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センジンさん達の元まで戻って来た俺は、エルヴァンとバルドゥ、それにセンジンさんに少しの間ジーグを離れる事を伝えて、センジンさんにはエルヴァンとバルドゥを屋敷で泊めて貰えないかとお願いをすると、彼は快く引き受けてくれた。
センジンさんの了承の言葉を聞いて、俺はエルヴァンとバルドゥに少しの間ジーグに帰って来ない可能性がある事を伝えて、それまでの間は彼の屋敷に泊まらせて貰える事を伝え、明日から数日間は2人だけにジーグの亜人族達の鍛練をお願いしてしまう事を謝罪する。
エルヴァンとバルドゥは俺の謝罪に、謝罪する必要などとか言っていたが、それでも俺がいなくなる事でレオノーラとルミルフルもあまり時間的に置いて行く事が出来ない事を教えて謝罪は必要だと伝えると、素直に俺の謝罪を聞いてくれた。
この後、塔に戻ってレオノーラとルミルフルにも謝らないといけないな。
俺はそう思いつつ、今日はもう日が傾いてきている事から出発は明日となり、少しだけ時間があるという事で俺も亜人族の皆さんの鍛練に少しだけ付き合う事になり、俺は剣の相手では無く魔法使いとの戦い方を教える事にして、俺は魔法使いにクラスチェンジをして初級魔法を使って攻撃を仕掛けていった。
初めての魔法に驚きつつも、どう対応したらいいか魔法を見せてから実際に動いて貰ったりする。
しかしやはり初めて見る魔法の対処には、亜人族の皆さんも苦戦をしており、センジンさんも気合と力技でどうにかしようとしていた…。
流石に、皆がセンジンさんの様に力がある訳でも無いし、彼の様に魔法を受けたとしてもすぐに立ち直る事は出来ないという事で、俺は魔法の特徴から説明をし始めた。
そうして時間はあっという間に過ぎていき、俺達は解散となってセンジンさんの屋敷へと戻って来た。
バルドゥはセンジンさんの屋敷は初めてで、更にユキさんにも初対面だという事で深々と挨拶をしていた。
バルドゥはゴブリンだ、故にユキさんも敬語を話して自身に深々と挨拶をしているバルドゥに驚きつつ、ご丁寧にどうもと挨拶をしていた。
そんな光景が少し面白かったが、少ししてそんな挨拶も終わって屋敷の中へと促される。
センジンさん達と共に屋敷の中へと入り、夕食を頂いてから俺は塔へ。
バルドゥも共に一緒に帰還し、エルヴァンはセンジンさんと共に何かを話す為に屋敷へ残った。
俺とバルドゥは俺の部屋で分かれ、バルドゥは草原島へと向かった。
女性達に、少しの間外の世界に行っている事を伝えなくてはいけないと言っていた。
俺もレオノーラとルミルフルに少しの間、鍛練に参加させられない事を伝えに行かないとな。
そう思うと、俺は自室を出てレオノーラとルミルフルに会いに向かう。
しかしふとした違和感を感じ、俺は一度歩みを止めて考える。
そうか、セシリアが挨拶などに来ていないのか。
いつもなら、帰って来て少しすればセシリアは俺の元まで来て挨拶をしに来てくれる。
しかし今日は、それが無いのだ。
俺はそう思い、塔で何か問題でもあったのだろうかと心配し始める。
レオノーラとルミルフルには、今日中に話をする事が出来れば問題は無いだろう。
今は、セシリアやシェーファが困っているかもしれない。
そちらを優先するべきだ。
俺はそう思うと、セシリアやシェーファを探す為に歩き始める。
セシリアやシェーファが居そうな部屋や場所に行ってみるが、2人の姿が見えないという事は2人も俺と同じ様に動き回っているという事か?
俺はそう考え、一度セシリア達を見たか聞いて回るのも手だと思って無闇に動き回るのを止めて、話をするべく人が集まる食堂へと向かう。
そして食堂に辿り着いた俺の視界に入った光景は…。
「ヴァルダさまぁ~…」
「シェーファ、もうヴァルダ様はお帰りになっているのよ…。いい加減、お会いに行けばいいと思うの。と言うより、私もヴァルダ様をお出迎えに行きたいのだけれど…」
「…セシリアは良いわよね。ヴァルダ様がお帰りになればすぐに分かるのだもの…。私なんて、ヴァルダ様がお帰りになって少しして、ヴァルダ様の存在感を認識してから移動しているのよ…」
「それも、十分に凄い事だと思うのだけれど…。スキルでも何でもない、第六感という事でしょ?」
食堂のテーブルに突っ伏す様に、普段のしっかりとしたシェーファからは想像出来ない程気を抜いているシェーファと、そんなシェーファを慰めている様子で対面に座っているセシリアの様子が視界に入った。
すると、
「この気配、ヴァルダ様がお近くにッッ!!」
シェーファが椅子から思いっきり立ち上がって、そう言って身だしなみを整え始める。
彼女のそんな様子に、目の前に座っていたセシリアが少し呆れた様子で椅子から立ち上がる。
俺はそんな2人の様子を見て慌てて彼女達からは見えない物陰に隠れて、彼女達の様子を聞き耳を立てて窺う。
「さぁ、ヴァルダ様のお出迎えは出来なかったけれど、挨拶くらいはしておかないと嫌われてしまうわよ。ただでさえ、ヴァルダ様はお忙しい身。面倒な女となんて思われてしまったら、どうするつもりなの…」
「そ、そうよね!ヴァルダ様はお忙しいのだから、あまりお手数をお掛けする訳にはいかないわ」
そんな2人の声が聞こえて、足音がして俺のいる方へと歩いてくるのが分かる。
俺は慌てて少しだけ表情を作ると、今食堂に来たという様子、表情をしながら彼女達の前に姿を現すと、突然現れた俺に驚いた表情をするシェーファとセシリア。
そんな2人に対して、
「シェーファ、セシリア。食堂に居たのか、先程帰って来た時に出迎えが無かったから、何か問題でもあったのかと心配して様子を窺いに来たのだが…。大丈夫だったか?」
俺がそう説明口調で質問をする。
俺の問いを聞いたシェーファは、
「申し訳ありません、少し私が手間取ってしまっていたので、セシリアが出迎えをする事が出来ませんでした。彼女を責めないであげて下さい」
セシリアの事を庇う言葉を俺に伝えてくる。
それを聞いた俺は、
「出迎えに来ないだけで、怒ったりはしないよ。心配はしたがな」
苦笑しながら、シェーファの言葉にそう返す。
そして、
「問題が無いのならシェーファ、少し時間を空けてくれないか?」
俺はシェーファの不満というか、最近彼女との時間が取れなかった事を気にして少しでも長く彼女と話す為にそう声を掛ける。
俺の言葉を聞いた瞬間、セシリアは俺の考えを察した様な表情になり、
「では、私は失礼してもよろしいでしょうか?」
俺にそう聞いてきた。
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