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430頁

手の平に2人の妖精さんを乗せた俺は、


「初めましてですよね?俺はヴァルダ・ビステルと言います」


まずは自己紹介をする。

俺の自己紹介を聞いた2人の妖精さんは、


「えっと、初めまして。トニエラと言います」

「初めまして、私はフィロッタと申します」


優雅に一礼をしてから俺に自己紹介をしてくれる。

未だに緊張している様子ではあるが、これは仕方が無い事だろう。


「よろしくお願いしますね。それで、今日は女王様にお会いになりたくこちらへ来たのですが、今はいらっしゃいますか?」


俺がそう質問をすると、トニエラと名乗った妖精さんが、


「申し訳ありません。カトリナ様は今日、国の周辺を見回ると同時に異常が無いかの視察をしに国の境界まで出ております」


頭を下げてそう説明をしてくる。

女王も大変だな、色々とやる事が多いのだろう。

センジンさんも、よく町の皆にお願いをされて動いている事がある。

そういった面では、やはり上に立つ者の義務なんだろう。

…一応俺も、上の立場ではある気がするのだが、結構色々な者に任せてしまっている…。

やはり、俺ももう少しちゃんとしなければならないな。

俺はそう思い直しつつ、


「謝る必要なんて無いですよ。今日は俺が何の連絡も無しに突然来た様なものですから。カトリナ女王様には、帰って来た時にでも俺が来ていた事を話してくれるだけで十分です。それと伝言をお願いしたいのですが、構いませんか?」


トニエラさんにそう言うと、彼女とフィロッタさんが何回も頷く。

彼女達の頷きを見て、


「妖精の国の外、ジーグで少し問題が発生して事態が少し早まる可能性が出てきました。カトリナ女王様を含めて、妖精の国の皆さんには今すぐに行動をしていただく必要はありませんが、少しだけ心の準備をお願いしたいです」


俺が女王に伝えたい事を話すと、2人は少し戸惑った様子で俺の事を見てくる。

女王の事だ、反乱に参加する事は彼女達にも伝えているはず。

おそらく、俺が不安を煽る様な事を言ってしまった所為で、より不安感が強まったのだろう。

俺はそう思うと、


「安心してください、何もすぐに行動を開始する訳では無いので!ただ、問題がこちらの方でも沢山あって、正直これから妖精の国に訪れる事があまり出来無くなる可能性があるんです。そうすると、次に俺がここへ来た時には女王様や、女王を護る人達にも心苦しいですが少し話し合いに参加して欲しいので、ジーグへ出て来て欲しいと思ってるんです。ですので、そんな事があり得ますから、心の準備をお願いしたいと思ってるんです」


彼女達にもう少しだけ詳しい説明をする。

それを聞いた2人は俺の言葉に数回頷き、


「分かりました、その様にカトリナ様にはお話を通しておきます」

「…カトリナ様の事、外の世界ではよろしくお願いします」


俺にそう言ってくるトニエラさんとフィロッタさん。

彼女達の言葉に、


「全力を尽くして、カトリナ女王様を、そしてトニエラさんやフィロッタさんを含めた妖精の国の皆さんが安心出来る様にしてみせます」


俺がそう答えると、2人は最後に俺に深々と頭を下げてから失礼しますと言って大樹へと戻って行った。

それを確認した俺は、大樹に背を向けてその場を後にする。

それにしても、まさか女王に会えない場合を考えていなかったな。

しかしこう考えてみれば、確かに女王の仕事なんて沢山あるのだろう。

その合間に、妖精の国の妖精達と外についての話し合いなどをしているのだろう。

俺が女王の体の心配をしていると、先程のゴーレムの元まで帰って来る事が出来た。

俺の気配にやはりジッと俺の事を見てくるゴーレム。


「お疲れ様、俺はもう帰るから、あまり警戒しないでくれ」


こちらをジッと見つめてくるゴーレムに、俺がそう言って苦笑すると、ゴーレムは俺の言葉通りに大して気にしていない様子を見せてその場に立ち尽くしている。

そんなゴーレムに手を振って合図を送り、俺は海岸沿いを通ってジーグへ戻ろうとしていた。

その道中、水平線の方から何かが動いているのが見えて俺はそちらに意識を集中させる。

すると、動いているモノはどんどんと大きくなってくる様子が見え、それが近づいて来ている物体だという事に気がつく。

それと同時に、近づいて来るモノが何かだと察する。

その瞬間、俺は頭で考えるよりも早く、


「クラスチェンジ・騎士(ナイト)ッ!」


スキルを発動して装備を変更、更に即座に装備変更出来る様に準備をしていた盾を装備すると、


「うおッッ!?」


それを目の前に構えて、勢い良く飛んできたモノを盾で防ぐ。

その衝撃に、俺は海岸沿いの砂浜では無いぬかるんだ地面という事もあり、衝撃で僅かに後ろに滑ってしまう。

俺が構えている盾に衝突したモノは、その勢いと俺の盾で受け止めた衝撃で弾け、辺りの地面を更に濡らしていく。

やがて、勢いがあったモノ、水によるビームの様な攻撃が止む。

そうして、


「…生きていたのね、人族」


俺に水を掛けてきた張本人、ウンディーネの………名前は教えてくれなかったから分からないが、レヴィアタンと共にいたウンディーネが俺にそう言ってきた。

そんな発言に俺は苦笑しつつ、


「お久しぶりです。突然水が向かって来て驚いてしまいましたよ」


そう答えると、俺の言葉を聞いたウンディーネは少し鋭くした視線を俺に向けてくる。

そんな彼女に俺は、


「ところで、今日は一体どうしたんですか?」


彼女がどうしてここに来たのかが気になり、俺はそう質問をする。

すると、


「今日と言うより、明日にジーグの代表と話しをする日なのです。…人族は何故こんな所でてくてくと呑気に歩いていたのですか?あまりの気の抜け様に、思わず目を覚ましてあげようと水を掛けてしまいました」


彼女は俺の問いに対して、普通に答えてくれる。

不服そうな表情と、少しだけ見える苛立ち。

彼女が人族に対してあまり良い印象を持っていないのは理解出来る、海の亜人族は過ごし易く自由であると同時に、人族の悪意に最も触れる機会が多いであろう。

だから、彼女の俺に対しての反応は普通の事だとは思うし、それを責めたりなどはしない。

少しでも態度が軟化してくれる様に、信頼される様に行動していくだけだ。

俺はそう思いながら、


「今日は貴女1人だけなのですか?」


更にそう質問をした。


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