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379頁

俺はセシリアとレオノーラと共に塔の階段を降りて麓までやって来ると、


「どうする?今日はこれまでにしておくか?」

「…くっ…!」

「頑張れお姉ちゃんッ!!」

「無理しないで」

「け、怪我してないかな??」


激しく金属が衝突する音が響き渡り、それから一拍置いて何かが倒れる音がする。

そしてその音がして少しすると、今度は地面に何かが衝突する様な振動と音が伝わって来た。

そして今の場所と声の様子から察するに、だいたいの状況が分かってしまった。

俺がそう思っていると、


「ヴァルダ様、申し訳ありません。お怪我はありませんか?」


エルヴァンが俺は来た事を察したのか、俺の方を向いて来るとまず謝罪をして来た。

彼の言葉を聞き、


「大丈夫だ、怪我はしていない。それよりも、俺よりも先にルミルフルは大丈夫なのか?」


俺はエルヴァンに大丈夫だったと伝えると、ルミルフルの心配をする。

すると、


「大丈夫か~ッ!?」

「平気?」

「こ、これ預かってるポーション…」


サールとソル、ヴィアンが地面に倒れていたが時間が経過して回復したのか、上半身を起こし始めたルミルフルにそう心配の言葉を掛けながら彼女の元に近寄る。


「だ、大丈夫大丈夫。少し吹き飛ばされたくらいだから」


ルミルフルは子供達に心配を掛けない様に明るい口調でそう言うと、普通に立ち上がって元気である事を証明する様に見せる。

俺はそんな様子を見て、少し離れた所に弾き飛ばされた大剣を取りに行き、大剣を持ち上げてルミルフルの元に近寄る。

俺が近づいたのが分かると、


「ありがとう。わざわざ取りに行かせて悪かったわね」


ルミルフルが俺にそう感謝の言葉を伝えてくる。

それを聞いた俺は、


「それくらい全然構わないぞ?大して距離があった訳でも無い。レベル上げの方は順調か?」


気にする事ではない事を伝えると、今まさに彼女が行っている事に対して質問をする。

俺の質問を聞いたルミルフルは、


「そうね…。順調と言えば順調ではあるわ。レベルも少しずつではあるけど確実に上がってきてる。彼も様々な剣の扱いを試せているらしくて、互いにメリットがあるし」


そう言うと、少し呆れた様子で苦笑をする。


「でもまさか、ここまでレベルが上がらないのも悔しいというか、情けなくなるわね」


そう言ってくるルミルフルに、俺は彼女の言葉に共感する様に頷いて、


「レベルの限界に達する、もしくは限界を超えるのは並大抵の事では出来ませんよ。まさに、死を覚悟して挑む事だと思っています。ですよね?レオノーラ?」


レベルの上限を超えた、超越者であるレオノーラにそう聞くと彼女は頷いて、


「そうだな。確かにレベルの上限を超える、超越者という高みに昇華するには死に触れなければいけない。と言っても、今の私はお前よりも低いレベルなんだがな」


苦笑しながらそう言う。

レオノーラの言葉を聞いたルミルフルは少しして、何かに気がついた表情をすると、


「あんたが死にかけたって、どういう相手なの?自分で言うのも何だけど、私やあんたがただの亜人族とは違うのよ?元々のステータスの違いがあるんだから」


レオノーラにそう質問をする。

それを聞いて、俺も少し疑問に思った。

彼女程の実力者が、レベルの上限になっていても死が間近に迫った相手というのが気になる。

俺がそう思っていると、ルミルフルの質問を聞いたレオノーラは少し表情を顰めて、


「…前に騎士団の用事で城内へ入れた時に、亜人族を保護している事に喧嘩を売られてな。剣聖と剣を交えたんだ」


そう答える。

その言葉を聞いたエルヴァンが、


「ヴァルダ様が目を付けた騎士団長でも、剣聖には勝てなかったという事か?」


レオノーラの言葉に興味を示したのか、レオノーラに対してそんな質問をする。

エルヴァンの疑問を聞いたレオノーラは、


「その通りだ。流石に城の敷地内故に剣聖は本気を出していなかったが、それでも私はどうする事も出来ずに剣聖の剣に一方的に攻撃され、防ぐ事が精一杯だった」


少し落ち込んだ様にそう言うと、


「私も城の敷地内故に本気は出してはいないが、それでもあそこまで一方的に…。剣の実力にあそこまで差があるとは思っていなかったからな…」


ため息を吐きながらそう言う。


「剣聖は、明らかに異次元の強さを持っている。そして、剣聖の握っている剣も国宝と言われている聖剣だ。実力も、持っている物も異次元の物。私は思い知らされた、どんなに上位種でも本物には勝てないのだとな。まぁ、それで諦める事は出来なかったけどな」


レオノーラはそう言って苦笑すると、俺は剣聖について考える。

レオノーラの強さは、この世界では最強と言っても良い。

そんな彼女ですら勝てないという事は、もしかしたら「UFO」から来た、俺と皇帝陛下閃光と同じ可能性がある。

装備は、国の宝と言っていたがそれは元々この世界にあった物なのだろうか?

それとも、「UFO」から持って来た装備をそう言い張っているのか?

…この事については、彼女と話せる機会があったら聞いてみるか。

俺がそう思っていると、


「どのような剣技をしているのだ?詳しい動きなどを教えて欲しい」


エルヴァンがレオノーラにそんな質問をしていた。

やはり、エルヴァンはそっちが気になるよな。

俺はそう思いながら苦笑し、


「エルヴァン、それについてはゆっくりとした時にレオノーラと話しをしなさい。ルミルフルもあまり根を詰めすぎない様にな」


エルヴァンとルミルフルにそう言うと、エルヴァンは俺とレオノーラに謝罪をして言葉を噤む。

ルミルフルはサール達と共に立ち上がって、体を伸ばす様に動かしつつ俺の言葉に返事をする。

サール達はルミルフルの動きを真似して、体を伸ばして笑い合っている。

そんな光景を見たレオノーラは、


「…ふふっ…。あの荒くれていた魔族が、子供達に囲まれている光景は面白いな」


ルミルフル達の事を見て俺にそう言ってくると、


「さて、それで私達に見せたいモノというのは?」


レオノーラが俺に向かってそう聞いてくる。

彼女の言葉を聞いて俺は、


「こっちに来て下さい」


レオノーラにそう言って案内をする様に手を塔の麓から少し離れた大地の端に向けて移動してくれと示す。

俺の言葉を聞いたレオノーラは頷き、俺が手で示している場所に向かって立ち止まると、俺は浮かんでいる島の一つを呼び寄せた。


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