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301頁

レオノーラさんが呟いた言葉を聞いた俺は、


「レオノーラさん、俺が聞くのも変な事なんですが…」


少し気になって彼女に声を掛ける。

俺の言葉を聞いたレオノーラさんが、俺の方に振り返り、


「どうしたのだ?」


不思議そうに俺に聞いてくる。

彼女の言葉を聞いた俺は、


「いや、俺から言い出した事なのでこんな事を言うのも変な事なんですが、何で俺の言葉を信じて守護の印を刻印させて下さったのかなと…。女性ですから、やはり男である俺に胸元を晒すのは抵抗があったのではないかと。それにただ数回話した程度の俺の言葉を信じて、胸元を晒すのは危険だったのではないかと思って」


レオノーラさんにそう聞いてみる。

すると、俺の言葉を聞いたレオノーラさんは少し呆れた様な苦笑をすると、


「まぁ確かに、恥ずかしい気持ちはあったさ。しかしこの印は、戦う者に刻まれるモノなのだろう?ならば、戦う者に男女など関係は無い。君が変な事を考えて行っていたとするのなら、それは私が邪な考えを見抜けなかった私が悪い。…君は、私にそんな感情でここに刻印をした訳では無いだろう?」


自身の胸元を指差して、俺にそう聞いてくるレオノーラさん。

彼女の表情は僅かに笑みを浮かべ、少し自信を感じさせられる。

確かに、普段の俺ならば僅かにだが邪な気持ちを持って彼女と接しているだろう。

しかし今回に至っては俺もとても真面目な気持ちで、騙す形ではあるが彼女の事を考えて行動している。

俺はそう思うと、


「そうですね。()()()、今回だけは貴女に下心無しで近づきました」


レオノーラさんにそう伝える。

それを聞いたレオノーラさんは少し表情を顰めると、


「それは、つまり前に出会っていた時は下心があるという事だな?私は君が亜人族を虐げない者だと思って信頼していたのに、まさか下心を持っていたなんて」


そう言ってくる。

彼女のそんな様子に、


「い、いやいやそういった意味での下心ではありません!これまで以上に、レオノーラさんと親しくしたいと思って近づいてきたのは認めますが、亜人族を虐げるつもりで近づいた訳ではありません!」


俺は慌てて彼女の言葉に訂正をすると、俺の事を疑っている様な目で見てきたレオノーラさんが少し笑い、


「君もそんなに慌てる事があるのだな」


そう言ってどんどん笑い声を大きくしていく。

レオノーラさんのそんな表情の変化に、俺はからかわれたのだと理解すると、


「心臓に悪いですよ…」


一言だけ文句を言う。

俺の言葉をを聞いたレオノーラさんは、笑いながら謝罪をしてくると、


「すまないすまない。…さて、君と話して少し気持ちも軽くなった。私はそろそろ他の所の掃除に行くとするか」


レオノーラさんは気持ちを切り替える様にそう言うと、


「ミア、そろそろ違う所へ移動するぞ!」


小屋の中へと入って黙々と掃除をしていた女性にそう声を掛ける。

レオノーラさんのそんな声に、


「わ、私がやりますから、レオノーラ様は体力を温存させて下さい!」


小屋から慌てて飛び出してきた女性がそう言うと、俺の事を少し見た後に、


「フンッ!」


何故か、嫌がられる様に息を吐き出されて歩き出してしまった。

もしかして、レオノーラさんと話していた事とか聞いていたのだろうか?

俺がそう思っていると、


「では、また今度会おう。今度話す時は、決闘の詳細を教えてやる」


先へ行ってしまった女性を見て苦笑をしているレオノーラさんがそう言い、女性を追いかける様に歩き出す。

俺はそんなレオノーラさんの背中に、


「楽しみにしていますよ!」


そう声を掛ける。

俺の言葉に何か返答をした訳では無いが、それでもレオノーラさんが俺の言葉に何かしらの返答をしている様に感じつつ、彼女の言葉は次の事を考えての言葉だったなと思いながら、俺はその場を後にした。

レオノーラさんとの思わぬ遭遇をし、話を終えた俺は次に予定があったブルクハルトさんの商館へとやって来ていた。

商館へと入ると、いつも通り亜人族の女性が俺の元までやって来て、


「少々お待ちください、ご主人様を呼んで参ります」


俺にそう言って一礼をすると、商館の奥へと駆けて行く。

少ししてブルクハルトさんが女性と共にやって来ると、


「ビステル様、例の奴隷の事ですが…」


少し申し訳無さそうにそう言って、商館のいつもの一室へと案内をしてくる。

そんなブルクハルトさんに従って部屋に入ると俺はソファに座り、対面側にブルクハルトさんもソファに座る。

そして、


「申し訳ございません、ビステル様。ビステル様から頼まれた男性の売買の件ですが、少し手間取ってしまっており、もしかしたらビステル様が必要な時にはまだ準備が整っていない状態かもしれません」


ブルクハルトさんが俺にそう言って謝罪をしてくる。

それを聞いた俺は、


「戦いは明後日、それから行動しないといけないですが…。特に問題は無いでしょう。急ぎすぎて、ブルクハルトさんが危険な状況にならなければ大丈夫です。こっちは俺が何とかします。協力関係なんです、俺の事も頼ってください」


ブルクハルトさんにそう伝える。

それを聞いたブルクハルトさんは俺にお礼を言ってきた後、これから別件の話し合いもある事なので失礼しますと言って部屋から出て行ってしまった。

どうやら、彼も相当忙しい様だ。

俺はそう思うと、周りの皆が頑張っているのに俺は何もしない訳にはいかない故に、しっかりと自分のやる事をしようと思い動き出す。

ブルクハルトさんの商館を出ると、俺は帝都を出て近くの森に再びやって来る。

ここにはいつもお世話になっているな。

俺はそう思いながら、まずは素材の採取をし始める。

続いて川までやって来ると、水を手に入れる。

これからどんどん必要になるだろうしな。

俺はそう思いつつ、水を見ている内に海の向こうにいるアンリの事が気になり、今回の騒動が終わったらすぐにジーグへ行こうと思いつつ、それに海の亜人族の人達とも交流したいと思いを巡らせながら、素材の採取を続けた。

そうして俺は満足するまで採取を続けてから、帝都の宿へと戻った。


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