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ルミルフル達の隣の席に移動すると、


「ルミルフルはどうしたんだ?随分と疲弊している様だが?」


俺は席に座ってそう質問をする。

セシリアが気を遣ってくれて、ルミルフルと話しが出来るようにと食事は持って来てくれると提案してくれたのだ。

彼女の言葉に甘えて、俺はセシリアに夕食を頼んでルミルフル達にそう聞く。

俺の問いを聞いたルミルフルは、頭をテーブルに突っ伏したままの状態で顔を俺の方に向けてくると、


「流石に私も、一日中重い剣を振り回していたらこんな情けない姿になるわよ」


俺の事を半目で見ながらそう言ってくる…。

どうやら、エルヴァンとバルドゥとの鍛練で相当力を使い果たしている様だ。

俺はルミルフルがここまで疲れている原因を理解し、


「そういう事か。エルヴァンもバルドゥも剣術や戦闘に関する事は熱が入りやすいからな。2人が暴走していたのなら、すまない」


ルミルフルに苦笑しながら謝罪をする。

俺の言葉を聞いたルミルフルは、


「謝る必要は無いわ。第一、レベルを上げて強くなりたいと言い出したのは私なんだから。ただ、もう少し休憩とか休む時間が欲しいとは思うけど…。朝から昼まで、ひたすらに大剣を振り回したり撃ち合わせたりするのは力が追い付かないわ」


少しだけエルヴァン達の鍛練に改善して欲しいと伝えてくる。

エルヴァンはそのデュラハンという性質上、力や体力は他の者達よりも優れている。

バルドゥは種族こそゴブリンではあるが、本人の気質なのか努力型でありエルヴァンの事を尊敬している故に彼の鍛練方法に疑問はおろか、口を出す事すらしないだろう。

…このままでは、ルミルフルが倒れてしまうよな。

俺はルミルフルの言葉を聞いてそう考え、


「そうだな。俺からも2人に少し言ってみよう」


エルヴァン達に、もう少し鍛練の合間に休憩する時間を設ける様に進言してみようと伝える。

それを聞いたルミルフルは、


「ありがとう、よろしく頼むわ」


俺にそう言って、更に水を差し出そうとしているヴィアンを止めて、自分の事は大丈夫だからヴィアンが夕食を食べる様に伝えている。

ルミルフルの言葉を聞いたヴィアンは、少し困った様子ではあったがルミルフルの言葉を無視する訳にもいかずにサールとソルに彼女の事をお願いして、2人の元気な返事を聞いてから席を立って夕食を取りに行く。

夕食を取りに行ったヴィアンと入れ違う様にセシリアが食事を持ってくると、俺の目の前に食事を置いてから対面の席に座る。

あれ、そういえばレオノーラはどうしたのだろうか?

俺がそう思うと、


「レオノーラ様でしたら、食堂にやって来た人達と共に食事をすると言って行ってしまいました」


セシリアが俺にそう彼女の事を報告してくれる。

セシリアの言葉を聞いて食堂を見回すと、スラム街にいた亜人族の一団が食堂の入り口に集まっており彼らに何かを言っているレオノーラの後ろ姿が見える。

情報の話をしたかったのだが、流石に彼らの事を差し置いてまでする話でも無いだろうと考え、


「では頂こうか。…いただきます」

「はい。いただきます」


セシリアと一緒に食事をする為の挨拶をし、目の前の食事を楽しむ事にした。

俺とセシリアが食事を開始して少しして、ヴィアンがルミルフルの席に戻って来た…のだが…。


「…食べる?」

「食べる~ッ!」

「ください」


ヴィアンが食べていたオムレツを、まじまじと見つめていたサールとソルに根負けしたかの様に、ヴィアンが2人にそう持ち掛ける。

そんなヴィアンの言葉に乗っかり、サールとソルがヴィアンに切り分けて貰ったオムレツを食べると、2人の顔が嬉しそうに微笑みながら美味しいと答える。

いつもならそんな3人の様子に、ルミルフルがツッコミを入れると思うのだが…。


「………」


疲労の所為で今日は全然ツッコミを入れる様子が無い。

すると、


「おかえりなさいませ、ヴァルダ様」


食堂にシェーファが小走りでやって来ると、俺の元まで来てそう挨拶をしてくる。


「ただいまシェーファ。さっきまで仕事をしていたのか?」


俺はシェーファにただいまと言い、シェーファが少し急いで俺の元に来た事が気になってそう質問をする。

俺の質問を聞いたシェーファは、


「はい、遅れてしまい申し訳ありません」


反省している様に、落ち込んだ表情で俺に謝罪の言葉を伝えてくる!?

シェーファの謝罪の言葉を聞いた俺は、


「ち、違う違う!怒っている訳でも注意している訳でも無いんだっ!それほど忙しくさせてしまって申し訳ないと言いたいのと、わざわざ律儀に挨拶に来る必要は無いと言いたかったんだ!」


慌ててシェーファに俺の本音を伝える。

言い方が悪かったか、シェーファからしたら追い詰められたと思ってしまったのかもしれない。

俺がそう言うと、


「ヴァルダ様、どんなに忙しくてもお帰りになった主をお出迎えしたいのが配下の者としての心です。それを理解して下さい」


俺とシェーファの様子を黙って見ていたセシリアがそう言ってきた。

セシリアの言葉を聞いた俺は、


「セシリアやシェーファの気持ちは嬉しいが…。それでもそれで2人の仕事に支障が出てしまったら申し訳無いのだが…」


セシリアとシェーファにそう言うと、


「…私達の為と想い、許しては貰えないでしょうか?」


シェーファが俺にそう言ってくる。

その表情、少し涙目になった様に潤んだ瞳を俺に向けて、懇願している様な仕草をしてくる…。

シェーファのそんな様子を見た俺は、


「………本当に、無理だけはしないでくれよ?」


彼女達の説得に応じて、無理をしない程度ならと出迎えをして貰う事になった。

すると、


「ねぇ聞いても良い?」


テーブルに突っ伏した状態で俺達の様子を観察していたのか、顔を俺達の方に向けているルミルフルがそう声を出す。

それを聞いた俺は、


「どうした?」


そう聞き返すと、ルミルフルは俺とシェーファとセシリアの順番で視線を移していくと、


「あんたと最初に契約したのって、2人のどっちなの?」


そんな質問をしてきた。

そしてその瞬間、シェーファとセシリアの空気が重くなったのも理解する…。

俺は別に話しても良い事だと思うのだが、2人の様子を見るとあまり話さない方が良いのかもしれない。

2人を見ながらそう考えていると、


「…マズい事聞いた?」


流石のルミルフルも、2人の様子がおかしい事に気がついて話題を変えようとしてくる。

しかし、


「大丈夫ですヴァルダ様、話して下さい」


シェーファはやや引き攣った笑顔でそう言ってくるのを見て、むしろここで話を逸らしたら申し訳ないと思い、


「分かった」


シェーファにそう言ってルミルフルに視線を移した。


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