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400話に到達しました。
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女王の言葉と同時に、今まで立っていた妖精達が一斉にテーブルの傍にある椅子に腰掛ける。
俺は最後に、
「失礼します」
そう挨拶をしてから椅子に座ると、思った以上に頑丈そうで身を任せられる事に安堵する。
妖精達の体の重さの基準で作られているとしたら、俺が乗った時点で椅子は折れて大変な事になっていただろう。
俺がそう思っていると、
「先程の話の続きだが、私達妖精が貴方達に力を貸せる力の1つがそれです」
女王が俺の危惧していた考えを察したのか、少ししてやったりと言っている様な微笑みを俺に向けてそう言ってくる。
その言葉に俺は、
「この植物を、自在に操れる力…という事ですか?」
女王の言葉を聞き返す。
俺の問いを聞いた女王は頷き、
「これくらいの植物を成長させる力ならば、私以外にも出来る者は数名います。私は戦力として、もしくは力仕事を担う労働力としてお力を貸す事が出来ます。実際は、私は何もせずにゴーレムにして貰うのですけどね」
ふふっと笑いながらそう答える。
それを聞いた俺は、ゴーレムの力などはしっかりと見ていないから実戦ではどうか判断は出来ないが、確かにゴーレムの運用は良い手かもしれない。
俺はそう思いつつ、ふとある疑問が頭を過ぎる。
「そのゴーレムを作る力、それは魔法ですか?それともスキルですか?」
その疑問を女王に質問する。
魔法などの類であるなら、それは彼女の力量やMPの量で運用を考える必要がある。
スキルであるのなら、魔法に比べれば自由に使える故に問題は大して無い。
俺がそう思っていると、
「これは、妖精としての生まれ持った資質でありますから、貴方達でいうスキルに分類されるのかもしれませんね。魔法とはまた別ではあると思います」
女王が俺の質問にそう答えてくれる。
それを聞いた俺は、
「ゴーレム作成は、この椅子やテーブルを作ったスキルは元々同じスキル…という事ですか?」
更に質問をしてみる。
その問いに対して女王は、はいと返事をしてくれる。
「ただし…」
返事をした女王は、言葉を続けてきた。
「同時に操れるには、5つが限度であります。私はこの国の防衛にゴーレムを1体作り、今私や貴方が座っている椅子やテーブルを4つ作っています。これが、私の限界です」
まさか、自分の限界を素直に話してくれるとは思っていなかった俺は、女王の言葉を聞いて少し呆然としつつも、
「なるほど、しかしこのテーブルなどを作らずに、ゴーレムを5体作る事は可能ですよね?」
俺は女王にそう質問をする。
俺の問いを聞いた女王は頷き、
「他の者達は、1つか2つ。それに出来る事は、この様な動かせられない物が精一杯です」
続けて他の妖精達の実力を教えてくれる。
彼女の言葉を聞き、
「随分と詳しく説明してくれますが、良いのですか?俺はまだ何も情報を話していません。せめて、俺と交換する様に情報を聞いた方が良いと思うのですが…」
俺は流石に一方的に情報を得てしまっている事を指摘する。
すると、
「私達は、貴方と戦う事になった瞬間に敗北が確定しています。私達には反抗する手段が限られていますから。故に、私達は貴方を、そして貴方達の気分を害さない様に努めなくてはいけません」
女王が俺にそう言ってくる。
その言葉を聞いて、俺は今彼女達妖精達の前にいるだけで、脅している様な存在である事を察する。
俺は女王と妖精達の事をしっかりと見ると、
「俺は、貴方達やこの国を破滅させたい訳ではありません。帝都への反乱も、妖精の皆様からしたら危険の方が多い。正直、妖精の皆さんに対しては情報は共有してくれるだけでも良いと思っています。まずは、妖精の皆様と国の安全を優先して欲しいと俺は思っているんですが…」
今俺が思っている事を素直に話してみる。
俺の言葉を聞いた女王は少し不安そうな表情をして、
「それでは、私達には利があっても貴方達には何も利が無いです」
そう言ってくる。
おそらく、彼女は俺が今何を考えているのか分からずに困惑しているのだろう。
俺はそう思いつつ、
「利はありますよ。俺個人としては、貴方達妖精の皆様とのこうやって席を共に出来た事が、既に利になっています」
そう答えると、更に続けて、
「俺は貴方達と対等な存在として、今この場に来ています。ですので、気を遣った事は抜きで俺の話した事への本音を話してください。それに対して、俺は真摯に受け止めてお答えしますので」
そうお願いをして、目の前の妖精達に頭を下げる。
俺が頭を下げて少しして、
「分かりました。では、貴方のお言葉を信じて私達の考えをお伝えしたいと思います」
女王が俺にそう言ってくる。
その言葉を聞いた俺は下げていた頭を戻し、
「はい」
短く返事をする。
俺の返事から一拍置いて、
「反乱する軍に加入する事は、私も含めてこの国に住まう妖精皆が考えている事でしょう。人族の行いは、国を離れない私達ですら知っている有様。いずれ、その毒牙がジーグやこの国に降りかかるでしょう。その前に対処はしたいです。しかし、私達には貴方達の様に大きな体躯をしている訳でも、特別な力を持っている訳でも無いです。故に、私達からは支援するお力をお貸ししたいと思っています」
女王が俺の事を真っ直ぐと見てきて、俺にそう伝えてくる。
彼女の言葉に、一緒に座っていた妖精達も頷いている姿を見て、今の女王の言葉がここ妖精の国の人達の意見なのだろうと考える。
反乱に加入する気持ちはありがたい、しかしそれでも戦いとなったら国を離れて戦場に立つ者が必ずいる。
それは大丈夫なのだろうか?
俺がそう心配していると、
「その花…お口に合いませんでしたか?」
「え?」
1人の妖精の女性が、少し残念そうに俺の手元を見てそう聞いてきた。
彼女の言葉を聞いて、俺は摘んでいる先程受け取った花に視線を移すと、
「えっと、これは食べても良いのですか?俺だけかもしれませんが、この花を俺は見た事無いので、どうすれば良いのか分からないのですが…」
話題が変わってしまうが、それでも円滑に話をする為にそう質問をすると、
「その花の蜜はとても美味しいですよ」
女王自らそう説明をしてくれる。
俺は彼女の言葉を聞いて、どうやって蜜を吸えるのか聞き、俺の口の大きさだと花を折って吸った方が良いと言われ、俺は説明通りに花を折ると綺麗な色合いをしている花を口に含んだ。
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