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「まずは、現状報告を。俺の方では妖精の国の人達とはもう少し込み入った話し合いが必要だとは思うが、それでも反乱については参加の意思を聞く事は出来た。これからも少しずつ話し合いをする為に妖精の国には赴こうと思っている。次に巨人族の集落へと向かったのだが、集落らしき建築物などを見つける事は出来たが、巨人族の姿を確認する事は出来なかった。アンリの方でも話になるとは思うが、狭間の町の人達との話し合いや協力関係を築いていく為には、センジンさん達ジーグの人達の協力が不可避です。その事については、アンリの話を聞いてからの議題になるでしょう。俺個人のこれからの行動については、帝都へ赴いて情報収集をする事が、今の俺に出来る重要な事だと思っています。それと同時に、ジーグから帝都へ行く為の海の渡航を安全なものにする為に、海の者達との話し合いを考えています」
俺の考えを3人の事を順番に見ながらそう話すと、俺の言葉に所々頷いてくれる皆。
俺の説明が終わったのと同時に、今度はセンジンさんが口を開く。
「次は俺が話そう。俺の方は基本的にヴァルダと違ってジーグに留まり、住民達との話し合いと鍛練だろうな。現在は反乱に参加する皆のレベルも大きく上がってきている。これもエルヴァンや、バルドゥにルミルフル、レオノーラのお陰だろう。俺はこのまま、ジーグでのまとめ役としての責務を全うするつもりだ」
センジンさんは今まで通り、ジーグの人達との話し合いとエルヴァン達との町の人達のレベル上げや自身のレベル上げに勤しむ様だ。
ジーグの事に関しては、彼に一任するしかない。
俺や他の者には出来ない重要な事である。
俺達には話せない事なども、センジンさんには話せる事が出来る人達の方が多いだろう。
俺がそう思っていると、少しだけ不安そうな様子を見せるバルドゥの姿が目に入る。
俺はその様子を見て、エルヴァンでは無く自身が報告をしても大丈夫なのかどうかを心配しているのだと察して、
「バルドゥ、あまり気負いはせずに現状の事実を伝えるだけで良い。今エルヴァンを筆頭に、バルドゥ、レオノーラ、ルミルフル達にジーグの人達のレベルの底上げをしてくれている。今のペースで、どれくらいまで平均的に強くさせる事が出来るのか教えてくれるだけでも、十分な報告になる」
俺がそう助言をすると、俺の言葉を聞いたバルドゥは俺の言葉に頷いて、
「分かりました。ではまず、エルヴァン様の代理としてでは無く、私自身が感じた事を話させて貰います事を先にお伝えします。これはエルヴァン様の意見では無く、ただのゴブリンである私の意見だと思って聞いて下されば幸いです。現状、ジーグの人達のレベルは20~50と疎らなイメージがあります。それを一律に同レベルまで底上げするのは厳しいと思います。ヴァルダ様が様々な亜人族との交流を経て、更に種族間のステータスの差が大きく開かれるでしょう。レベル上げを行うと同時に、それぞれの種族に適した方法で反乱に参加する事を推奨したく思います」
バルドゥが俺達の事を見ながらそう言ってくる。
俺が妖精の国の皆に説明した通り、それぞれの特性を活かした反乱の参加を推奨してくるバルドゥ。
それを聞いたセンジンさんは、
「…確かに、皆のレベルが一律に同じ様にするのは難しいとは思っている。しかし、帝都の戦力を考えると少しでも、1人でもレベルが上がっているのが望ましいんだが…」
少し不安そうな様子で、しかしハッキリとバルドゥに言う。
その言葉に、
「確かに帝都の戦力…兵の数は、ジーグの兵力に比べれば遥かに多いと思います。しかし、俺の見立てでは人族の連帯力は、亜人族の連帯力には及ばないと思います。ジーグの連帯力を活かし、工夫をすれば帝都の戦力に十分に渡り合える。しかしそれには、やはり少しでもジーグの人達のレベル上げは重要だ。バルドゥの意見も採用しつつ、センジンさんの意見を取り入れるのが最適でしょう。エルヴァンやバルドゥ達にはとても負担を掛けてしまうが、よろしく頼めないだろうか?」
俺がそう纏めると、バルドゥは少し慌てた様子で、
「も、申し訳ありません!私などの考えなど、ヴァルダ様からしたら既に思考している事!そしてそれに関する解決策も考えているはずであるのに、わざわざもう一度説明をさせてしまい…」
俺にそんな謝罪をしてくる。
俺はバルドゥのそんな謝罪を聞き、
「この場は、自身の考えを皆に伝えてそれについて話し合う場だ。バルドゥの発言は間違っていない。何も謝る事は無いぞ」
落ち着く様に優しく声を掛けると、バルドゥは呼吸を落ち着かせる様に深呼吸をする。
それを確認すると、
「では、次は僕が話をさせて貰いますね。まずは、騎士達の管理が出来ずに殺されてしまった事を謝罪させていただきます。すみませんでした、まだまだあの人達は利用する方法はあったにも関わらず、簡単に殺されてしまって…」
アンリが話しをする前に、今回の騒動の謝罪をしてくる。
その謝罪に、
「いや、今回は想像する事なんか出来なかったぞ。あれは仕方ねぇ」
「あぁ、まさか剣聖がここでは部下として配下に就いていた騎士達を殺すとは思いもしなかった。アンリの所為では無い。もしも誰かに責任があるとするのなら、それは剣聖の異常行動を予想出来なかった俺の責任である。アンリがそこまで気にする事では無い」
センジンさんと俺が、アンリの所為では無い事を説明する。
俺とセンジンさんの言葉に、アンリは何度も頭を下げて感謝の言葉を伝えてくる。
実際、剣聖が部下の精鋭騎士を殺した事は想像する事が出来なかった。
しかし、奴は仲間でもある騎士達を殺した事は確実だろう。
…レオノーラさんがいなくなった帝都で、一番対処が困りそうなのはやはり剣聖だろうな。
姿形が分からない所為で、大した対処が出来る訳では無い。
純粋な戦力での撃破しかないだろうか。
俺はそう考えながら、
「それで、アンリの方の状況はどの様な状態なんだ?」
未だに頭を何度も下げているアンリにそう質問をした。
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