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集会場の外に出た竜人族の皆さんが各々に体を伸ばしたり軽く運動をする様に勢いよく動いたり、尻尾を振るっていたりしている姿を見て、


「しっかりとジーグを見ていなかったはずですから、これから見に行きますか?」


そう質問をすると、俺の言葉を聞いた一瞬は喜びに溢れた感情をした竜人族の皆さんだったが、それでもすぐに冷静な判断をし始めたのか、喜びに満ちていた表情が引き締めると、


「いや、それは婆様が戻って来てからにしよう。あの方がいない間にその様な事をしたと知られたら、勝手に行動をした事を咎められ………」


まるで過去にも似た様な事があったのか、とても想像で話している様には見えない。

そして、言葉を一度区切っているのだが、その続きの言葉がとても気になるのだが…。

俺の気持ちを察する事は出来ず、竜人族の皆さんは少し苦笑をしている。

どうやら、重い口調や言葉とは反対に罰は微妙なのかもしれないな。

それについては、あまり詮索しない方が彼らの為なのかもしれない。

俺はそう思うと、


「長を事を考えて行動する。とても良い心掛けだと思います。では、早くハイシェーラさんには回復して貰わないといけませんね」


彼らに笑いかけて、断られた事を気にしていないと暗に伝える。

俺の言葉と表情に、大丈夫だろうと安心したのかほっとした表情を見せる竜人族の皆さん。

それから少しの間だけ、竜人族の皆さんには外の空気を堪能して貰い、その後は集会場に一応戻ってもらった。

そして皆が集会場に戻るのと同時に、俺は次の事を考えて行動する為に何をするのが最重要かと考える。

ジーグの人達のレベル上げはエルヴァン達に任せる、俺も可能であれば手伝う事はしたいのだが、それは俺が今やるべき事では無い。

狭間の町の精気を分け与える事は、今の所アンリと俺、そして狭間の町に連れて来られた人達しか出来ない事、しかしセンジンさんのお陰で彼女達の存在は不安定では無くなってきていると報告をされた。


「最重要…って訳では無いか」


俺は一人事を呟きながら、更に考えを巡らせる。

やはり、今俺にしか出来ない事はジーグの周辺の集落などを訪れて、他の亜人族との交流を深める事だな。

そして、剣聖が向かった帝都の様子を探る事。

この2つが、今の俺にしか出来ない事柄であろう。

よし、考えは纏まった。

ハイシェーラさんの事もある、あまり遠出はしないで数日は妖精の国で女王や他の妖精達との情報交換に勤しむとするか。

俺はそう考えると、集会場に集まっている竜人族の皆さんに一言声を掛けて、基本的には自由にしていて良い事を伝えると、そろそろルミルフル達に説明を終えた頃かなと思い、塔からバルドゥを再度呼び出す。

俺の呼び出しに応じてくれたバルドゥは、既に準備をしておいたのだろうかと思わせる程、早く黒い靄から出てくると、


「ヴァルダ様、ルミルフル様とレオノーラ様にも鍛練について説明をしておきました。お2人共、ヴァルダ様やセンジン様が納得しているのならそれで良いと言って下さいました」


すぐに塔で行動してくれた成果を報告してくれる。

俺はその事に感謝をし、明日にはエルヴァンにも伝えてくれる様にお願いした後、集会場にいる竜人族の警護をバルドゥにお願いをする。

それと同時に、あまり遠くへ行かないとは思うが外に出る事は大丈夫だという事を伝えて、外に出たいと言われたら出してあげて欲しいと伝えておく。

俺の言葉を聞いたバルドゥは頷いてくれて、後のここの事はバルドゥに任せて大丈夫だろうと判断すると、俺はこれからジーグの近くにある妖精の国へ行ってくる事を伝えて、もしセンジンさんなどに居場所を聞かれたらそう答えて欲しいとお願いをする。

俺の指示にバルドゥが返事をするのを聞いた俺は、後は任せたと言って集会場を後にして海岸の方へと歩みを進める。

森を歩いて通り抜けて海岸まで辿り着き、更にそこから海岸沿いに歩いて妖精の国を探す。

やがて、


「見つけた」


植物のゴーレムを見つける事に成功した俺は、1人でそう呟いてゴーレムに近づく。

俺の気配を察知したゴーレムは警戒する様に振り返って俺の事を見てくるが、俺の姿を覚えてくれていた様子で特に何かをしてくる訳でも無い。

そんなゴーレムに、


「お疲れ様です。入国しても構いませんか?」


一応の挨拶と質問をすると、ゴーレムは微動だにせずただ沈黙しながら俺の事を眺めてくる。


「………入りますね?」


俺は再度もう一度声を掛けてからゴーレムの横を素通りすると、特に危害を加えられる訳でも無くただ見られているだけで入国する事は出来た。

しかし、流石に背後からの視線が気になるな…。

敵意がある訳でも無く、本当にただ後ろから単純な視線を感じるのは変な感覚だ。

俺はそう思いながら妖精の国へと向かい、大樹の前まで辿り着いた。

今更だが、一応ここは妖精の国の城前。

大きな声で、まるで友達の家に遊びに来た時の様に挨拶をするのはどうなのだろうか?

明らかに、不躾ではあるよな…。

俺がそう思って不安に感じていると、


「ねぇ、見て見て。あの人が来てるよ」

「おっきいね…」

「羽も生えてないね」


大樹の中から、妖精の国の住民達が囁き合いながら俺の事を見ている。

前回来た時に見た覚えが無いから、おそらく何かしらの理由でここにいなかったか、怯えて出て来れなかった妖精達なんだろう。

俺はそう思いつつ、初めて互いの姿を確認した相手に大きな声を出すのはマズいと思い、俺は手を小さく振って合図を送ってみる。

それに反応して、妖精さん達も僅かに手を振り返してくれる。

かわえぇ…。

ほのぼのとした光景にそんな感想を抱きつつ、俺は今度はこっちに来てくれないかと手を振るう。

すると、妖精さん達は互いにどうしようかと相談をする様に顔を見合わせ、コソコソと何かを話し合っている。

そうして少しの間、妖精さん達の様子を窺っていると、大樹から2人の妖精さんが降りてくる。

3人いたのだが、1人は残って様子を窺っている様子だ。

俺はそう思いながら、俺の目の前に降りてきた妖精さん達を手の平に乗る様に促すと、彼女達はペコペコ頭を下げて俺の差し出した手の平に乗っかった。

…かわえぇ。


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