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奥の部屋へと通されると、竜人族の皆さんが大広間で僅かに警戒しながら俺の事を見てくるのだが、扉を通って入って来た俺の事を見て、竜人族の人達は警戒した様子を僅かに和らげた様子を感じた。

そしてその皆の中から、


「随分と待ったぞ、一体今まで何をしていたのだ?」


黄金色に光り輝く、美しい鱗や尻尾が目立つハイシェーラさんが俺に少しお小言の様な言葉を放ってくる。

なるべく早くに来る予定だと言っていたが、俺もまさかここまで日が空いてしまうとは思っていなかったからな。

俺はそう思いつつ、


「すみませんでした。俺の力不足で予想以上に期間が開いてしまい、ハイシェーラさんや竜人族の皆さんが不安に感じていたのなら、更なる謝罪をさせていただきます」


素直に彼女や彼女の周りにいる竜人族の皆にも謝罪をする。

俺の謝罪を聞いたハイシェーラさんは少し驚いた様子でキョトンとした表情をすると、


「そ、そんなに素直に謝罪をしなくても…。私達の関係は対等な協力関係、そんなに畏まった謝罪をされると、私達の方が悪者では無いか」


少し周りの、仲間の竜人族の皆の視線を気にする様にそう言ってくる。

どうやら、彼女なりの冗談を交えた言葉の様だった。

素直に受け取り過ぎてしまったな。

俺はハイシェーラさんの慌て様を見ながらそう思い、


「しかし実際、ハイシェーラさん達を待たせてしまった事には反省をしているのですよ。しかし反対に、待たせてしまった時間以上の成果を、皆さんに献上する事が出来ると俺は思っています。そう言えば、見張りの人達がハイシェーラさんの様子というか、何やら見て貰った方が早いと言う話を聞いたのですが、何か問題でも発生しましたか?」


俺は彼らを待たせてしまった時間以上の成果を、竜人族の人達に見せる事が出来るのではないかと自身を持ってそう伝え、この大広間に入る前に見張りの人達が言っていた事を質問してみる。

俺の言葉を聞いたハイシェーラさんは、うむと俺の言葉に神妙な様子で頷くと、


「実は、頼みたい事があるのだが…」


俺の言葉に、少し言い辛そうに視線を逸らしてそう言ってくる。

彼女の言葉の続きを聞くために、黙ってハイシェーラさんの続きの言葉を待っていると、


「そ、その…。久しぶりに傷が完全に癒えてたから空を飛んでいたのだが…」


ハイシェーラさんが視線を逸らした状態のまま説明を始める。

彼女が元気になったのなら、良かった良かった。

俺はハイシェーラさんの言葉を聞いて安心をしていると、


「それでだな、その際に腰を少し痛めてしまってな…」


ハイシェーラさんがそう説明をした瞬間、俺の目の前に立っていたハイシェーラさんの姿が雷が上に迸る様に雷になって姿を消した。

今話をしていたのは、ハイシェーラさんが前にも見せてくれた分身的なモノだったのか。

俺はそう思い、では本物のハイシェーラさんはどこにいるのだろうかと思っていると、


「こっちだ…」


竜人族の方達、特に女性達に囲まれる様にしているハイシェーラさんが横たわった状態で俺に手を上げて自分の存在を確認させてくる。

そんなハイシェーラさんに、


「近づいても構いませんか?」


俺はそう質問をすると、彼女の周りにいた女性達が少し困った表情でハイシェーラさんに確認をする様な仕草でハイシェーラさんの事を見る。

そんな女性達の様子に、


「構わない」


ハイシェーラさんは少しだけ微笑んだ表情を彼女達に向け、周りの女性達を安心させようとした後に俺にそう言ってくる。

彼女の言葉を聞いて、俺はゆっくりとハイシェーラさんとその周りにいる女性達に近づく。

それと同時に、ハイシェーラさんの周りにいた女性達が俺がハイシェーラさんの元に近寄れる様に僅かに移動をしてくれて、俺はそんな彼女達に感謝を伝えてハイシェーラさんの隣に行き膝を地に付けて覗き込む様にハイシェーラさんの様子を窺う。

しかし、元気になったからと動き回って腰を痛めてしまった…か。

回復出来た事を素直に喜べないな。

俺は心の中で苦笑しながらそう思いつつ、アイテム袋から回復薬と状態異常の回復薬を手にすると、


「これをハイシェーラさんに、ゆっくりと飲ませてあげてください」


近くにいた女性にそう言って回復薬を差し出すと、女性は分かりましたと言って俺から回復薬を受け取ってそれをハイシェーラさんに飲ませ始める。

正直、これで治るのかは不明だ。

状態異常では無いとは思うし、怪我という訳でも無い。

俺も正確な事は分からないが、ぎっくり腰的なモノなのではないかと想像はしている。

それが、回復薬などで治せるのかは分からない。

俺はそう思って、女性の持っている瓶を中身をゆっくりと飲んでいるハイシェーラさんを眺める。

そうしてハイシェーラさんが2本の回復薬を飲み終えると、


「………痛みは僅かに治まりはしたが、それでも動こうとすると辛いのだが…」


ハイシェーラさんは俺にそう言ってくる。

彼女の言葉に、


「流石に俺でもそういう怪我は治せそうにありませんね…。とりあえず、回復薬を飲み続けながら安静にしているのが良いと思いますよ。出来る事なら、そういう専門の治療が出来る人を探しても良いですしね。とりあえず、今は急いでとまでは言いませんが、移動をしないといけないタイミングになってしまったので、完全に安静にとはいきませんが、俺も協力させていただきます」


俺がそう説明をすると、ハイシェーラさんは少し憂鬱そうな表情で、


「あまり痛くはしないでくれよ」


そう言い、


「皆、準備に取り掛かれ」


周りの竜人族にそう指示を出した。

ハイシェーラさんの指示を聞いた周りの皆が返事をし、一気に騒がしく準備を始めていく。

俺はそんな様子を見ていると、どうやら準備と言ってもまとめておいた荷物を持ったりしているだけの様に見える。

そうして着々と準備が終わり、皆個性的というか刺繍の様なモノが目立つ布を包んだりした荷物を背負い、準備が終わった様にまたハイシェーラさんの元に戻ってきた。

思った以上に荷物が少ない、これなら俺がアイテム袋に入れて預かった方が良かったのではないかと思うが、すでに背負っていたりとしている人達にそんな事は言えないなと思い、


「では、今からハイシェーラさんをゆっくりと運びつつ、竜人族の皆様の引っ越しを始めます」


俺はハイシェーラさんの周りに集まった人達に聞こえる様に、少しだけ大きな声でそう宣言をした。


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