表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/501

2頁

眩しいのが終わるのを少し目を細めて待っていると、眩しさが無くなってくる。

目をしっかりと開けて周りを見ると、そこにはいつも見慣れている光景がある。

昔に比べて人口が減り、NPCの声だけが聞こえる商店街の通り。

サービス終了だって言うのに、全然人がいないな。

俺はそう思いながら、メニュー画面を広げて今現在この世界にいる仲間を調べる…が…。


「おいおい…1人だけじゃん」


俺の悲しいツッコミが、NPCの声に掻き消される。

すると、


「あれ?ヴァルダじゃん!」


メニュー画面と睨めっこをしていると、後ろから声を掛けられる。

ヴァルダとは俺のキャラクター名だ。

ヴァルダ・ビステルというキャラ名で活動している。

振り返ると、そこにはお互いに最後までこの地に残った戦友、戦鬼さんがいた。

戦鬼†無双というなかなかアレな名前なのだが、名前の通り無双するくらい強い。

職業は騎士ナイトの、物理攻撃特化型だ。

2人で一緒にイベントボスを狩りまくった事もある。


「戦鬼さんこそ、いつもより早いですね。こんなに早くどうしたんですか?」


戦鬼さんはいつも夜10時過ぎからログインしてくるから、まだ8時頃のこの時間にいるのは珍しい。

俺がそう思って質問をすると、


「…ここが最後の日なんだ。有休取っちゃったぜ~!もう朝からボス狩りまくりよ!」


戦鬼さんがイエ~イとピースをする。

相変わらずこの人は色々とアレだな…。

俺が顔を引きつらせながらそんな事を思っていると、


「それよりも、俺とヴァルダってフレンド登録して無かったんだな!」


戦鬼さんがそう言ってくる。


「そうですね。お互いにほぼ毎日ログインしてるので、フレンド登録してなくても会っていましたからね」


俺がそう言うと、戦鬼さんはなるほどなと頷く。


「どうですか戦鬼さん?最後にボス狩りでも?」


俺がそう戦鬼さんを誘うと、戦鬼さんは首を振って、


「いや、それよりもヴァルダとはしたい事があるんだよ」


俺にそう言って真剣な顔をする。

え、まさか…。


「初めての愛の告白は女性にされたかったのに!こんなむさ苦しいおっさんにされるなんて!」


俺がそう叫び声を上げると、


「変な事言うんじゃねえよ!俺は恋人いるんだからよ!」


戦鬼さんがそんな事を言ってくる。


「そ、そんな…。こんな恥ずかしい名前の戦鬼†無双さん(笑)なんかに恋人が…」


俺はショックを受けながら倒れ込むと、


「酷すぎだろ!名前も悪くねえよ!」


戦鬼さんがそう言ってくる。

あぁ、楽しいな。

こんな楽しい時間もあと少しだけなんだな。

俺がそう思っていると、プレゼントが届いたと画面が出てくる。

差出人は目の前にいる戦鬼さんだ。


「…最後は戦友らしく…な?」


戦鬼さんの言葉を聞いて、俺は受け取ったアイテムを確認する。

そこには、


「これ、戦鬼さんのメイン装備の剣じゃないですか!」


戦鬼さんが使っているイスエンドという剣の名前が書いてある。

俺がそれに驚愕していると、


「ほら漫画とかであるだろ?戦友の武器を交換するみたいなヤツよ?一回で良いからやってみたかったんだよな~」


戦鬼さんが笑ってそう言う。


「…分かりました。じゃあ俺もメイン武器を…」


俺がそう言ってアイテム欄を確認していると、


「いや、これからヴァルダは狩りに行くんだろ?最後の戦いくらいメイン武器を使え。俺はサブ武器で良いぜ」


戦鬼さんがそんな事を言ってくる!


「それじゃあ割に合わないですよ!それに戦友なら…」

「まぁ落ち着け。どうせこの世界は終わっちまうんだ。俺は今日1日中遊んで満足した。だから次はお前が遊べ」


俺の言葉を遮って戦鬼さんが俺にそう言って肩を叩いてくる。


「…後悔しても遅いですからね」

「後で返せなんて言わねえよ」


俺は戦鬼さんにそう言うと、俺が作り出した上位武器を戦鬼さんに贈る。


「お、届いたって!これオリジナルじゃねえか!しかも最高級品レベル!これ贈っちまって良いのかよ!?」


武器を受け取った戦鬼さんが俺にそう言ってくるが、俺にはそこまで驚く物ではないと思う。


「良いですよ。せめて俺の作った武器を受け取って下さい」


俺がそう言うと、戦鬼さんは僅かに笑って、


「…おう。じゃあありがたく受け取るわ」


そう言ってくれた。


「今までありがとうございました。戦鬼さんと一緒に戦ったボス狩り、楽しかったです」

「俺もだ。またどこかのゲームで出会えたら良いな。俺はまたこのかっけぇ名前で登録するからよ」


俺と戦鬼さんは互いにそう言い合い、握手を交わす。

その手が離れると、戦鬼さんは商店街の先へ歩いて行った。

俺はその後ろ姿を見送った後、俺はメニュー画面を開いて戦鬼さんから贈られたイスエンドをお気に入り登録する。

これで間違って売ってしまう事も無い。

俺はそれを確認すると、唯一ログインしているフレンドにメッセージを送る。


『今から会えないか?』


俺がメッセージを送ると、少ししてメッセージが返ってくる。


『今ショップで買い物中!最後だから価格が全体的に下がってる!』


…最後だから買い物しても意味無いんじゃ…。

俺はそんな事を思いつつ、あいつはコレクターだった事を思い出す。

使えない装備から使える装備まで全てを集めている。

俺は更に、


『じゃあ一緒に買い物して良いか?良ければ場所を教えてくれ』


メッセージを送り、返事が来るか分からないので自分の予算を確認する。

とりあえず、持てる分は買ってみようかな。

豪快に回復薬をまとめ買いなんて、いつ以来だ…。

俺は少し前の事を思い出しながらショップへ行き、店に並んでいる回復薬から罠、武器に防具まで全てをまとめ買いした。

その結果、


「おおぅ‥。手持ちがすっからかんになったぞ…。銀行に預けてるお金も引き出しておこう」


俺は手持ちのお金をほぼ全てを使い切り、そんな独り言を呟く。

何とも言えない満足感と虚無感を胸に銀行へ行き、銀行にある貯金を全て引きだすと、


『家、来るなら勝手にして。鍵は開けておく』


メッセージが届いた。

どうやら家に行っても良い様なので、俺は町に設置されている転移ゲートを使ってフレンドの家の近くに転移した。


読んで下さった皆様、ありがとうございます!

評価して下さった方、ありがとうございます!

ブックマークして下さった方、ありがとうございます!

評価や感想、ブックマークをして下さると嬉しいです。

誤字脱字がありましたら、感想などで報告して下さると嬉しいです。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ