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383頁

ドフルトの言葉を聞いた執事は少し焦っていた様子から、完全に違法な事をしているのがバレたと言わんばかりの素直な慌て様が表情に出ている。


「きゅ、急な話なので当家の主に話しを通して参りますので…」


執事は時間を少しでも稼ごうとそう言う。

それを察したのか、ドフルトは背中に背負っている大剣を抜刀すると、


「ならば押し通るのみだ」


まるでこれから斬りかかると言う様に、大剣を振り上げてそう言う。

それを聞いた執事は恐怖に顔を歪めて、


「おおおおお待ちをッッ!どうか!」


ドフルトの事を制止しようと大きな声を出す。

それを聞いたドフルトは、振り上げた大剣をそのままの状態で、


「…開ける気になったか?」


執事にそう質問を繰り返した。

それを聞いた執事は、必死に今この状況を回避しようと必死に頭を回転させて思考しているのだろう。

少しだけ顔を俯かせて、必死な表情をしているのが分かる。

俺がそう思っていると、


「いつまで待たせるつもりだ、すぐに開けるか。もしくはこの大剣で破壊されて押し入られるのが良いか、選択せよ」


ドフルトがいい加減に待てなくなったのか、少しイラついた声色で執事にそう言うと、ドフルトの言葉を聞いた執事は俯かせていた顔をバッと上げた後、


「お、お入りください」


門の鍵を開けて、門を開く。

その様子を見たドフルトは振り上げていた大剣をそのまま背負い直し、


「中を見させてもらうぞ」


執事の体を力任せに脇へと押し、屋敷へと向かう。

執事はドフルトの力に押された事で庭に倒れ、屋敷へと向かうドフルトの背中を呆然と見つめ、ドフルトの後に続いて屋敷の敷地内に入ってくる騎士見習い達の事を何度も首を左右に振って見ている。

俺も門を通って敷地内に侵入すると、騎士達に付いて屋敷の前までやって来る。

しかし、ドフルトはそれ以上進まずに屋敷の前で何かを話している様子だ。

近くへ行ってみると、


「開けろと言っている」

「ふざけるなぁッ!!誰の許可を得て、我が屋敷に足を踏み入れているのだッ!?」


扉の先にいる者と、ドフルトがそんな会話をしていた。

扉の向こう側にいる者は、おそらくこの屋敷の主人だろう。

話し方からして、従者のモノでは無いもが分かる。

俺がそう思っていると、


「開けないなら、破壊して通るだけだ」


先程の執事に話したのと同じ様に、ドフルトは大剣に手を伸ばしてそう脅迫をする。

それを聞いた扉の向こうの主は、


「やれるものならやって見るが良い!ただし、そんな事をしたら貴様がどれ程の罰を受けるか分から………ッッッ!?!?ァァギャァァァァッッッ!!!?」


強気の態度でドフルトに彼を止めようと言葉を発していたが、その言葉は最後まで言わせて貰えずにドフルトが大剣を振り下ろして扉を破壊してしまった。

切り裂かれて倒れる扉の破壊音と、扉の向こう側にいた主の悲鳴など関係無い様にドフルトは屋敷の中へと突き進む。

流石に騎士達は入ろうかと迷っている様子だったが、それでも入っていったドフルトの呼び掛けに応じて次々に中へと入っていく。

さて、ドフルトがしっかりと騎士団長としての仕事をしている所は見る事が出来た。

一応屋敷の中には入るが、ドフルトの監視をしていなくても問題はないだろう。

俺はこの屋敷でもっと他に探るものがないかだけ調べておこう。

俺はそう思い、騎士達が屋敷に入っていった後に屋敷へと入り込んで部屋の中を物色し始める。

姿が見えない様にアンジェの指輪を装備している故に、あまり物を動かして物色する事も出来ない。

それにしても…。


「やめろッッ!それを動かすんじゃな……ッァァアアアアアッッ!?!?」

「そこから先は私と側近の者しギャアァァァッッ!!」


屋敷の奥から聞こえてくる屋敷の主の怒号と、それを遮る様に聞こえてくる激しい衝撃音。

そしてその衝撃音に呼応するかの様に、主の絶叫も聞こえてくる…。

ある意味、あそこまでドフルトに無視されながらも反発し、物を壊される毎に悲鳴を上げている主に少しだけ良いリアクションをするなと考えつつ、ドフルトはまだパプを見つけられていないのかと思う。

そう思いながら別の部屋へと移動する為に廊下へと出ると、屋敷の中が荒れ果てていっているのがよく分かる。

俺が部屋に入り、その部屋から出て行く頃には廊下の惨状が一層酷くなっているのだ。

これでは、その内屋敷自体が崩れそうだなと思い、俺はそそくさと泥棒の様に部屋から部屋へと素早く動いて物色をする。

そうしてある程度の部屋を物色し終えた俺は、屋敷の外へと出てドフルトの事を待つ。

俺が屋敷から出て少ししてドフルトは小さな袋、おそらく魔石が入っている袋と屋敷の主を引き摺りながら屋敷から出てくると、


「証拠だ、これでこの者を捕まえる権利は十分にあるだろう。…エメリッツ様にも誰にでも、報告をすると良い」


ドフルトはエメリッツから派遣された騎士にそう報告をして、袋を騎士に投げ渡す。

袋を投げ渡された騎士が、少し落としそうになりながらも袋を受け取ると、中身を確認する。

そして、


「魔石、それにこの物に付いている粉………。確かにこれがパプであるなら、皇帝陛下が住まわれるこの帝都に薬物を蔓延させた愚者。……おいッ!これを早急にエメリッツ様の元へお届けしろッ!」


ドフルトから袋を受け取った騎士が、近くにいた騎士の元へ駆け寄り袋を手渡してそう指示を出すと、渡された騎士は返事をして大事そうに抱えながら走り去って行く。

…材料と、物を見つける事が出来たという事は、ある程度パプ自体も見つかっているのだろう。

俺はそう思い、静かにドフルトの背後に回って確認してみると、彼の腰にあるポーチが膨れ上がっているのが見える。

最初ここへ来るまでは、ポーチなど空なのでは無いかと思わせる程何も入っていない様子に見えたが…。

あそこまで膨れ上がっているという事は、相当な量を手に入れられる事が出来たのだろう。

思い返してみれば、先程騎士に声を掛けた時にいつもよりも口数は多かったし、声もどことなく喜びの感情が混ざっていた様に感じる。

俺はそう思いつつ、これで今俺が出来る事は無いだろうと考え、


「………よくやった、これでお前は自由だ。好きにすると良い」


背後からドフルトにそう声を掛けた後、即座に移動してその場を後にした。

エルヴァンと名乗っている、ドフルトが今後帝都にどの様な影響を及ぼすのかは分からないが、ひとまず帝都で俺程度が出来る事はやれたと思い、次の行動に移る為に行動を開始した。


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