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ルミルフルの問いに対して俺は、


「契約自体は、おそらくセシリアの方が古いのかもしれないな。セシリアはシルキー、つまり家に宿る妖精なんだがその契約時期が曖昧でな。だが、出会いは明らかにセシリアの方が昔だろうな。意外にシェーファと契約したのは塔の者達からしたら新しい方に分類するかもしれない」


素直にそう答える。

正直、セシリアは個人の家をゲーム開始時点で有しておりそこに彼女はいたのだ。

元々契約している様なセシリアとの契約時期は、そういう理由で曖昧な所がある。

そして後のアップデートで行われ、様々なモンスターやNPCキャラクターとの契約が出来る様になってからシェーファとは契約したのだ。

…ゲーム時代の俺は勿論その記憶を持ってはいるが、シェーファとセシリアはどうなのだろうか?

俺がそう思っていると、


「…私は何故あの時、ヴァルダ様と契約を断ってしまったのでしょうか…」


シェーファが囁く様に後悔の言葉を吐露する。

彼女の言葉に、俺はそれは仕方が無い事だったのではないかと考える。

確かシェーファと契約する為に、数回のクエストを受けたな。

最初は警戒心が強くて話もあまりしなかった彼女の願いを聞き、クエストをクリアすると少しずつ好感度が上がっていく仕組みだった。

それぞれのキャラクター毎に、キャラクター特有のクエストがあったな。

エルヴァンは一発勝負の闘いだったし、メヒテアは彼女の魔眼の効果を防ぐのとかだった。

懐かしい、あの時はあの時で楽しかったな。

俺はそう思い出しながら、


「一番最初の契約をしたのは、スゥだったのはハッキリ覚えているぞ」


そう言うと、シェーファとセシリアが俺の言葉を聞いて一瞬固まった。

しかしそれは本当に一瞬の事で、意外と思ったのかもしれないと思う…事にした。

変に問うと、藪蛇になってしまう可能性があるからな。

俺はそう思いつつ、


「だが順番などは関係ない。契約をしてくれた皆に、俺は常に感謝の気持ちを持ち続けている。だからシェーファもそういう事は気にしなくて大丈夫だ。むしろ、俺と契約してここまで尽くしてくれてありがとう。少しでもその忠義に応えられる様に、俺も頑張りたいと思っている」


シェーファやセシリア、ルミルフルにサール達の事を見ながらそう伝えると、


「すまない。つい皆と食事をしてしまうところだった。色々と話す事があったというのに」


スラム街の人達の元へと行っていたレオノーラが帰ってくる。

彼女の言葉を聞き、


「いや、折角の時間だったんだ。急がなくても良いんだぞ?食事が終わった後に、時間を作ってくれるのなら食事は彼らと共に摂る方が良いと俺は思うが」


俺はレオノーラがいたスラム街の人達の集まりの方に視線を送る。

俺の視線の先には、スラム街から連れて来た人達が少し残念そうな表情で俺達の事を見ている。

そんな視線を確認した俺は、


「スラム街の人達も寂しそうな表情をしていますし、食事は一緒にしてあげてください。終わったら、俺の部屋にでも来てくれれば話も出来ますし」


レオノーラにそう言うと、彼女は俺の言葉を聞いて少しだけ後ろを向いてスラム街の人達の様子を見た後、


「分かった。すまないな、気を遣って貰って」


そうお礼の言葉を告げると、俺達に背を向けて元の場所へと戻っていく。

それを眺めていると、


「…ヴァルダ様、私達もこの後お部屋に行ってもよろしいでしょうか?」

「ぜひ、私達もお話に参加させて欲しいのです」


シェーファとセシリアが順番にそう言ってくる。

何故か、少しだけ頬に力が入っている様な笑みを向けてくるのだがどうしたのだろうか?

俺がそう疑問に思っていると、


「…ヴィアンは足りたの?サールとソルに分けてたけど…」

「は、はい!お腹いっぱいです」

「いっぱい食べた~!」

「満腹」


ルミルフルが少し心配そうにヴィアンに質問をすると、ヴィアンは大丈夫だと彼女に返事をする。

それを聞いたサールとソルも便乗して満足した事を告げると、


「じゃあ、私達も行きます…かッッ!」


少し言葉を溜めた後に体を起こして椅子から立ち上がる。

その際に辛そうな表情をしているのが見え、


「ルミルフル、気休めかもしれないが飲んでおくと良い」


俺はアイテム袋から回復薬を取り出して彼女に差し出す。

それを受け取った彼女は、


「ありがとう、頂くわ」


お礼の言葉を伝えてくると、ゆっくりと歩いて食堂を後にした。

それを見送りつつ、俺は食事を済ませてセシリアとシェーファの食事が終わるのを待つ。

2人は小さい口でゆっくりと優雅に食事をする、故に基本的には俺が先に食べ終えてしまうのだが、この2人が食事をしている光景が結構好きである。

単純に、2人の可愛らしさと美しさが食事をしているだけでもずっと見ていられるからだ。

しかし2人からしたら、主である俺に見守られての食事など休まる気がしないのだろう。

一生懸命に速く食べようとしている姿もまた、可愛いのだ。

そんな感じで食事を終えた俺達は、3人で食堂を後にして俺の部屋までやって来ると、ソファに座ってレオノーラが来るのをゆっくりと待つ事にした。

部屋でのんびり、シェーファとセシリアと会話をしながら待っていると、やがて部屋の扉がノックをされる。


「どうぞ、鍵は開いてますよ」


扉の向こうにいる人に大きな声でそう教えると、扉がゆっくりと開かれて、


「失礼する」


レオノーラが部屋に入ってそう言ってきた。

部屋に入ってくると、レオノーラが俺達の元までやって来て俺達の座っているソファに座っても良いか聞いてくる。

彼女の言葉にどうぞとソファを手で指しながらそう伝えると、彼女はもう一度失礼すると言ってからソファに腰を下ろした。

そうして俺から少し話したい事について話し出そうと口を開くと、


「少し良いだろうか?」


俺が言葉を発するよりも速く、レオノーラが何かを言いたいのかそう聞いてきた。

彼女の言葉を聞いた俺は、どうぞと彼女に伝えると、


「スラム街の皆が、自分達はこのまま何もしないでいても良いのかと聞かれてな。皆もいきなりヴァルダと話すのは緊張するという事で、私が最初に簡潔に話を通しておくことにしたのだ。彼らのこの不安をどう解消したらいいだろうか?」


レオノーラが俺にそう聞いてきた。


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