大人数を指揮するのに、頭の良さは重要だよな。

それに比べて、俺はあまり頭が良くは無い。

所詮俺が思いつく可能性は、ウンディーネさんなどの参謀からしたら簡単に想定される程度のモノでしかない。

やはり、ウンディーネさんやハイシェーラさんの力は必要だ。

彼女達の考えは、俺には無い可能性を想定している。

その力を借りる事が出来れば、ジーグの反乱はもっと成し遂げられる可能性が上がるだろう。

ハイシェーラさんもウンディーネさんも反乱に協力的ではあるのだが、ハイシェーラさんとは違ってウンディーネさんは俺との共闘はあまり好ましく思っていないだろう。

それをどうにかしないとな。

俺はそう思いつつ、頭を悩ませているセンジンさんを竜人族の皆さんと話しながら時間は過ぎていき、昨日とは違って竜人族の皆さんと共にセンジンさんと一緒に夕食を作って一緒に食べる。

そうして俺は明日に用事が出来た事をセンジンさんに伝えると、彼は自分も明日は今日の続きの話し合いだと、ウンディーネさんとの話し合いの事を思い出してまた表情が暗くなってしまう。

あぁ、またセンジンさんが落ち込んでしまう。

俺はその様子に、竜人族の皆さんと一緒にセンジンさんを慰めながら時間は過ぎていった。


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