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ブルクハルトさんが馬車から降りると、


「これはこれは大手奴隷館の主、ブルクハルト様ではないですか」


誰かがブルクハルトさんにそう声を掛ける声が聞こえる。

外の音が聞こえる様に耳を澄ましていると、


「おはようございます。今日は大きな出品があると聞いたので、人も多いでしょう?ならばと思って私の館にいた奴隷も出品しようと思ってやって来たのですよ」


ブルクハルトさんが嘘をオークション側の人にそう言っているのが聞こえる。


「大きな賭けに出ましたね~。今日の目玉はあの魔王の娘ですよ、しかも凄い美人ときた!ありゃあ処女とか関係無しに良い値が付くと思いますよ」

「と言う事は、実際に魔王の娘を見たのですか?」

「丁度運ばれて来た時がここの当番だったんですよ。あれの飼い主は、さぞ良い思いをするんだろうなぁ~」


俺がブルクハルトさんとオークション側の人との会話を聞いていると、馬を操っていた御者が檻の鍵を開けて扉を開く。

さて、ここからは奴隷として慎ましく静かにしないといけないな。

俺はそう思いながら檻から出ると、そこには面積が広そうな平屋の建物が堂々と建っていた。

闇オークションと言うくらいだから、もう少しひっそりとしているものだと思っていたのだが、予想とは違っていた。

俺がそう思って建物を見ていると、


「今回の目玉と同じ魔族か?特に珍しい様には見えないけどな」


ラフな格好で門番をしているであろう男性が、俺の事を見ながらそう言ってくる。

人族だと言い直したいのだが、今は奴隷の身分である俺が発言するのは良くないな。

ブルクハルトさんにそこは任せよう。

俺がそう思っていると、


「彼は人族と魔族のハーフですよ。魔族の魔法の力と、人族の知性を持っている珍しいハーフです。税金が払えなかった所為で奴隷になったのですが、戦力になりますよ」


ブルクハルトさんが簡単に俺の説明をしてくれる。

すると、門番の男性がブルクハルトさんの説明を聞いて俺の事をじろじろと見てくる。


「なるほどな。ある意味色々と需要がありそうだ。警備として飼うのも良いし、夫人の玩具としても容姿が良いから値が引き上げられそうだな」


男性はふむふむ…と頷きながらそう言うと、


「分かりました。では奴隷はこちらで預かります。ブルクハルト様はオークション会場か外でお待ち下さい。金はまた後で」


男性はそう言って俺の手錠から伸びている鎖を掴むと、引っ張って連れて行こうとする。


「あまり乱暴に扱わないで下さいね!」


ブルクハルトさんがそう言うと、俺の方を向いてくる。

俺はブルクハルトさんに向かって頷くと、門番の男性に連れられて建物に入る。

中に入ると、一見普通の空間が広がっている。

闇オークションの会場だとは思えないな。

俺がそう思っていると、


「こっちだ」


俺の手錠に繋がれている鎖を引っ張って合図をすると歩き出す。

俺はその行動に抵抗せずに付いて行く。

周りを見ても、俺の様なオークションに出される予定の奴隷の姿は見えない。

いるのは、何かの荷物を運ばされている奴隷達だけだ。

おかしいとは思っていたが、やはりここは表向きは違う事を目的とした場所なんだろう。

でなければ、ここまで闇オークションの闇感が無い。

俺がそう思っている内に男性と俺はどんどん歩みを進めて、建物の奥へと歩く。

そして、1つの部屋の前で止まると男性が扉を開けて中に入る。

鎖の都合上、俺も中へと入っていくとそこには、箱がたくさん並んでいる。

ほとんどの箱が閉められているが、中には上の板が外されている物もある。

チラッとそれを見ると、そこには何かの野菜か果物の実が入れられている。

卸売業みたいな感じか?

俺がそう思っていると、男性が並べられている箱を次々を動かしていく。

俺も変に癇に障らない様に邪魔にならない程度に動く。

すると、最後の箱を動かすとそこには階段が現れた。

なるほど、ここからオークション会場へ行くのか。

俺がそう思って地下へと続く階段を見ていると、


「来い」


男性はそう言って階段を下りていく。

階段は明かりは無く、足元が見えない程暗い。

俺は足を踏み外さない様に気を付けながら階段を下り始める。

まるで底が無い奈落の様に暗い階段を下り、2つの足音がただ響く。

そんな空間に少し緊張していると、少し先に小さな光が見えた。

階段を更に下っていくと光は大きくなっていき、何やら話し声とくもぐった音も聞こえてくる。

そうして光の前に立つと、その光は扉の隙間から漏れ出ている向こう側の空間の光だという事に気づく。

少しボロボロなのか、近くまで来ると扉のあちこちに小さい穴が開いている事が分かる。

俺が扉を観察していると、男性が扉を開けて扉を潜る。

俺も男性の次に扉を潜ると、そこには少し広い倉庫の様な空間が広がっていた。

そして、


「………」

「…ぐす…」

「…チッ」


俺と同じ様にここまで連れられてきたであろう檻に入れられている奴隷達がいた。

檻の周りにも、素人の俺にでも分かる高そうな置物などが置かれており、これから始まるオークションの出品だという事が分かる。

そして更にその奥に、


「~ッ!!…~ッ!」


ガチガチに拘束されている人がいた。

目隠しをされて、猿轡を噛ませられている。

腕は背中に回されて二の腕の部分に革の様な拘束具を付けて、俺の位置からは見えにくいが背中に回されている腕の方にも同じ様な拘束具が肘から少し見える。

脚にも、太ももから何重にも拘束具が付けられている。

どう見ても、彼女が今回の目玉と言われていた魔王の娘だ。

ここまで頑丈に拘束されているのも、今なお付けられている拘束具を外そうと動ける範囲で暴れているからだろう。

それにしても、瞳とか見えないけど綺麗な人だな。

髪は短く切られて前の世界で言うセミショートくらいだろう。

その髪も洗う事が出来なかった所為で少しゴワッとしている。

だが、それでもなお銀に光る髪が美しい。

あれはお風呂に入ってアフターケアをしっかりすれば、もっと華やかに輝くだろう。

俺が魔王の娘を見ながらそう思っていると、


「お前も暴れるんじゃねえぞ。暴れたらあぁなるからな」


男性は俺にそう言って魔王の娘とは別の、他の奴隷達が入っている檻を開ける。

おそらく、ここに入れと言う事だろう。

俺はそう思って中に入ると、檻は閉められる。

すると、


「ん?新しい商品か?」


門番をしていた男性とは全く違う、黒い礼服を着ていた。


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