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ケモナーサモナー、異世界で奴隷保護をする  作者: 雪羅


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412頁

海の上空から大陸の上空へと移動した俺は、霊峰がある方角をカルラに説明して飛び進めて貰う。

方角を知らせると言っても、少し目を凝らせば遥か彼方に霊峰の姿が少しだけ見えるのだが、それでも説明はしっかりとした方が良いだろうと考えたのだ。

それに、正直本当にあれが霊峰かは自信が無い。

一応、一回だけは行った事があるにはあるが見た感じが上空からと地上からだと感じ方が違う。

地上からだと、霊峰の存在感は大きく威風堂々といった偉大な姿に見えた。

上空からもそれは否定しないのだが、上空からだと霊峰の全体像が見えて少しだけ周りの景色よりも目立つその存在感に、自分の中で違和感の様なモノを感じる。

あぁ、そうか。

いくら偉大に見える霊峰だからと言って、それがこの世界の神を奉っていた場所だという事を知って素直にここが素晴らしい場所だとは思えなくなったな。

むしろ、ハイシェーラさん達竜人族の人達をここから連れ出す事が出来たら、更地にしてしまった方が良いのではないだろうか?

俺はそう思いつつ、


「カルラ、もう少し右側の方に向かってくれ」


カルラに合図を送り、向かう先を指定してお願いをする。

俺の言葉を聞き、カルラは一鳴きをして少しだけ向かっている方向をずらしていく。

そうして、霊峰の上空を飛んでいると、


「ん、あれは…」


霊峰の中腹辺りで、岩肌が露わになっている光景とは違う僅かな動くモノが見えて、俺はカルラに降ろしてくれる様に頼む。

カルラはすぐに、下から見えない様に即座に霊峰の岩肌へと着地をし、俺はカルラのお礼を言ってから塔へと戻して足場が悪い岩肌を歩き始める。

少しだけ歩くと、人の話し声が聞こえて来て俺は息を殺して足音を出さない様に話し声が聞こえてくる方へと歩みを進める。

そうして霊峰の岩肌に無造作に座り、長時間の岩場の移動で疲れている脚を休ませながら気楽に話をしている様だ。

霊峰には、モンスターがいない。

故に、彼らは警戒心などを出しておらず和気藹々とした様子で話しを続けている。


「それで、本当にこんな所にヒト擬きが住んでいたのか?」

「一応、依頼内容にはそう書かれていたな。それに騎士達の話を聞く限りだといたらしいぞ」

「だが、それも全滅したって話だよな?俺達人族に従うつもりが無いって事で、処分されたんだろ?」

「その死体の確認の為だけに、ここまで時間を掛けるのはどうなんだかな~。わざわざ確認する必要なんかあるのかって思うわ」


和気藹々と話をしている内容に、エメリッツが派遣した騎士数名と冒険者である事を察する。

冒険者の中に、うっすらと記憶に残っている顔が何名かいる。

名前などは知らないし、興味も無い。

…ここまで気を抜いているのなら、最悪ハイシェーラさん達が奇襲したら全滅してしまうのではないだろうか?

まぁ、彼らに何かがあったとしても俺には関係が無い。

俺はそう思いつつ、アンジェの指輪を装備して姿を消すとハイシェーラさん達が隠れているであろう遺跡に向かって霊峰を登り始めた。

とりあえず、ハイシェーラさん達に挨拶をして帝都の連中がどの辺りまで来ているかの報告は必要だろう。

彼女達の事だ、霊峰に人族の連中が来ている事くらいは分かっているはずだ。

そして彼らがいる故に、ハイシェーラさん達は身を隠す方法を取りつつも、仕掛けられる時はすぐに襲撃しようと準備もしていると思う。

彼らの様子から、まだ襲撃されている様子は無い。

急いでハイシェーラさん達に会う事が出来たら、彼らを欺いて色々と嘘の情報を帝都に流して事態を混乱させる事が出来るかもしれない。

俺はそう思いつつ霊峰を黙々と登り続けて、ようやく竜人族の方達が住んでいる遺跡が見えてくる。

そう言えば、遺跡の周辺は結界の様なモノが展開されていたはずだが、今はどうなっているのだろうか?

と言うか、アンジェの指輪を装備している俺が展開されている結界を通り過ぎたらどんな感じになるのだろうか?

俺はそう思いながら遺跡の方に向かっていると、ふと前回にも感じた違和感を感じる事が出来た。

どうやら、アンジェの指輪を装備していても結界には反応される様だな。

まぁ、姿を見えなくする効果しか無いから当然ではあるのだが…。

俺はそう思いつつ、少しだけその場で立ち尽くして結界に反応した俺を捕らえたりする為に来るであろう竜人族の方達を待ってみる。

しかし前回とは違ってどれだけ待っていても向かって来る竜人族の方達がいない故に、彼らが今は警戒して遺跡から出て来ないのだろうと考える。

俺はそう思い、待っていても意味は無く俺が遺跡に入る前にアンジェの指輪を外せば大丈夫だろうと考えて遺跡へと更に歩みを進めた。

そうして遺跡の前までやって来るのだが、見張りなどの人達も見えずに古びた遺跡にしか見えない。

しかし、気配察知のスキル発動をすると、遺跡の奥の大広間に竜人族の方達の気配を感じ取る事が出来た。

どうやら、俺のお願いをした事をしっかりと守ってくれている様だった。

俺はそう思い自分の後ろの方向に先程の連中や他の偵察者などが誰もいない事を確認すると、アンジェの指輪を外して姿を現してから遺跡の中へと入って行く。

遺跡の中へと入ると、まずは入り組んだ階段に俺は少しだけ苦戦しながらもなんとかゆっくりと奥へと進む事が出来る。

…この遺跡の内部の構造をもっとしっかりと把握しておけば良かったな。

俺はそう思いつつ、ゆっくりとなりつつも少しずつ奥へ奥へと歩みを進める事が出来ている。

そうしてようやく竜人族の方達が集まっている奥の部屋へと続く道へと辿り着いて歩いていると、


「ん?おっ!」


ようやく、竜人族の見張りをしている人の姿が見えて俺は声を出す。

そんな俺の声に反応して、見張りをしている竜人族の人達が警戒した様子で身構えるのだが、目が悪いのか少しだけ俺が近づいた後に、


「…貴方だったか」

「結界を通ったのは、1人だと聞いている。おそらく、この人だろう」


1人の竜人族の男性が俺にそう言い、もう1人の男性は同じ見張りの男性に確認する様に言葉を伝える。

そんな見張りの男性達に、


「まだ時間は掛かると思いますが、帝都の偵察隊が霊峰を登って来ています。早めの行動をお願いしたいのですが、ハイシェーラさんはいらっしゃいますか?」


俺がそう状況を説明し、ハイシェーラさんがいるかどうかを聞くと、


「…それが…」

「………見て貰った方が早い。それに婆様には許可は貰っている。案内します」


1人の男性は言い難そうな表情をして、もう1人の男性が俺にそう言うともう1人の見張りに後をお願いして護衛をしていた扉を開けた。


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