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彼女は体力と引き換えに力を得ている。

ならば俺も、彼女と同じ様にするのが礼儀だろう。

俺はそう思うと、


「オーバーストライクッッ!!」


数少ない上級スキル、自分のHPを代償に攻撃力を底上げするスキル。

初めて発動したが、体の痛みと同時に力が有り余っている様な感覚に襲われる。

一気に畳み掛ける!

俺はそう思うと、地面を蹴ってレオノーラさんに斬りかかろうと思ったのだが、勢いが先程までとは違い一瞬で彼女の元まで駆け抜けてしまう。

流石のレオノーラさんも俺の動きに驚いた様で反応が遅れ、俺はその隙に右手の大剣を振り下ろす!

俺の大剣の振り下ろしをギリギリで受け止めたレオノーラさんだったが、俺はそこから左手に握っている大剣を構えると、


「スラッシュッ」


スキルを発動して、今度は炎で防がれない様に素早い攻撃を仕掛ける。


「がぁッ!」


大剣の素早い攻撃をまともに受けてしまったレオノーラさんが苦痛の声を上げると、俺が斬った腹から炎が噴き出す!

しかし今度はそれに引かず、大剣を一度両方とも俺の体の右側に構えなおすと、


「ツイン・ブレイクッ!」


スキルを使用して、大剣の同時攻撃で一気に重い一撃を炎に加える!

一振りでの攻撃より、二振りでの重い一撃にレオノーラさんから噴き出した炎が掻き消される!

瞬間、今まで制御していたレオノーラさんの炎が彼女の元にいた俺に鋭く変化して伸びてくる!

一本の炎の槍が俺の鎧に衝突すると、その部分が熱くなっていくのが分かる。

そして、


「ッッ!!」


レオノーラさんの炎の槍は、俺の装備を貫通してきた!

そのまま炎の槍が俺に衝突すると、肌が焼かれる感覚に俺は歯を噛み締める。

幸い体は貫通していない、しかしオーバーストライクを発動している状態での攻撃で、体の痛みが増した。

急がないとな。

俺はそう思い左手に握っている大剣を横に振るうが、その前にレオノーラさんが炎の剣を出して受け止める。

すると、


「ぐぉ!」


突然の腹部への衝撃に驚いて声を出してしまう。

見ると、そこには炎を纏った状態のレオノーラさんの尻尾が、俺に刺突をする様に突き立てられている。

どんどん龍の姿が見えてくるレオノーラさんではあるが、俺はそれをゆっくりと見る事も出来ずにただひたすらにレオノーラさんに大剣を振るう。

すると少しずつではあるが、レオノーラさんを護っていた炎が少なくなっているのが分かり、俺は最後の力を振り絞って彼女に攻撃をしていく。

最初は少なくなっていた炎で対処して、俺に攻撃をしていたレオノーラさんもどんどん防戦一方になっていく。

そして俺は、左手に握っていた大剣を地面に放り投げると、両手で大剣をしっかりと握りしめ、


「オォォッッ!!」


レオノーラさんに剣を振るう!

上から全力で振り下ろし、下から隙を突くように切り払い、横から腕力で強引に攻撃を通していく。

そして彼女の体を護っていた炎が、彼女の握っている一振りの剣まで消えると、


「わ、私は…負けられない。…負ける、訳には…」


彼女はそう言って、息も絶え絶えの様子でも剣を構えてくる。

あれだけの攻撃をしても、彼女の体は多少の切り傷で済んでおり、致命的な攻撃は全て彼女が纏っていた炎のお陰で無事なんだろうと思うと、


「うぁ…ア゛ァ゛ァァァァァァッッッ!!」


レオノーラさんは、絶叫に近い咆哮を上げながら俺に突撃してくる。

無謀な突撃。

しかしそれが分かっていても、彼女は地に伏せる訳にはいかないのだ。

俺はそう思い、


「良いだろう。全力で来るが良い」


大剣を構え直すと、レオノーラさんが振るった炎の剣を受け止め、つばぜり合いの様になる。

しかし彼女の剣は見るからに少しずつ細くなっていくのが見え、大剣を押してくる力もあまり重くは感じられない。

だがそんな状態になっても、彼女が俺に向かってくる事は止めない。

金属同士がぶつかっている訳では無いが、レオノーラさんと俺が握っている剣同士がぶつかる度に、何かが衝突している様な音がしてくる。

それが何なのかは分からないが、それが耳障りな事は無く、


「フ…」


その音が聞こえるのが当たり前だと思える。


「負けられない…ッ…。絶対に…!」


レオノーラさんはそう言って再度炎の剣をしっかりとした剣に変化させると、俺に向かってくる。

俺も両手で大剣を握り、振り下ろされる炎の剣を受け止め、


「まだ力を掌握しきれていない。その力を掌握したら、おそらく私を倒す事も、この国の者達を倒す事が出来るだろう」


俺が彼女にそう言うと、レオノーラさんは表情を顰めて、


「わ、私は帝都騎士団…団長…ッ!住民を傷つける…事などし…ないッ!」


そう言うと、先程よりも僅かにだが力が込められて押されるのが分かる。


「だが外にいる者達は、貴様が負け帝都にいる亜人族がいなくなる事を望んでいる様子だったぞ」


俺がそう言うと、レオノーラさんは少しだけ悲しそうな表情をすると、


「…いつの日か、亜人族と人族…が笑い合って…いる日が…来る事を私は…信じている」


そう言って、炎の剣が形を変えてファイアボールの様な球体に変化させると、


「すま…ないが…、もう…私はこれで最後の一撃だ。もう立っている…のも辛い」


彼女はそう言って片膝を地に付けて、俺の方に球体を向けてくる。

俺はレオノーラさんの言葉を聞き、


「ならば、騎士団団長として最後の言葉を聞くとしよう」


俺はそう言って大剣を構えて、脚に力を込める。

そして、


「…頼む。どうか…どうか…帝都にいる…亜人族の…皆を殺さないで…くれ…」


レオノーラさんは苦しそうな表情で、俺にそう懇願してくる。

そして、


拡散する赫く小太陽(龍焔の熾砲)ッッッッ!!!!」


レオノーラさんが紅蓮に輝く猛火の球体を放った瞬間、俺も地面を蹴って最後の攻撃を仕掛ける。

瞬間、俺に向かってきた猛火の球体は6個の球体に分裂をすると俺に迫ってくる!

前から迫る球体を大剣を振り下ろして消滅させると、今度は背中の方から球体が襲ってくる。

それを大剣を横薙ぎに振り払って消滅させると、肩の位置に衝撃と俺の防御力を貫通してくる灼熱の熱さに、俺は苦痛の声を吐きそうになりながらも我慢し、次に迫ってくる猛火を消滅させ、再度レオノーラさんに向かって加速する!

後2つ!

無我夢中に、迫りくる猛火の球体を目で追いかけていると、ふと闘技場の上層部分で優雅にこちらを見ている者達が視界に入り、これはレオノーラさんの最後の炎だ!

そう思うと、目の前に迫りくる彼女の炎を冑で受け止めると、その隙を狙った最後の猛火の球体が俺に向かって来る。

俺はそれを大剣で受け止めると、勢いを殺さない様に体を捻りながら大剣を勢いよく振り、俺はレオノーラさんが放った猛火の球体を観客席にいる皇帝陛下、閃光のいる場所に吹き飛ばす!

着弾したかどうかを確認せず、俺は大剣を刺突する様に構えて、既に息が絶え絶えなレオノーラさんに向かって駆け、その勢いで俺は大剣をレオノーラさんの体の真ん中に突き刺した。


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