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婦館にいた亜人族の人達を、俺とレオノーラさんで塔の一室まで送り届けると、俺はセシリアに彼らの事情を教えて急いでいる事も伝え、彼らに会う時は突然現れるのは駄目だと説明してから俺とレオノーラさんは外の世界にまた戻って来る。

そして、先程までいた建物を後にした俺とレオノーラさんは、レオノーラさんの案内でスラム街の人達が待っている広場へと向かっていた。

次の広場に到着すると、そこは少し問題が起きている様だった…。


「獣共がこんな所に集まって何をしてるんだァッ!?」

「特に何もしてる訳では無い。人族の貴方達とは違い、スラム街の者達は金がある訳では無い。定期的に自分達が体に異常が無いか確認をしているんだ」


声に聞き覚えがあり、先程建物の横を通り過ぎた男性だと察する。

そんな男性が、難癖をつける様に騎士の1人に声を荒げて言葉を放つ。

声を荒げられた騎士の男性は、感情的にならずに淡々と嘘の説明を男性に話している。

そんな様子に、レオノーラさんは急いでフードを深く被れているのか確認し、話している彼らの元に歩いていくと、


「どうかしましたか?」


話をしている2人にそう声を掛ける。

レオノーラさんに声を掛けられた男性は、


「何をコソコソしてるんだ亜人風情が~?せっかくわざわざ俺が憂さ晴らしにここまで来てやったっていうのに」


レオノーラさんに向かってそう言う。

そして、


「…憂さ晴らし?」


男性の言葉を聞いたレオノーラさんが、低い声で男性の言い放った言葉を繰り返した。

その言葉を聞いた瞬間、男性と話していた騎士が焦った表情をして一歩二歩と後ろに後退するのが見えた。

騎士のそんな様子に、おそらくレオノーラさんがこれから何かをするのを察すると、俺は男性の相手をレオノーラさんに任せて少し怯えている亜人族の元まで行く。

そしてスラム街の人達の側にいた騎士の1人に、


「向こうは彼女に任せて、こちらは先に動いてしまいましょう」


そう指示を出すと、騎士の男性が返事をしてスラム街の人達を俺に集中する様に声を掛け始める。

それと同時に、何やら男性の怒号の声が聞こえたかと思うと、続いて何かの衝突音、そして男性のうめき声が聞こえてきた。

男性がどんな目に合っているのかは気になったりもするが、それでも早めに動かないと間に合わないかと思い、俺はレオノーラさんの方は気にせずにスラム街の人達に説明を開始する。

俺の説明途中に、何回か男性の声とそれと同時に叱咤の声と衝突音の様な音が聞こえてきたが…。

それにしても、レベルが1に戻っているはずなのにここまで殴っている音が聞こえているという事は、元々の彼女のステータスはやはり高い方だったのだろうな。

俺は説明をしながらレオノーラさんの事をそう考える。

そうして俺の説明が終わり、俺とスラム街の人達が集まっている場所まで移動して来たレオノーラさんは、


「すまないな。私がいなければ進められない話もあるだろう」


俺にそう謝罪をした後に、先程の男性と話す為に深く被り直したフードを取り、レオノーラさんの姿を見たスラム街の人達は唖然としている。

少しだけ、見慣れた感が出てきたな…。

そんな失礼な事を思いながらも、レオノーラさんの話はどんどん続いて行き、レオノーラさんが話しのバトンを俺に渡してくれると、俺も彼らにしっかりと挨拶をした後に勧誘を開始する。

すると今度の人達は意外にもすんなりとレオノーラさんと俺の事を信じてくれて、契約はトントン拍子に進みこの広場にいた人達と契約をする事が出来た。

最初の人達と違い、話がすぐに決まった俺は黒い靄を出現させて、レオノーラさんに彼らの移動を任せて俺は纏めて貰ってあった荷物をアイテム袋に入れていく。

そうして、2番目の広場での契約を済ませた俺は、レオノーラさんが塔から戻って来るまで待機する。

その際に、


「君達とも契約する予定だが、聞いておきたい事がある」


近くで一緒にレオノーラさんの事を待っていた騎士にそう言葉を発すると、


「何でしょうか?」


そう聞いてくる。

その言葉に、


「亜人族の事でも、人族の事でも良い。俺が今回潰した婦館の様に、違法であり、不当に働かせている所などはあるのだろうか?噂程度でも構わない」


俺がそう質問をする。

俺の言葉を聞いた騎士の1人が、


「俺はあまり分からないですね…。申し訳ありません。………お前はどうだ?」


俺に謝罪をしてくると、近くにいた仲間にそう聞いている。

その仲間も首を振り、更に別の騎士仲間に質問をしていく。

そうして質問を繰り返している内に、


「そういえば…」


1人の騎士が、何かを思い出したのかそう呟いた。

彼のその言葉を聞き、俺と周りにいた騎士達が一斉に呟きを発した騎士の事を見ると、


「か、確証がある訳でも、本当かどうかも分からないので…」


彼が慌てた様子で、自信無さ気に俺達にそう一言注意をしつつ、


「歓楽街の奥にひっそりと立っている小屋。そこには、何人もの奴隷が監禁されているとは、聞いた事があります」


そう情報を口にした。


「監禁…か」


俺が彼の気になった説明の言葉を繰り返すと、


「あ、あくまで噂ですので、真相は俺にもよく分からないです…」


慌てた様子そう言ってくるのだが、自信がない故にどんどん言葉が小さくなっていく。

そんな彼の言葉を聞いた俺は、


「いや、大丈夫だ。少しでも情報があれば、こちらで確認してみる」


情報を言ってくれた男性そう伝えると、黒い靄からレオノーラさんが出てくる。

そして、


「すまないな、遅くなってしまった」


レオノーラさんがそう謝罪をしてくる。

彼女の謝罪を聞き、俺と騎士達は姿勢を正して彼女を迎えると、


「先程の様に街の住民が来ているかも分からない。まだ夜は続くが、それでも動ける時に動いておきたい。行くぞ!」


レオノーラさんがそう言って、今この広場に集まっている騎士達に発破をかける。

彼女の言葉に、周りの騎士達は静かに、しかし力強く返事をすると走り出して行動を開始した。

俺もそんな彼らを見て、


「では、俺達も行きましょうか」


レオノーラさんにそう声を掛けて、彼女の返事を聞いてから歩き出した。


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