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詰所に戻って来た俺は、扉を閉めて詰所の中で静かに待つ。

気配察知スキルには、少しずつではあるが詰所までやって来る7人の気配を感じ取る事が出来る。

俺がそう思って気配察知スキルで確認しながら待っていると、突然勢いが増して詰所の敷地内に入ってくると扉の前に辿り着く。


ドンドンドン


そして扉をノック…ただのノックでは無く勢いが良いノックがされる。

というか、もう扉を殴っていると言っても良い勢いだ。

俺はそう思いつつ、


「鍵は開いている。入ってこい」


扉の向こう側にいる者達に声を掛けると、俺の言葉と同時に詰所の扉が開かれて7人の男女が勢いよく雪崩れ込んでくると、同時に勢いよく開け放たれた扉が勢いよく閉められた…。

そのあまりの勢いの良い動きに圧倒され、俺は一瞬だけ志向が停止して詰所の中に入ってきた人達の事を見る。

そして、


「…見たところ、新人か少しだけ経験がある程度の冒険者達か。先程のギルドでの会話を聞いて追いかけてきたか?」


白々しく、何も知らない様に俺がそう質問の言葉を伝えると1人の、俺よりも年下であろう青年が前に出ると、


「はい。ギルドでの会話を聞かせてもらいました。第二級冒険者の先輩達はあぁ言っていましたが、第三級冒険者の俺達には受けられる仕事はあまりありません。…他の冒険者に見られたら笑われるかもしれないですが、恥を忍んでお願いしたい。どうか、俺達を貴方の下で働かせてくれませんか?」


俺にそう言ってくる。

彼の言葉を聞き、俺は7人ではまだ足りないと思いつつ、


「…ふむ、それではお願いしようか。こちらは人手不足である、今は基本的に犯罪者でなければどんな者でも歓迎しよう」


歓迎の言葉を彼らに伝えると、安心した様子で互いの顔を見合わせる新人冒険者達。

俺はそんな彼らに対して、


「では明日からお願いしたい。…お前達の反応や様子を見るに、素顔を晒して騎士見習いをする事は避けたいだろう。確認してみなければハッキリとは言えないが、騎士の装備を借りられるか聞いてみよう」


少しだけ気を遣ってそう言うと、冒険者達は嬉しそうな表情で感謝の言葉を伝えてくる。

それから俺は、明日の朝にもう一度詰所まで来るように言った後、彼らは安心した様子で詰所を去って行った。

さてと、少ないが人を集める事は出来た。

彼らにも頼み、見習いとして働いてくれるの人を集めて行くしかないな。

それか、エメリッツに再度お願いするしかないのだが、おそらく婦館の勝手な摘発と貴族達の様子を見て、今は俺の事をあまり良くないと思っているだろうし、話をしても無駄だろうな。

とりあえず今は、俺の力で見せかけの騎士団を作るしか無い。

俺はそう思いつつ、とりあえず今日はもう疲れたので塔に戻ろうと考えて、クラスチェンジを発動して召喚士(サモナー)に変更して塔へと帰還した。

塔に帰還すると、


「おかえりなさいませ、ヴァルダ様」


セシリアが俺の近くに現れて出迎えてくれる。


「ただいまセシリア。外の世界から連れてきた人達の様子はどうだ?」


俺はそんなセシリアにそう質問をすると、


「皆様、今日は部屋に籠って寝ておられました。塔のベッドが気に入ったのか、ベッドから最低限の行動しかしていません」


セシリアが少し困った様な様子でそう言うと、


「レオノーラ様も、お困りの様子でした」


更に続けて俺にそう伝えてくる。

レオノーラさんも困っていたという事は、おそらくレオノーラさんが言ってもベッドから離れようとしなかったという事だろう。

とりあえず、それほどベッドを気に入ってくれたのは良かったとは思うし、気持ちの面でも安定しているのなら良かった。

俺はそう思い、


「とりあえず、連れて来た者達が皆安定しているのなら安心だ。引き続き、彼らの事を見てあげてくれ」


セシリアにそうお願いをすると、セシリアは優雅に一礼をして返事をしてくれる。

それを見た俺は、


「…今、彼らにスラム街を移した島を見せても喜ばないだろうか?」


セシリアにそう質問をしてみる。

俺の問いを聞いたセシリアは、


「…申し訳ありません、それは私には簡単に答えられるモノではありません。私は皆様は塔の環境が物珍しく、居心地が良い物がある故に喜んでいると思っています。しかし、それはどんどん時間が経過するにつれてその気持ちは薄れていき、昔の住まいを懐かしみもう一度生活してみたいとも思うと、私は考えています。と言うよりも、そう思ってくれるように願っているのです。私は、家の妖精シルキーですから」


儚く微笑み、自分のそう信じたい気持ちを吐露してくる。

それを聞いた俺は、


「…そうだな。セシリアの想い、絶対に伝わると信じよう」


セシリアにそう伝えると、彼女は頷いてくれる。

そして、


「ではヴァルダ様、私は仕事が残っていますので失礼します」


セシリアは頭を下げながら俺にそう言ってくる。

彼女の言葉を聞いた俺は、


「俺も出来る事なら手伝うが、何か出来る事はあるか?」


セシリアにそう聞くと、少し慌てた様子で、


「そ、そんな…。ヴァルダ様にお手伝いしていただく事など!」


俺にそう言ってくるのだが、俺はそんなセシリアの言葉に、


「確かにセシリアにしか出来ない事の方が多いとは思うが、俺にでも出来る事なら手伝わせて欲しい。少しでもセシリアの苦労を減らす事が出来るのなら、俺はそれだけで良いんだから」


そう伝えると、セシリアは慌てた様子から少し落ち着いて、


「では、お願いしますヴァルダ様」


俺にそう言って頭を下げてくる。

そんなセシリアに対して、


「あぁ、出来る事は少ないが何でも言ってくれ」


俺はそう返してセシリアと共に塔の廊下を歩き始める。

そうして塔での仕事をセシリアと共に始めていると、途中で合流したシェーファも加わり3人で分担して仕事をし続けて、更に鍛錬を終えたエルヴァンとルミルフル、バルドゥにレオノーラも加わり大勢での塔での作業は順調に進み、塔の仕事が終わると全員で俺達は食堂へと向かって夕食を食べ、食堂の前で解散となった。

俺は自室へと戻ると、装備を外した後にベッドの上に横になると、俺はこれからについて思考し始めた。


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