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「オラァァァッ!!」

「…フッ!」


周りの草木が風で靡き、サラサラと心地良い音を出している場所で、俺とセンジンさんは暑苦しい声と激しい金属をぶつけ合う音を出していた。

何度も互いの剣をぶつけ合い、センジンさんは熱が入ってきてどんどん声を荒げ始めてきている。

俺はまだ冷静に動けており、彼の猛攻を剣で弾いている。

そうして、早朝の運動と言うには激しい鍛練が終わり、


「エルヴァンとはまた違う戦い方するな…。持ってる武器の大きさとか、それに対する攻撃の技術とかエルヴァンが沢山言っていたが、こういう事だったか…」


センジンさんは反省の言葉を独り言で呟いている。

どうやら、エルヴァンとの鍛練で彼から聞いた言葉を思い出して自身の動きを反省しているのだろう。

俺はそう思うと、


「エルヴァンは戦闘に関しては、本当に言葉を挿めない程真剣ですからね。それ故に、彼の戦闘に対する言葉は的確です。参考にしたリ、考えを改めるのに良いですよ」


センジンさんは大剣を背負い直して、


「そうだな。もう少し、色んな相手の動きについて聞いてみるとするか」


俺にそう言い、


「そろそろユキも起きてくる時間か。朝飯の支度、たまには俺がしないとな。いつも任せっきりで、何かと苦労を掛けちまってる」


センジンさんは頭を掻きながらそう呟くと、


「ヴァルダはどうする?一度帰るか?」


俺にそう質問をしてくる。

彼の言葉を聞き、


「いえ、俺はそのまま巨人族の人達がいると言われている方向に向かって進むつもりです。少し待っていてください」


俺はそう言うと、少し早いかもしれないがエルヴァンとバルドゥを呼び出す。

今日は俺がどれくらい移動するか分からないから、レオノーラやルミルフルを呼び出すのは難しいだろう。

俺はそう考えつつ、


「おはようエルヴァン、バルドゥ。少し早めに呼び出してしまってすまないな。今日もよろしく頼む」


エルヴァンとバルドゥにそう伝えると、2人は俺に挨拶をした後に早くに呼び出された事に問題は無い事を教えてくれて、2人にセンジンさんの事は任せて俺は森へと向かった。

妖精の国は岸沿いを歩いて行けばある程度分かる、そしてその方向から女王が指差した方向へ進めば良いんだよな。

俺はそう考えながら森の中を歩いて行く。

どんどん森を突き進み、やがて1人で歩き続けるのは意外にも暇である事を察してしまう。

しかしわざわざ、一緒に歩きたいからと塔から呼び出すのも申し訳無いな。

シェーファとの事もあるし、やはり話をする時はゆっくりと話に集中できる状況で話がしたい。

俺はそう思い直し、自分のいる位置から見える景色に集中して歩みを進める。

そうしてどんどん森を歩き続けて、やがて陽が随分と真上の方にある事に気がついて俺は昼頃になっている事に気がつく。

結構な距離を歩いたとは思うのだが、それでもまだ巨人族の痕跡などは見つける事は出来ずに、俺は少しだけ危機感を持ち始める。

この調子で探し続けると、おそらく時間が掛かってしまう。

しかし巨人族がどの様な人達か分からない故に、空を飛んで彼らの集落に入ってしまって印象などを悪くはしたく無い。

やはり、せめて最初だけはしっかりと巨人族との出会いが必要だよな。

俺はそう思い、気を取り直して歩みを進める事にした。

そして更に歩き続けて数時間後、俺はようやく見つける事が出来た。

明らかな自然には出来る事が無い人工物を。

しかし反対に残念な感情にもなる、折角人工物を見つけたというのに辺りに巨人族の気配を感じ取る事が出来ないのだ。

どうしたものか、とりあえず少しだけ調査でもしてみるか。

俺はそう思うと、


「すみませ~んっ!誰か、いらっしゃいませんか~?」


出来るだけ大きな声を出して、体格差があるであろう巨人族の人達にも聞こえる様に努力する。

しかし人の気配どころか、周りで動いているのは風に揺らいでいる木々の枝や葉だけ。

他には何も何の音も聞こえて来ず、俺は最悪の状態を思い浮かべる。

巨人族の集落が、ただ移動しているだけならそれでも良い。

しかしもっと最悪の事態、巨人族が全員全滅してしまっている状況だ…。

それだけは、どうかなっていないで欲しい。

俺はそう思いつつ、目の前にある人工物に近づくと、


「高さはそこそこ。あれくらいなら、ジャンプすれば届くかも」


人工物の高さが、自分の力でも何とか昇れる高さである事を確認して脚に力を込めると、一気に力を解放して地面を全力で蹴る!

その際に、足元の地面が砕けてしまったのだが、それは文句を言われてしまったら謝ろうと思いつつ俺は一気に人工物の頂上まで跳ぶ事が出来た。

着地は静かに出来、俺はそこから視線を左右に動かす。

しかし…。


「明らかに、人が暮らしていた様な痕跡はある。だが、やはり人はいないか…」


そこから見える景色は、今俺が昇った人工物と同じ様なモノがいくつか建っており、それ以外にも俺の体よりも大きな道具らしき物が地面に転がっている。

風化したそれらは、地面に倒れている故に苔などの植物の苗床の様な状態になっている。

植物の成長が、俺程度の知識で知っている速さで成長しているのだと仮定するならば、すでに長い年月ここには誰もいない状態が続いているのだろう。

俺はそう思うと、今までの道中の苦労が一気に水の泡となってしまった事に脱力し、その場にゆっくりと座り込む。

さて、巨人族の足取りは分からなくなってしまったし、これからどうするか…。

センジンさん達の方は、エルヴァンとバルドゥに任せておけば大丈夫だろうし俺がいる必要はあまり無い。

アンリの方は、まだ報告などが来ていない故に状況があまり把握出来てはいないが、報告に来ないという事はあまり進展はないのだろう。

下手に俺が介入しようとして、アンリにプレッシャーを与えるのは本意ではないし、ここは様子見とまではいかないがアンリに任せておこう。

たまに、どのような感じか聞く程度で良いだろう。

あとやる事と言えば、レヴィアタン達海の亜人族との話し合いもしたい。

それに狭間の町の人達に、精気を吸われても大丈夫だという人達を集めて、ハイシェーラさん達を迎えに行かなければいけない。

俺は少しの間座り込んでそう考え、最終的に今は霊峰で俺の事を待っているであろうハイシェーラさん達を迎えに行く事を決め、カルラを召喚してセンジンさん達に事情を説明するために戻った。


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