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城門で出会ったエメリッツに挨拶をすると、彼は嬉しそうに俺に挨拶を返してくると、城の門を開ける様に騎士達に指示を発する。

彼の言葉を聞いた騎士達が門を開けると、彼は我が物顔で城の中へと入っていき、ここまで堂々としていて良いのかと、前を歩く男に疑問を感じてしまう。

いくら偉い者でも、ここまで堂々と歩けるものなのだろうか?

俺はそう思いつつ、周りを見ても特に何も支障がない様子を見て、これで大丈夫なのだろうと理解する。

メイドと執事は普通に仕事をしている様で、俺達には対して気にしている様子は無いな。

いや、気にしていない様に見せかけているだけなのかもしれないな。

俺はそう思いつつ、やはり亜人族を虐げている者達である。

1人も亜人族がいない。

むしろ今までは亜人族を虐げている環境が多かったが、ここまで来るとそんな事すらしていない様だ。

城の中を見ながらも、先を歩くエメリッツに付いて歩いていくと、先程まで歩いていた装飾が煌びやかな廊下とは違い、おそらく使用人などが使っているのであろう裏側の通路へと案内される。

豪華では無くても、流石は城だ。

質素に見える壁も、おそらく上質な木材を使っているのであろう。

俺がそう感想を抱いていると、今度は階段を上り始める。

今まであまり気にしていなかったが、完全装備の鎧で階段を上ると結構動き辛いんだな、エルヴァンは普段からこんな感じなのだろうか?

普段身に着ける事が無い装備の感想を抱きつつ、階段を上り廊下を歩き続け、また煌びやかな廊下に戻って来ると、ある扉の前に辿り着く。

先を歩いていたエメリッツが部屋の扉を開けると、


「入ってくれ」


先に入った後に俺にそう言ってくる。


「失礼する」


俺はそう言って部屋の中へと入ると、少し意外というか最初に見たエメリッツの印象が少しだけ変わる。

部屋の中に置かれている書類の束と、書籍の山。

話し合いをするソファ周りは綺麗にされているが、おそらく執務をする机周りは結構散らかっている。

こんな人でも、仕事はしているのだな。

俺はそう感想を抱きつつ、背負っている大剣を少しずらしてソファに座ると、その対面にエメリッツが座る。


「さて、今日はこの後仕事があるのだ。手短に話を聞こうか」


ソファに座ったエメリッツがそう言ってくる。

それを聞いた俺は、


「戦いに勝利した際の権限、現騎士団団長の権限をそのまま移行させ、私の独断で物事を決定する事で構わない」


エルヴァンの言葉を真似てそう言う。

それを聞いたエメリッツは、少し驚いた表情をすると、


「現騎士団団長…あの女の権限を移行する事など、正直貴殿に利益が見込めない。どういうつもりだ?」


そう聞いてくる。

俺はそんな彼の質問に、


「私の利益は無くても、帝都の、皇帝陛下の利益にはなるのではないか?」


質問をし返す。

俺の質問を聞いたエメリッツは、少し考えた後、


「貴殿が行う事によっては、確かに帝都にとっては良い事であろう。しかしそれでは、団長にまでなった故の報酬など、正直微々たる物だぞ」


そう言ってくる。

後半の声が少し小さくなったのは、報酬が少ないと言う意味で言ったからであろう。

俺はそれを聞き、


「そちらの考えの通りだ。私は私なりに、様々な事を考えた。その結果、安定して報酬があるのならそれ以外に欲しい物は、ただ戦う相手がいれば良いだけ。今はいないが、ここには強き者がいるのであろう?」


エメリッツにそう言うと、理解出来ないモノを見る恐怖に似た感情を宿した目で俺の事を見てくる。

俺はそんな彼の様子を見て、


「この帝都の騎士になる者、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()確認し、必要では無いモノを切り捨てるつもりだ」


そう彼にハッキリと言うと、


「皇帝陛下も、さぞお喜びになる事だろう」


エメリッツは俺に笑ってそう言うと、俺の考えを理解してくれてそう言ってくれた。

よし、話はこれで纏まったか?

俺がそう思っていると、


「了解した。それでは、明日にでも戦いの場を設けよう。おそらく貴殿とあの女の戦いだ、普通の場所ではおそらく駄目だろう。場所は追って連絡の者を送ろう」


エメリッツがそう言い、俺は手を少し上げて、


「戦いの連絡は、騎士団団長にも送るのだろう?その際に伝えて貰いたい事がある、頼めるだろうか?」


そう質問をすると、エメリッツは不思議そうに俺の事を見て、


「それくらいなら、良いだろう」


了承をしてくれる。

了承の言葉を聞いた俺は、


「私が騎士団団長になった際の権限の移行を伝えて、殺す覚悟で戦えと伝えてくれれば十分だ」


エメリッツに、レオノーラさんに伝言を頼む。

それを聞いたエメリッツは、


「今回の戦いは、相当苛烈になりそうだ」


そう呟いて、引き攣った笑みを向けてきた。

その後俺はエルヴァンが泊まっている宿屋を教えた後、エメリッツに連れられて城を後にし、俺は帝都の街を歩いてエルヴァン達が待機してくれている宿屋に戻る。

部屋に入ると、


「お帰りなさいませヴァルダ様。…どうでしたか?」


エルヴァンが出迎えてくれてそう聞いてくる。

ファルシュは…ベッドで寝ていた…。

俺はエルヴァンの言葉を聞き、


「上手く話しには持って行けた。後はレオノーラさんに話が届き、出来れば戦う前に彼女に会いたいのだがな…」


そう答えると、


「では、これから私は冒険者ギルドに行っても構いませんか?」


そう聞いてくる。

俺はそんなエルヴァンに、


「あぁ。すまないな、俺の勝手で籠って貰って。俺も少し他にも用事があるから、俺は装備をいつものに直して、アンジェの指輪を付けて一緒に出る。姿が見えなくなったら、あまり俺の事は気にするんじゃないぞ?」


俺がそう言うと、エルヴァンは分かりましたと言ってから寝ているファルシュを起こし、ギルドに行くが一緒に行くか聞いている。

俺はその間に装備をいつもの軽装に着け直すと、ファルシュはエルヴァンと一緒に行くと言ってベッドから起き上がってモンスターの毛皮を被る。

そうして身支度を終えた俺達は、宿屋を出てから解散をして俺はブルクハルトさんの商館へ。

エルヴァン達は冒険者ギルドへと向かった。


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