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レオノーラさんが着替え終えるのを待ち、部屋の扉の向こう側から、


「入って大丈夫だ」


そう声を掛けられた俺は、部屋の扉を開けて中に入る。

そこには、少し大き目な見た目をしたフードを被っているレオノーラさんが目に入る。

肩辺りからの装備の突起が目立ち、少しレオノーラさんの横から見る様に体を動かして彼女の背中の方を見ると、背中の方もゴツゴツしている。

これなら、レオノーラさんの角もあまり気にならないだろう。

俺はそう思うと、


「では、まずはレオノーラさんの情報を教えてください。明らかに犯罪を行っている者を徹底的に捕まえていきますよ」


俺はそう言ってクラスチェンジを行って装備をエルヴァンに似せた装備を着けると、レオノーラさんと共に部屋を出るとブルクハルトさんの商館を後にする。

帝都の街に出ると、少し目立ってしまっているが気にしない様にしつつ、


「…それで、まずはどこへ行くつもりだ?」


レオノーラさんにそう質問をする。

俺の問いを聞いたレオノーラさんは、


「…まずは婦館にしよう。違法に亜人族を働かせている場所であり、そこで亜人族を拷問する貴族が多く出入りしている故に、そこから順々に捕まえて行こうと私は思っている」


そう答えてくれる。


「…貴女ではどうする事も出来なかったのか?」


敬語で話したいのだが、今は騎士団長として外を歩いている故に、敬語で話す事が出来ないのが違和感に感じつつそう聞くと、


「私は良い意味でも悪い意味でも目立ってしまう。私が動き婦館に近づくだけで見張りが裏口から貴族達を逃がす。団員達を街の見回りから、全員を動員させるのもエメリッツなどの上層部に連絡しなければいけない。そこから情報が流れて、トカゲの尻尾切りの様に末端の者達しか捕まえる事が出来なかった。本体にはいつも逃げられてしまう…」


レオノーラさんがそう答えて、


「しかし、まだ騎士団長になって2日の君には色々と詳しい誓約が無い。捕まえる事は可能かもしれないな」


俺にそう言ってくる。

なるほど、騎士団長としてやる事がまだ無知な故の言い訳があるという事か。

それにしても、拷問などをする様な連中を殺さないで生け捕りにしないといけないのか…。

その方が色々と面倒だ…。

俺がそう思っていると、


「捕まえた後は騎士団の詰所に送り、書類の作成と提出。それから………」


レオノーラさんが仕事モードに入ったかの様に、仕事内容を小さな声で呟き出す。

彼女も色々と苦労していたのは、街の住民を見たら理解は出来る。

そう思っている内に商店などが並んだ通りから徐々に怪しい店が並んでいる歓楽街に変化していく。

それと同時に露出度が高い衣装を羽織っている女性や、そんな女性を監視している様に柄が悪そうな男性が見つめている。

そして女性は笑みを顔に貼りつけている様に、街を歩いている男性に笑顔で客を呼び込んでいる。

街中から鼻につく、異様に甘い匂いに俺は少しだけ顔を顰める。

香水などの甘い匂いは嫌いではないが、ここはそれとは別物に感じる。

状態異常になるのではないかという、危機感を感じてしまう。

俺がそう思っていると、


「………相変わらず、ここは何度来ても慣れないな」


レオノーラさんがそう言って、少しだけ辺りを見る様に顔を動かしている。

その様子を見ていると、


「ここからは私が案内しよう」


レオノーラさんが少しだけ歩くスピードを速めて俺の斜め前に出る。


「よろしく頼む」


俺がそうお願いをして、レオノーラさんの後を追いかける。

裏通りとまではいかないが、細い道に入ると一気に道の汚さが目に入る。

吐瀉物に、おそらく食べかけの物が捨ててあり、それに虫とネズミが集まっている。

スラム街より、スラム街っぽいぞ…。

俺がそう思っていると、


「近くなってきた。そろそろ気を引き締めてくれ」


レオノーラさんがそう言ってくる。

彼女の言葉を聞いた俺は、建物から逃げ出そうとしている者がいない様に監視の意味も込めて気配察知スキルを発動しておく。

瞬間に、辺りの建物から気配を感じる事が出来る…。

そうして辿り着いた大きな建物が見え、建物の前に見張りで武装をしている男達が見える。

他の建物にはそんな武装をしている人達はいない故に、逆に彼らの守っている建物がそれほど何か重要なモノがいるか、置いてあるのか分かってしまう。

気配察知スキルにも結構反応があり、沢山の人がいるのが分かる。


「レオノーラさんは外で逃げ出す人を捕まえて貰えますか?一応気配察知スキルを使用しているので、中にいる人達の事は分かっているのですが、すぐに動けない可能性も考えて外で、…裏口での待機をお願いしたいです」


俺がそうお願いをすると、


「了解した。では、後で落ち合おう」


レオノーラさんはそう言って行動を開始した。

俺はレオノーラさんが行動を開始してから少しして、彼女が建物の裏口まで移動したくらい時間を置いた後に、


「さて、行くか」


建物の影から出て行くと、暇そうにしていた見張りの男達が俺に気がついた。


「テメェ何モンだッ!?」

「いや待て!こいつあれだ!新しく騎士団のリーダーになった奴だ!」

「って事は、マズいぞ!中の奴らに知らせろッ!」


男達はそう言い合うと、剣を抜こうと柄に手を伸ばす。

それと同時に1人の男が建物に入ろうと駆け出して建物に向かう!

俺はそんな光景を見た瞬間、俺は背中の大剣を鞘ごと抜き放つと俺に向かってきた男達を横薙ぎに一振りすると他の建物の壁に吹き飛ばす。

そのまま建物まで駆けて、婦館の扉を大剣で吹き飛ばしてそのまま婦館の中へと入る。

建物の埃などが空中を漂い、少しだけ視界が悪くなる。

それでも中に視線を向けると、そこには突然吹き飛んで破壊された婦館の様子を固まって見ている従業員などの様子が見える。

そこから更に、部屋から装飾が目立つ老若男女がどんどん出てくる。

部屋から出てきた者達は状況を把握できていないのか、騒がしい事に怒っている様子だ。

俺はそんな彼らに対して、


「私は騎士団団長に就任したエルヴァンだ。私が団長になったのだ、今からこの婦館の調査をする。逃げた場合、問答無用で動けぬように拘束させてもらう」


そう言い放った。


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