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俺の言葉を聞いたレオノーラさんは、少し呆気に取られた様に呆けた表情をした後、僅かに微笑みを俺に向けて、
「君の言う通りだ。私は負けてはいけないのだ。負けた時の事を考えるのは、意味が無い事だ」
俺にそう言ってくる。
そんな少し自信が戻ったレオノーラさんを見た女性は、
「そうですね。レオノーラ様は負けません!支えますので、レオノーラ様は体力を温存させて、万全の状態で戦って下さい!」
「あっ!おいミア!」
レオノーラさんにそう言うと、小屋の外側の壁を掃除していたレオノーラさんのブラシを横取りすると、即座に掃除に取りかかる。
そんな女性の様子にレオノーラさんは、呆れた様な笑みを向けると、
「まったく、良い理由を見つけて私の罰を拒否したな」
そう言った。
そんなレオノーラさんを見た俺は、
「それで、いつ戦いの日か決まったんですか?」
レオノーラさんが持っている手紙を見ながらそう聞くと、
「ん?あぁ、明後日に決まったな。明日に向こうの相手に伝えるらしい」
俺の質問にレオノーラさんがそう答えてくれる。
明後日か、それまでに俺の方も準備を進めないといけないな。
俺はレオノーラさんから聞いた情報を聞き、予定を考えつつ、
「そうだレオノーラさん。1つ自分のお願いと言いますか、言う事を聞いて欲しいのですが…」
レオノーラさんにそう言うと、
「どうしたんだ?」
不思議そうな表情で俺の事を見てくる。
そんな彼女に、
「俺の周りは、親しい者が戦う時にはある事をするのですが、それをしても良いですか?」
俺はレオノーラさんに本題を話し出す。
レオノーラさんと会う理由のほとんどが、これがしたかったのだから。
俺がそう思っていると、レオノーラさんは首を傾げて、
「それはどんなモノなのだ?」
そう聞いてくる。
彼女の質問に俺は、
「この紙の切れ端、特別な物で体に押し付けると守護の印が刻印されるんです」
本の中の世界の切れ端をレオノーラさんに見せて、俺は彼女に嘘を吐く。
俺の説明を聞いたレオノーラさんは、見せてくれと言ってきたので切れ端を彼女に渡すと、
「普通の紙の切れ端にしか見えないが、これを体に押し付けるのか?」
レオノーラさんが切れ端を表や裏面を見てそう言い、腕に押し付けようとする。
「ちょっと待ってください。それは特定の場所に俺や俺と同じ?様な人が押し付けないと意味が無いので、出来れば俺にさせて貰えるとありがたいのですが…」
俺は少し慌ててレオノーラさんにそう伝えると、レオノーラさんはすまないと俺に謝罪をしてきて切れ端を俺に返してくれる。
「ふむ、君もこういうモノを使うのか。少し意外に感じるな」
俺に切れ端を返したレオノーラさんがそう言ってくる。
それを聞いた俺は、
「そうですか?レオノーラさんは俺の事を認めてくれていますが、俺はそこまで強くないですからね」
笑ってレオノーラさんにそう伝える。
俺より強い者は沢山いる。
塔の皆も、ある特定の魔法や攻撃手段なら俺よりも強い。
おそらくレオノーラさんも、もっと強くなれるだろう。
俺がそう思っていると、
「それで、これをどこに付けるのだ?」
俺が手に持っている切れ端を見て、レオノーラさんがそう質問をしてくる。
彼女の言葉を聞き、俺は少し緊張しつつも彼女に俺がこれから言う事が特別な事では無い様にバレない様に気をつけようと思い、
「これを心臓…胸元に付けたいと思っているのですが、大丈夫ですか?」
俺がレオノーラさんにそう聞くと、レオノーラさんは少し呆然とした後に俺の持っている切れ端と自分の胸元に視線を行き交わせると、
「な…そ、そうか…」
レオノーラさんの表情が、珍しく大きく変化する。
いつもキリッとしている表情は少し変わり、恥ずかしそうに口元が歪み不安そうな表情をしている。
頬も少し赤く染まっており、普段からは想像出来ない彼女の姿を見て俺は、
『ありがとうございますッッ!!』
心の中で全力でお礼を言っていた。
キリッとしている女性が、可愛らしくしている仕草はとても良い、最高だ。
俺はにやけそうになる表情をなんとか制御して冷静に保つ。
すると、
「ん゛…恥ずかしい気持ちはあるが、それでも君からの厚意だ。無下にはしたくない。それにこれは、私の事を思っての事、不埒な考えで言ってきている訳では無いのだからな」
レオノーラさんがそう俺に言いつつも、自分に言い聞かせる様に言葉を放ち、まだ頬に赤みを帯びていつつも普段の表情に戻り、
「お願いしよう。しかしここで衣服を動かすのはいくら私でも恥ずかしい。小屋の中で構わないか?」
俺にそう聞いてくる。
レオノーラさんの言葉を聞いた俺は罪悪感を感じつつも、
「分かりました。では少し小屋を借りましょうか」
そう答える。
俺の言葉を聞いたレオノーラさんが小屋の中へと入ると、俺の彼女に続いて小屋の中へと入る。
小屋に入ったレオノーラさんは、俺の方に振り返ると、胸元が見える様に衣服をずらしてくれる。
彼女が俺の事を少しでも信用してくれてここまでしてくれているのだ、先程までの邪念を吹き飛ばしてしっかりとやらなければ。
俺はそう思うと、
「少し、指先程度触れます」
レオノーラさんにあらかじめ確認をして、俺の言葉にしっかりと頷いた彼女を見てから、レオノーラさんの胸元に触れて本の中の世界の切れ端を押し付ける。
その際に、
「ん…」
何に対しての声かは分からないレオノーラさんの声に、一瞬ドキッとしてしまった…。
しかし、俺が少しドキッとした隙に切れ端はレオノーラさんの胸元に、刻印を残していくと完全に消滅してしまう。
俺は切れ端が無くなった瞬間にレオノーラさんの胸元から指先を離し、
「もう大丈夫ですよ」
服を直しても大丈夫と彼女に伝える。
俺の言葉を聞いたレオノーラさんは、俺に背を向けて胸元を確認したのか、
「これが、守護する印なのか?」
彼女がそう聞いてくる。
レオノーラさんの問いに俺は、
「はい。これで、レオノーラさんは負けませんよ」
彼女の問いにそう答える。
俺の言葉を聞いたレオノーラさんは、
「…??不思議な気分だ。体が軽くなった様な、疲れなどが無くなった様な気がする」
そう言って腕を少しだけ動かし、
「…絶対に勝ってみせる」
決意をする様に、そう呟いた。
その言葉には、覚悟や戦いに対しての熱意などが宿っていた。
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