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俺の言葉を聞いたレオノーラさんは呆けた表情をしていると、


「まさか、全て君の手の平の上で踊っていただけだというのか…」


俺にそう言ってくる。

彼女のその言葉に、


「そんな事ないですよ。元々計画を練っていた事もあるのですが、色々な俺に都合が良い話に乗っかっていただけです。運が良かっただけ。ただその都合が良い話の後の事も考えて、色々と手を回したりしないといけないですがね」


俺は苦笑しながらそう答えると、


「呆れて何も言えない。そこまで面倒な事をしてまで、私に固執しなくても良いと思うが?」


レオノーラさんが少し機嫌が悪そうな表情でそう言ってくる。

彼女の言葉に俺は、


「俺が手助けをしたいと思った者達に、貴女の力が必要なんですよ」


俺がそう答えると、レオノーラさんは首を少しだけ傾げる。

そんな彼女に俺は、


「前に話しましたよね?俺は亜人族の事が好きなんです。確かに犯罪をした亜人族であれば、犯した犯罪でそれ相応の扱いになってしまうのは仕方がないと俺は思っています。しかし、何もしていない、ただ亜人族として生きているだけで人族に虐げられている今の現状が許せないんです。だからレオノーラさん、俺に協力してください。帝都の、貴女の騎士団団長としての情報収集能力と、亜人族達からの信頼を、俺に利用させてください」


俺はそうお願いをした。

それを聞いたレオノーラさんは、


「まさか、帝都にいる亜人族を助けるために行動していたのか?」


そう聞いてくる。

俺はそう聞いてきた彼女に、


「帝都の外で色々な事が起きています。その内帝都でも、動きがあるでしょう。その前に、帝都に住んでいる亜人族を保護したいんです」


俺はレオノーラさんの事を見つめてそう言うと、


「………少し待ってくれ。色々と話しを聞いて更に頭が混乱してきた。一度落ち着かせてくれ」


彼女はそう言って俺に聞いてきた質問を呟き、その答えも呟きながら頭の中で話を整理しようとしている。

そんなレオノーラさんの事を待っていると、


「そうだ。この際もう今は考えるのは止めよう。聞きたい事は様々あるが、今は帝都の皆を護る事だけを考えよう」


レオノーラさんはそう呟きながら頷き、俺の事を見てくる。

そして、


「詳しい話は、帝都の皆を助けてくれた後で聞く。それより今は帝都の皆を助ける為に何をすれば良い?」


レオノーラさんは俺にそう聞いてくる。

彼女の問いを聞いた俺は、


「一応エルヴァンを名乗っている俺が、今は暫定的に帝都騎士団団長ですので、騎士団に所属している亜人族の皆さんを特定の場所に移動させる事は可能でしょう。スラム街の皆さんには、レオノーラさんの協力が無ければおそらく俺は信用されないだろうと思います」


彼女にそう話しをし出すと、


「なるほど、確かにスラム街の皆は私を殺した君の言う事など聞こうとはしないだろう。騎士団の皆も可能性があるが、もしかしたらそれでもギリギリ指示に従うと思う。常日頃から、亜人族を護る為には亜人族の騎士が必要と言っていたからな。私を殺した仇にも、嫌々ではあるが従う可能性は十分にあると思う」


俺の言葉に、少し不安そうにしながらも納得してくれる。

レオノーラさんの言葉を聞いた俺は、


「とりあえず、移動しましょうか。ここは倉庫なので、しっかりと話し合うには向いていません。移動して、ゆっくりと会話ができる場所に移動しましょう」


一旦話を切ってそう言って立ち上がると、座っているレオノーラさんに手を差し出す。

レオノーラさんは差し出した俺の手を見てから一拍間を置いてから、


「すまない」


俺の手を掴んで立ち上がると、少し苦しそうな表情になり、


「少し体が重い」


そう言って、自分の体を見ながら足踏みをしたり腕を少し回したりする。

レオノーラさんが満足するまで体を僅かに動かしているのを観察していると、


「す、すまない。案内してくれ」


俺の視線に気づいて、レオノーラさんが申し訳無さそうにそう言ってくる。


「大丈夫ですよ。では行きましょうか」


俺はレオノーラさんにそう返すと、倉庫の扉を開けて廊下に出る。

俺が先に塔の廊下に出て、それに続いてレオノーラさんが廊下に出てくると、


「な、何だここは…」


レオノーラさんは塔の上の方に視線を向けてそう呟くと、少し早歩きで塔の頂上まで吹き抜けている階段までやって来ると、そこから下と上へと何度も確認をする様に視線を行き来させる。

そんな彼女の後ろから、


「気をつけてくださいね。落ちても死なない様にはなっていますが」


そう注意をすると、


「帝都には、こんな高い屋敷など無かった。ここは、一体どこなのだ?」


レオノーラさんがそう聞いてくる。

彼女の質問に俺は、どう答えたら良いのかと考えて、


「説明がし辛いのですが、簡単に言うとここは俺が創り上げた場所です。帝都の干渉を受ける事が無い、自由な場所、と言いたいのですが…。最近はあまり自由な場所でも無いのですが…」


苦笑しながらそう答えると、レオノーラさんは俺を怪しんでいる様な表情で見てくる。

そして、


「世界を創るという事は、君は神か何かなのか?」


そんな事を言ってくるレオノーラさん…。

俺は彼女の言葉を聞き、


「違いますよ。俺はただのヒトです。ただこの世界に物を運び入れて創り上げただけって話です。特別な事は何もしていません」


俺がそう答えると、レオノーラさんは納得している様子は無さそうだが、


「…そうか」


そう一言だけ返事をしてくれる。

俺はそんな彼女を案内するために階段を上り始め、レオノーラさんも俺の後に階段を上り始める。

少しして、


「ま、待ってくれ。長過ぎではないか?」


レオノーラさんが後ろから声を掛けてくる。

俺は足を止めて振り返ると、レオノーラさんが手すりに体を預ける様な体勢をしている。


「すみません。レオノーラさんの体調を考えずに階段を上っていましたね。少し休憩しますか?」


俺がそう聞くと、


「そうしてくれると助かるが、正直何故ここまで疲労しているのか疑問だ。まるで、自分の体ではない様だ」


レオノーラさんがそう言って息を整えようとする。

そんな彼女に俺は、首から下げていた本の中の世界(ワールドブック)を開いてレオノーラさんのステータスを確認すると、


「それは仕方が無いですよ。今のレオノーラさんは、レベル1に戻ってしまっていますから」


そう彼女に伝えた。

俺の言葉を聞いたレオノーラさんは俺の事を呆けた表情でまた見てくると、


「は?」


もはや質問ですらない、疑問しか感じていない反応をした。


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