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319頁

俺の言葉を聞いたレオノーラさんは、信じられないモノを見た様な表情で俺の事を見てくると、


「その様なリスクを背負ってまで、君は私を転生させたというのかッ!」


少し語気が荒くなったレオノーラさんがそう言ってくる。

そんなレオノーラさんに俺は、


「その様なリスクの危険性があっても、俺はレオノーラさんと契約し転生させる事が重要だと思ったんです。レオノーラさんに起こった事は今の説明通りです。次に話すのは、レオノーラさんと契約した事の理由について。と言っても、少し話してはいるんですけどね」


苦笑しながらそう言うと、


「レオノーラさんと契約した理由は複数あります。まず1つは単純に俺がレオノーラさんに興味があるので、仲間として家族としてこの塔に迎えたいと思っていました。2つ目の理由は、帝都の虐げられている亜人族を保護したいと思っていましたが、人族である俺の言葉を信用してくれる可能性が低く、彼らに慕われているレオノーラさんの力を借りたいと思ったからです。その結果、レオノーラさんの力を更に引き上げようと思ったのですが…。3つ目も、2つ目の理由の延長になると思うのですが、帝都で虐げられている亜人族の情報を持っているのは、彼らを保護していた貴女だと思ったんです。結果、帝都の亜人族を保護するには、彼らに信頼されている人物の協力が必要だと判断し、俺は貴女と契約したいと思ったんです」


俺が説明した言葉を聞いたレオノーラさんは、俺の言葉をしっかりと飲み込んだ後、


「言って良いのか少し悩んだのだが、君は私に相談をしようとは思わなかったのか?随分と回りくどいやり方をした様だが…」


俺にそう言ってくる…。

彼女の言葉を聞いた俺は、


「痛い所を突かれました。確かに回りくどいやり方をしている自覚はあります。と言っても、実際にはあまり苦労はしていないのですよ。ただ話を聞き上手く利用した結果、最高の結果を得られただけです。運が良いだけなんですよ。俺よりも動いていた、動いている人がいましたから。彼らには相応の報酬を与えたいと思っていますけどね」


苦笑しながら、自分の事では無いが自慢げに彼女に伝えると、


「他には何か聞きたい事がありますか?」


レオノーラさんに気になる事などがあるか質問する。

俺の質問を聞いたレオノーラさんは少しため息を吐くと、


「正直聞きたい事はあるのだが、それを聞いても私自身が理解し納得できる可能性が低い質問しか無い。ひとまず今は、私が世間では死んだ事になっているのだろう?ならば騎士団の団員達やスラム街の皆が酷い目に遭う前に、何とかしなければいけない」


聞きたい事はまだあると言いつつも、今優先するべき事を考えて質問は飲み込んだ。

そして、


「本意では無いが、君と契約した事で私にも利がある。君に付いて行くとする、その付き合いで今気になっている事も分かって来るかもしれないし、話せる時が来るだろう」


レオノーラさんはそう言うと、椅子から立ち上がって俺に手を差し出して、


「これからよろしく頼む、主よ」


そう言ってくるレオノーラさん。

俺はその言葉を聞いて彼女と同じように椅子から立ち上がって彼女の手を取ると、


「よろしくお願いしますレオノーラさん。塔は、貴女と貴女が大切に想っている者達を歓迎しています。一緒に頑張りましょう」


そう言ってレオノーラさんと握手をし、これからの事について話し合おうと椅子に座り直した瞬間、


「それ程の力があるのに、まだ上を目指すの?」

「力での強引な攻撃など、いつか負ける時が来る。力も必要だが、やはり剣を振るう技術も必要だ。私はそれを求めている」


草原島に移動して鍛練をしていたエルヴァンとルミルフルが、会話をしながら食堂に入ってきた。

その瞬間、俺はある不安が脳裏をよぎる。

ルミルフルは元々帝都を襲撃して、レオノーラさんと戦って闇オークションに売られたはずだ。

憎い敵がいる国を護るレオノーラさんと、その国を破壊したいルミルフル…。

どう考えても2人が出会ってもあまり良い雰囲気になるとは思えない…。

マズい、その事を考えていなかった…。

俺は彼女達を塔に向かえる故に起きる確執の事を失念していた。

しかし、


「ん?この声は?」


俺が考えている内に、レオノーラさんが何か聞き覚えがある声に反応して食堂の入り口に視線を向けると、


「んん?」

「ん?あれ、あんた?」


レオノーラさんとルミルフルが、互いに顔を見て視線を交じり合わせて声を発する。

それに続いて、レオノーラさんはルミルフルから視線を外して彼女の隣にいるエルヴァンにも視線を移すと、


「だ、第一級冒険者エルヴァン…。何故目の前に…」


レオノーラさんは混乱した様子で、2人に何度も視線を移していく。

そんな彼女の反応を見て、そういえばエルヴァンの名前を借りて俺がレオノーラさんと戦った事は言ったが、もしかすると冒険者のヴァルダと第一級冒険者エルヴァンは同一人物では無い事はちゃんと説明していなかった気がするな。

俺はのん気にそんな事を考えていると、


「どういう事かな?」

「何でこの女がここにいるの?」


レオノーラさんとルミルフルが、目が笑っていない笑みを俺に向けてそう聞いてくる…。

台詞だけ聞くと、女性関係の修羅場みたいな台詞ではあるが、今はそう言った話では無い。

このまま俺が黙っていたら、また戦いが起きるのではないだろうかと思わせる程、レオノーラさんとルミルフルからは闘志が漲っている…。

そんな2人に俺は、


「…1から説明するので、とりあえず落ち着いて座っていただけると幸いです」


俺は忠義を尽くしてくれるエルヴァンの前で、情けなくそう2人に声を掛ける。

既に座っているレオノーラさんは俺の前から移動する事は無く、食堂に入って来たルミルフルが同じテーブルについた。

エルヴァンは俺の様子で、ただならぬ雰囲気を感じ取ったのか、椅子に座っている俺の斜め後ろに立ち尽くして敬意を払ってくれる…。

その気遣いが、今は少し恥ずかしく感じつつ、


「詳しく話しましょうか」


俺は椅子に座りながら、視線だけを互いに向けて威嚇し合うレオノーラさんとルミルフルにそう言った。


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