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325頁

男性達に浴場の使い方を説明すると、俺は浴場を後にして浴場の前の廊下で待機する。

女性側の方からはシェーファが出てきて、俺の姿を見つけると俺の元に来る。


「ありがとうシェーファ」


近寄って来たシェーファにお礼の言葉を伝えると、


「いえ。それよりもヴァルダ様、あの人達は部屋に案内してもよろしいのでしょうか?」


シェーファがそう聞いてくる。

シェーファの言葉を聞いた俺は、


「1人1人では難しい者もいるだろう。一部屋に2人~4人くらいにしておくか。サポートし合う生活をしてきた人達だ。突然1人部屋にされても混乱してしまうだろう」


シェーファの質問にそう答えると、


「分かりました。では案内は私がさせて貰います。レオノーラさんの力をお借りすれば、おそらく大丈夫でしょう。浴場に入る時も、彼女が進んで安全な事を証明してから入っていましたし」


シェーファが案内を進んでしてくれると言ってくれ、浴場での事を少し教えてくれる。

…女性達はレオノーラさんと同じ部屋でも、家具とかを壁側に移動させれば何とか入るだろう。

しかし男性達はどうしようか?

俺がそう考えていると、


「ヴァルダ様」


突然セシリアが現れて声を掛けられる。


「セシリア、何か問題でもあったか?」


俺がセシリアにそう質問をすると、


「突然の大人数の来客に、何か手伝える事は無いかと思いまして…。何かお手伝い出来る事はありますか?」


セシリアがそう言ってくれる。

彼女の言葉を聞いた俺がじゃあ…と返事をしようとすると、


「セシリア、ヴァルダ様のお手伝いは私がいれば大丈夫だから、貴女は寝てても良いのよ?」


俺が言葉を発する前に、シェーファがセシリアにそう言う…。

優しい声色ではあるが、発している内容はセシリアを拒絶というか、遠ざける様な内容だった…。

すると、


「いえ、私はこれから毎晩、ヴァルダ様と色々と話し合う事がありますので、出来れば相談も兼てご一緒させて欲しいです」


セシリアが笑顔で、毎晩を強調してそう言った言葉にシェーファは笑顔を引き攣らせる。

これは、このまま放置したら何か、俺の理性的なモノが危険になる事が起きると察した俺は、


「シェーファにも、セシリアにも手伝って貰いたいし相談したい事がある。すまないが、2人共俺の側にいてくれないか?」


視線を、バチバチッと聞こえてきそうな程ぶつけ合う2人にそう言うと、


「ヴァルダ様にそう言われたら、もう側から離れる訳にはいきません」

「シェーファの言う通りです」


今度は一気に2人が協力する様に同意見だと伝えてくる…。

あれ、結局大変な事になるのではないか?

俺がそう思っていると、


「それで、この後はどうするのでしょう?」


シェーファが俺にそう聞いてくる。

彼女の問いを聞いた俺は、


「男性と女性で部屋を分けよう。女性達はレオノーラさんと同じ部屋に、もしくは隣の部屋に案内しよう。男性達は更にその隣の部屋を使って貰おうか。シェーファはレオノーラさんと共に彼女の部屋の家具の整理。俺とセシリアは男性達を部屋に案内した後、その部屋の家具の整理だ」


2人にそう伝えると、シェーファが少し不満そうな表情をする。

そんな様子を見た俺は、


「シェーファ、この後セシリアとの話し合いに、一緒に参加してくれないか?シェーファにも、手伝って欲しい事があるし、セシリア1人に負担を掛けるのは申し訳無い」


シェーファにそう伝えてお願いをすると、シェーファは嬉しそうな表情をして分かりましたと返事をしてくれた。

そうして浴場で土汚れや固まっていた髪の汚れを落とした亜人族の皆さんが出てくると、俺達はレオノーラさん達に部屋に案内をする。

サッパリとした亜人族は嬉しそうに綺麗になった自分達の体を見せ合い、サラサラになった髪や体毛を見せ合う。

羨ましい、俺にも見せてくれッ!

俺はそんな事を思いながらレオノーラさんの部屋の近くまで行くと、


「では、これからとりあえず部屋を割り振ります。レオノーラさん、部屋に他の人達を泊まらせても構いませんか?」


俺がそう切り出し、レオノーラさんに質問をする。

俺の問いを聞いたレオノーラさんが、


「あぁ、構わない」


そう答えてくれて、俺はレオノーラさんの答えを聞いて亜人族の皆さんに向き直ると、


「では、女性の皆さんはレオノーラさんの部屋に。人数が多く、部屋が狭く感じたら隣の部屋を使って下さい。男性達はその隣の部屋に」


俺がそう指示を出す。

それに従ってスラム街の人達が、シェーファとセシリアの指示に従って移動を開始する。

俺はそれを確認しつつ、アイテム袋から人数分の布を取り出し、更に追加でベッドの準備をする。

人数分のベッドは部屋には置けないし、申し訳無いが今回は複数人で寝て貰うしかない。

俺はそう思いつつ、女性達の部屋の様子を見ていたシェーファに布を渡し、


「ベッドの数を教えてくれ。流石にシェーファに渡すのは申し訳無い。呼ばれたら置きに来る」


そう伝えると、


「分かりました」


そう返事をしてくれるシェーファ。

それから俺はセシリアと共に男性達の部屋に行くと、


「やわらけぇ…」

「ガァ~ッ!ゴォ~ッ!」


既にベッドに乗った人達が感動した様子でベッドに体を埋めていたり、更にはもう寝てしまっている人すらいる。

そんな様子を、申し訳無さそうにして俺に謝ってくる人達もおり、性格なんだな~と思いつつ彼らには彼らのベッドを追加して、先に取り出しておいた布を渡しておく。

ついでに寝ている人の体に布を掛けると、


「これからはゆっくりとしてくださいね。貴方達に危害を加える者はいません。今まで危険が身近でゆっくりと寝れなかったと思うので、ゆっくりとお休みください」


俺は部屋にいる、まだ寝ていない人達にそう伝えると部屋を出ようとする。

すると、


「あ、ありがとうございます!」

「助かりました!」


後ろから感謝の言葉が聞こえた。

俺はその言葉に、


「明日も、明後日も、俺は貴方達のスラム街の仲間を連れてきます。スラム街に住む亜人族や虐げられている人達を全てここへ連れてくる事を約束します。その時は、彼らの事をよろしくお願いします。俺には話せない事も、仲間である貴方達には話せると思いますので。お礼は、皆で助け合うだけで十分です。俺は、俺のやりたい事をやっているだけですので」


そう伝えてから、部屋を静かに出た。


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