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338頁

レオノーラさんが指示を出してからの騎士達の行動の早さは、凄いとしか言い様が無かった。

レオノーラさん本人が指示を出すのも慣れているからか、的確に必要な事を伝えて指示を出していく。

俺も、彼女の様に的確な指示が出せる様になりたいものだと思いながら、俺は騎士団が動くのを見送っていた。

そうして詰所に残った俺とレオノーラさんは、


「では、私もスラム街へと向かう。婦館から連れて来た者達も、スラム街へと一時的に移動はさせたが、放置しておく訳にもいかない」


そう言ってフードを被り直す。

そんな彼女に俺は、


「俺も一緒に行きたい所ですが…。流石に騎士団の詰所に誰もいないのはマズいですよね…」


詰所の中を見回してそう言うと、レオノーラさんは特に気にしていない様子で、


「まぁ、わざわざこの騎士団に盗みをする者もいないだろうし、亜人族の私達に助けを乞う者もいないだろうが…。それでも1人はいた方が良いのだろうか?」


反対に俺に質問をしてきた。

レオノーラさんの質問に対して俺は、


「ぶ、不用心ではありますよね」


そう答える事しか出来なかった。

正直、答え辛い質問である。

俺がそう思っていると、


「おそらく大丈夫だろう。それに、私達にはもう詰所の事など関係無いからな。もし何かあったとしても、君が代わりに怒られてくれるのだろう?」


レオノーラさんが微笑みながらそう言ってくる。

その言葉に俺は、


「貴女達の為ならば、どの様な叱咤も甘んじて受け入れますよ」


そう答えると、レオノーラさんは詰所の扉の前まで移動し、


「では、一緒に行こうか」


俺にそう言ってくれた。

彼女の言葉を聞いた俺は、外していた冑を被り直すと、


「分かった。私も出来る限りの事はしよう」


そう宣言する。

スラム街の事などは俺に出来る事は少ないが、それでも荷物を運んだりは出来るだろう。

俺はそう思うと、レオノーラさんの後に続いて詰所を出発し、帝都の街を歩く。

その途中で、俺は住民から目立ってしまっている事に気がついて、失敗したと反省する。

町の住民の視線はどこか怯えた様子であり、俺が婦館で捕まえて引きずっていた光景を見た人達が噂か何かを流したのだろうと考える。

街の住民の視線に気がついたレオノーラさんが、


「…注視されているな」


小さな声でそう言ってくる。

彼女の言葉に、


「…すみません、少し目立つ事をしてしまって」


俺も小さな声でそう返すと、ふとレオノーラさんが歩みを止める。

それに従って俺も歩みを止めると、


「一喝してみてはどうだ?」


俺にそう言ってくる…。

きょ、強硬手段に出ようと思う程見られていたか…。

俺はそう思うと、彼女の言葉に従う様に、


「ジロジロと何人も私の事を見てくるが、何か言いたい事でもあるのか?」


少し大きな声で周りの人達にそう言うと、視線を住民に向ける。

その瞬間、俺とレオノーラさんを見ていた視線は一気に地面へと注がれ始める。

俺の言葉を聞いた住民達が、一斉に視線を逸らして地面を見る光景の異質さは言葉で表すのは難しく感じる程だ。

夜になりかかっている薄暗い街中で、大勢の老若男女が俺の言葉で一斉に地面を見る為に首を曲げている。


「…く…くく…」


そんな光景にレオノーラさんは少し面白いのか、微かに肩を揺らして笑いを抑えている様だ。

というか、レオノーラさんって意外にお茶目なのか?

もっと姉御肌というか、クールでありながらも心は熱い!みたいな感じだと思っていたのだが、意外に素で話してみると表情は豊かだ。

俺はそう思いつつも、視線を下げている住民達から逃げる様に歩き出して裏路地までやって来ると、


「流石に、人が少ないですよね」


俺は視線を気にして周りを確認し、更に俺は気配察知スキルを発動して辺りを確認する。

そうして、周りに人がいない事を確認すると、


「クラスチェンジ・召喚士(サモナー)


クラスを変更し、俺は重装備から軽装備へと変わる。

それと同時に、エルヴァンの真似をする必要も無くなって気持ち的にも軽くなる。


「すみません、お待たせしました」


俺がそう言うと、レオノーラさんは俺の言葉に頷いて歩き始める。

俺は彼女の後を追いかけて歩き出すと、


「…君は私達にも敬語で話すが、君が親しく接している者達には敬語では無いよな?」


レオノーラさんが俺にそう話しを切り出してくる。

彼女のその言葉に、


「そうですね。シェーファやセシリア、エルヴァンは皆付き合いが長い方ですから、そう呼ぶ事の方が慣れてるんですよ」


俺はそう答えつつ、「UFO」時代は一方的に呼んでいただけなんだがなと考える。

すると、


「…私の事も普通に話してくれるとありがたい。先程君が言った通り、私と君は対等な存在だ。それに今は、君の恩恵で私の大切なモノを保護してもらっている。本当なら、私が敬語で話す必要があると思っている」


レオノーラさんが、俺にそう言ってくる。

彼女の言葉を聞いて、


「そんなに気にする必要もないですけどね。俺がやりたい事に、丁度レオノーラさんも含まれていて、レオノーラさんに協力してもらった方が良いと思っただけですから。………今すぐには難しいですけど、慣れる様に努力します。…レオノーラ」


俺が彼女をさんを付けずに名前で呼ぶと、


「よろしく。ヴァルダ」


彼女も俺の事を名前で呼んでくれた。

新鮮な感じがしたのは、おそらく彼女以外から呼び捨てにされる事がほとんど無かったからだろう。

そうして俺とレオノーラはスラム街までやって来ると、そこには既に数十人の亜人族の人達とレオノーラさんの配下である騎士達が集まっていた。

速い動きに驚愕しつつ、俺が説明するよりもレオノーラさんが説明をした方が彼らには良いだろうと思い、


「レオノーラ、よろしく頼む」


彼女にそう声を掛ける。

俺に声を掛けられたレオノーラさんは俺の事を一度見てくると、ただ頷いて返事をしてくれる。

そして一歩前に出ると、彼女は被っていたフードを取り、スラム街の人達に顔が見える様にする。

フードを取った事でレオノーラさんの顔が分かると、スラム街の住人達は唖然とした表情をしている。

そんな彼らに、


「大きな声は出さないでくれ、あまり人族に今のこの動きを知られたくはない」


レオノーラさんは予め、彼らに注意を言ってから説明を開始した。


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