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310頁

俺はレオノーラさんの方に向き直って、


「ファルシュ、下がっていろ」


俺がそう言って背中の大剣を抜き放つと、レオノーラさんも剣を抜き一気に後方へとジャンプをして俺との距離を取る。

ここからは、油断していられないな。

俺がそう思っていると、レオノーラさんが剣を構えて脚に力を込めるのが分かる。

瞬間、


「ハァッ!」


跳躍!

踏み込みの力強さで闘技場の地面に亀裂が入る程のスピードを出したレオノーラさんを刺突に、俺は大剣を盾の様に構えてそれを受け止めると、そこからレオノーラさんは剣から片手を離すと、


「喰らえッ!」


大剣を盾の様に構えている俺に向かって龍の腕に変質させた手の平を向けると、そこから炎の弾を発射させる!

近距離での攻撃に、俺もエルヴァンの様な重装備を着けている故に素早い動きをする事は出来ないと判断し、俺はレオノーラさんの攻撃を避けずに受け止めると、彼女との距離を離す為に俺は大剣を思いっきり振るう!

大剣を振るった事によってレオノーラさんも危険だと判断したのか俺の動きに合わせて距離を取ると、今度は剣を俺に向けて来て、


「エルヴァンと言ったな。街で見かけた事があるが、貴様がその子に対して酷い扱いをしていたとは思わなかったぞ!」


そう怒りを宿した声で言ってくる。

それを聞いた俺は、実際にエルヴァンはファルシュの事を大事に扱っているんだが、ここは彼女の力を最大限に発揮させる為に、


「亜人族だろうが、人族だろうが弱い者が強き者に歯向かう事は許されない」


挑発する様にそう言葉を発する。

それを聞いたレオノーラさんは、更に表情に力を込めると、


「つまり、私の権限を欲した理由はそこか!私の代わりに騎士団団長になった時、亜人族の団員達とスラム街の者達に危害を加えるという訳だな!」


俺にそう言ってもう一度特攻をしてくる!

速い、だが反対に冷静な判断が出来ていないのか攻撃が単調で受け止め易い。

俺はレオノーラさんの剣を大剣で受け止めて、そこから彼女の体が崩れる様に流すと、レオノーラさんはそのまま体のバランスを崩す。

どうしても、戦いに集中できていない感じに俺は少し違和感を覚える。


「騎士団団長ともあろう者が、怒りなどに身を任せて冷静な戦いを出来ない。貴様の騎士団の実力も底が知れるな」


俺はそう言ってレオノーラさんの腹部を殴りつけると、俺は彼女を反対側の壁に当てる様に吹き飛ばす。

しかし、殴った際に感じた感触は硬く、おそらく彼女に対してあまりダメージを入れられていないと考えると、今度は俺の方から攻撃を仕掛ける事にする。

俺に吹き飛ばされたレオノーラさんの元に、俺も地面を蹴って跳躍をすると、その勢いのまま大剣を両手で握って、勢いと大剣の重みで大剣を振るう。

風を切る音とは思えない鋭くも重い音にレオノーラさんは危機を察知したのか、表情を歪めながら俺から距離を取ろうとする。

俺はそのまま大剣を振り下ろして地面に叩き付けると、轟音と共に闘技場の地面に亀裂を入れる。

更にそこから追撃で大剣を横薙ぎに払うのだが、それもレオノーラさんは避けて今度は彼女が攻撃を仕掛けてくる。

両手で握った剣を斜めに、横に、縦にと無数に斬りつけてくる!

俺はそれを大剣で受け止めていると、ふと彼女の手が龍になっている事に気がつき、龍の部分が広がって行く度に力が増幅されている事に気がつく。

長期戦はマズいかもな。

俺はそう思うと、レオノーラさんの攻撃を受け止めて背負っている大剣を抜き放ちその勢いのまま振り下ろす!


「くッ…」


レオノーラさんもある程度警戒していた様ではあるが、それでも自身の攻撃に集中していた所為か判断が一瞬遅れ、俺の振り下ろされた攻撃を寸前で避ける!

しかし、今度は反対に持っている大剣を横薙ぎに振り払うと、


「がぁッ!」


レオノーラさんは自身の剣で防御しつつも、俺の攻撃の衝撃に耐えられずに吹き飛ばされる。

だが吹き飛ばされたレオノーラさんは、空中で体勢を整えると、綺麗に闘技場の地面に着地をして動きを止める。

二振りの大剣を握っている俺の対抗策を考えているのだろう。

だが、それを待っていられる程俺も余裕がある訳では無い。

一気に勝負を仕掛ける!

俺はそう思うと、地面を蹴ってレオノーラさんの元に瞬時に近づくと、勢いのまま大剣を振り下ろす!

レオノーラさんはそれを剣で受け止めた後、流す様に剣を動かして大剣の軌道を変えようとしてくる。

俺はそれに促されるまま大剣を振り払うと、もう片方の大剣を同時に横に振り抜く!

しかしそれをレオノーラさんは身を低くして躱すと、下からの振り上げの攻撃を仕掛けてきた。

冑部分に刃が辺り、金属同士がぶつかる音が聞こえ、


「硬いッッ!ならば!」


レオノーラさんはそう言って俺の握っている大剣を足場として跳躍すると、俺の首を狙って剣を刺突してくる!

俺はマズいと判断しそれをギリギリの所で躱すと、大剣を振り上げて少し高い空中にいるレオノーラさんに攻撃をする。

しかしそれをレオノーラさんは剣で防ぎ、俺の力を利用して後方へと下がる。

すると、


「ハァァァッッッ!!!」


レオノーラさんがそう声を上げると、俺に向かって特攻してくる!

俺もそれに応じて、俺の元に駆けて来るレオノーラさんを迎え撃つと、今までの攻撃以上に手数を増やし、速さも一段階上げてきた。

激しく鳴る金属同士の衝突音と、顔の真横をすり抜けていく剣が風を斬る音が、うるさく感じながらも闘志を燃やす起爆剤の様に感じる。

皇帝陛下がいるとか関係なしに、ただ目の前の相手を倒す事だけに集中をする。

おそらく俺とレオノーラさんの気持ちは、同じ状況に陥っているだろう。

向かってくる相手の攻撃を避け、受け止め、流す。

そして防御をしつつ、相手の隙ができると同時に反射的に剣をそこに振るう。

本能的に、目の前の相手が油断をすれば容赦なく攻撃を仕掛け、危ないと思えば無理矢理にでも体勢を変えて防御に徹する。

だがそれでも、俺はまだレオノーラさんが本気を出していないのが分かる。

レベルの限界を超えた、超越者の彼女の力はこれでは済まないだろう。

俺はそう思い、


「貴様が本気を出さない限り、私を倒す事は不可能だッッ!!」


絶叫をする様に大声でそう言うと、俺は左手で握っていた大剣を放り、両手で大剣を握りしめる。

その様子を見たレオノーラさんは危機を察知して剣でガードをする。

それを見た俺は全力で大剣を振り下ろすと、金属の衝突する音、そして何かが壊れる破壊音、そして俺が振るった力の余波で闘技場の地面が一気に砕け足場が悪くなる崩壊音が聞こえてくる。

そして、


「………」


俺の攻撃を受け止めきれずに剣が折れてしまった様子を、表情を歪めているレオノーラさんがこちらを見ていた。


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