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344頁

子供達と孤児院の人達を怯えさせない様に後退した俺だったが、女の子を助けようとした事で多少信用してくれた様で、レオノーラさんの斜め後ろまで彼らに近づけるようになった。

そうしていつも通りレオノーラさんがスラム街に住んでいる亜人族の事について説明をしていると、


「で、ではここに残った場合、危険な事が増える可能性もあるという事ですか?」


孤児院の人であろう老齢の女性が、そうレオノーラさんに質問をする。

彼女の問いを聞いたレオノーラさんは、


「あぁ、私達はこれから彼の元で、もしくは人族が頻繁には訪れない様な辺境まで逃げる事になるだろう。彼の元で一時的に保護をし、ゆっくりと考えてから彼の元に居続けるか、それとも自由に田舎にはなってしまうが自分達で生きていくか、それを選ばせてくれるだろう。…だろ、ヴァルダ?」


女性の問いにそう答えてくれ、確認の為に俺にも声を掛けてくる。

俺はそんなレオノーラさんの言葉に、


「そうですね。もし俺の元に離れると言っても罰とかありませんし、不自由が無い様に少しではあると思いますが支援も考えてはいます」


俺が付け足してそう答えると、


「その子が体調を崩したのも、おそらくスラム街での怪我が原因でしょう。スラム街はここに住んでいる皆さんが綺麗にしてくれてはいますが、そんな事を気にしない人族がここへ来てはゴミを捨てたリ飲み過ぎて吐いている人もいる。申し訳ないですが、不衛生な環境になってきています。このままでは貴女達が体を壊してしまいます。どうか、俺の元でゆっくりと休んではくれませんか?」


更に続けて、事実とそれに関する考えを目の前で悩んでいる人達に伝える。

すると、


「分かりました。私達は、子供を助けてくれた貴方を信用します」


孤児院の人達が、俺に対してそう言ってくれる。

彼女達の言葉に俺は、


「ありがとうございます!」


お礼の言葉を返すと、


「こちらこそ、大事な子供を助けていただき感謝しています」


老齢の女性が頭を下げてお礼の言葉を伝えてくれる。

すると、


「…では、皆準備を始めよう」


レオノーラさんがそう言い、俺達は行動を開始する。

俺は仮契約を進めていき、その間にレオノーラさんと騎士達が孤児院の中の荷物で必要な物を運び出している。

意外に荷物があるようで、数人がかりで荷物を運んでいる者達すらいる状態だ。

俺は仮契約を行いながら横目で騎士達の動きを見て、彼らの仕事ぶりを観察する。

流石はレオノーラさんが指揮をしていた騎士団、統率があるし真面目に仕事をしている。

城にいた騎士達とは大違いだ。

そんな感想を抱いている内に仮契約が終わり、子供達と孤児院の人達が騎士達と共に荷物の準備をしている。その際に、騎士の数人が孤児院から出てくる荷物を見て、


「うわ、懐かしいな~」

「まだ残ってたんだね」

「私達がいた時よりも前からあったらしいから、随分と長持ちだね」


そんな声を出している。

どうやら彼らはここの孤児院出身の様で、思い出に浸る様に小さく懐かしんでいる声を出している。

流石のレオノーラさんも、そんな思い出を楽しんでいる彼らには注意の言葉を掛ける事は出来なさそうで、少しだけ時間はズレながらも荷物の運び出しが終了した。

そうしてまたレオノーラさんに先導してもらって黒い靄に入ってもらい、塔への案内をお願いした後に俺は皆が一生懸命に運び出した物をアイテム袋へと入れていく。

すると今度はレオノーラさんが帰ってくるのが早く、俺がアイテム袋に荷物を入れている途中で黒い靄から出てきた。


「早いですね」


俺が荷物をアイテム袋に入れながらそう言うと、


「あぁ、今回は私はあまり説明とかはせずに、シェーファさんなどに任せてきたからな」


レオノーラさんが俺の問いに対してそう答えてくれる。

何故今回だけ、こんなに早くに来たのだろうと思っていると、


「…後の場所はどこだ?」


レオノーラさんが近くにいた騎士にそう質問をすると、


「ハッ!次で最後になります!」


声を掛けられた騎士が返事をして、次に向かうべき場所の説明を始める。

それをレオノーラさんは頷きながら聞いている。

俺も話は聞いていたが、場所の説明がよく分からずに途中から荷物を仕舞う事に集中していく。

そうして荷物が全て仕舞い終わったところで、


「ここはこれで良いですか?」


俺がレオノーラさんにそう声を掛けると、俺の言葉を聞いたレオノーラさんが首を振って、


「ここで、彼らを連れて行ってもいいだろうか?」


彼女は周りにいた大勢の騎士達に視線を向けてそう聞いてきた。

その言葉に周りの騎士達は驚いた様子でレオノーラさんの事を見ている。

俺は彼女の言葉に、


「それは構いませんけど、どうしたんですか突然?」


そう質問をする。

俺の問いを聞いたレオノーラさんは、少し困った様な表情をする。

どうやら、聞いてはいけない事の様だ。

彼女の事だ、悪い事などをするつもりが無いのは俺も知っている。


「分かりました。皆さんもそれで構いませんか?」


俺が周りにいる騎士達に声を掛けて質問をすると、周りにいた騎士達が少し戸惑った様子を見せる。

突然の事で、驚いているのだろう。

俺がそう思っていると、


「団長がそう言うのなら、俺達はそれに従います」


1人の騎士がそう言い出す。

その言葉に続いて、周りの騎士達が自分のそれに従うと声を出し始める。

彼らの言葉を聞いたレオノーラさんが、申し訳無さそうに、


「すまない。私の我儘に付き合わせてしまって…」


そう謝罪の言葉を口にする。

そんな彼女に、周りの騎士達はこれくらいの我儘など気にしていないとレオノーラさんに伝えると、彼女は苦笑しながら感謝を騎士達に伝える。

それから俺は今集まっている騎士達に仮契約をする為に手に刻印を施し、全員に刻印を終わらされると、


「レオノーラさん、皆さんを先導してあげて下さい」


俺は黒い靄を出してレオノーラさんにそう伝えると、彼女は俺の言葉に頷いてスラム街の人達と同じ様にレオノーラさんが黒い靄に先へ入り、それに続いて騎士達も靄の中へと入っていった。

それを確認してから俺は、


召喚(サモン)、セシリア」


セシリアの呼び出した。


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― 新着の感想 ―
[一言] 続話がとても楽しみなので、作者様ガンバです。(´∀`*)ウフフ
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