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シュリカの部屋の前に辿り着いた俺は、部屋の扉をノックする。

少しして、


「は~い。ちょっと待ってて下さ~い!」


扉の中から靜佳の声が聞こえてきて、俺とメヒテアは少しの間扉の前で扉が開くのを待つ。

その間に、扉の向こう側から聞こえてくる音に俺は相変わらずなんだなとしか思えない。

靜佳、リアルでは普通に片づけと出来ていたのに、「UFO」だと結構部屋を散らかしているんだよな。

俺がそう思っていると、


「お待たせしました~。あ、おに………ヴァルダと…えっとメヒテアさん」


扉を開けた靜佳が、訪れた俺の事を見た後に嬉しそうな表情でお兄ちゃんと呼ぼうとしたが、俺の隣にいるメヒテアがいる事に気がついて、なんとかヴァルダと呼び直す事に成功した。

そして、俺の隣にいるメヒテアの事を見て、少し緊張した様子でメヒテアの事をさん付けして呼ぶ。


「シュリカ、また部屋にたくさんアイテムを散らかしていたのか?」


俺が靜佳にそう聞くと、


「仕方がないでしょ、私はお…ヴァルダと違って名前を見ただけでどんなアイテムか分からないんだから…。ちゃんとアイテムを確認しないと」


靜佳が俺の問いにそう答える。


「とりあえず、部屋の前で立ち話もアレだから部屋に入ってよ。どうぞどうぞ」


それに続いて、靜佳は俺とメヒテアを部屋の中へと促してくる。

俺はお邪魔しますと言って部屋に入ると、メヒテアは失礼しますと言ってから靜佳の部屋に入る。


「それで、ヴァルダは何でメヒテアさんと一緒に私の部屋に来たの?」


すると、何故かいきなり靜佳が何か含みがある様な質問をしてくる。

大体靜佳がこういう言い方をする時は、下手に誤魔化そうとしたりすると不機嫌になるのを知っている。

しかし今回メヒテアと一緒に来たのは、一応理由があるのだ。


「シュリカ、メヒテアの為に新しい目隠しを作ってくれないだろうか?」


俺はメヒテアの事をチラッと見た後に、俺は靜佳にそうお願いをする。


「ヴァルダ様?」

「お…ヴァルダ?」


俺の言葉を聞いたメヒテアと靜佳が、俺の名前を同時に呟いて俺の事を見てくる。

俺は、隣にいるメヒテアの事を見ながら、


「メヒテアの目隠し、前に作って貰った物を着け続けているんだが、メヒテアだって女性だ。装備などは変更させる事は出来ないが、目隠しなら色々と交換できるだろうし、メヒテアの気分で色や装飾の合う目隠しをしたら良いのではないかと思ってな。俺にはそこまで出来るスキルは無いが、シュリカにはそれが出来る力量があるからな。素材は俺の方で提供するし、報酬も言ってくれれば出来る限りで応える。メヒテアの為に作ってくれないだろうか?」


シュリカにそう説明し、お願いをする。

それを聞いたシュリカは、


「確かに、女の子として可愛かったり恰好良かったり、綺麗な物を身に付けたい時あるもんね。分かった、作ってみる!」


俺の言葉に賛同し、俺の隣にいるメヒテアの事を見ると、


「メヒテアさん、どんなのが良い?」


そう質問をする。

靜佳からの質問を聞いたメヒテアは、少し戸惑った様子で俺と靜佳の事を見てくる。

そんなメヒテアに、


「メヒテア、自分の好みというか、こういうデザインの目隠しが良いとシュリカに説明してくれ」


俺は靜佳に好みを伝える様に促すと、メヒテアは戸惑いながらも、


「で、では少しだけ綺麗な色合いの物を…」


シュリカにそうお願いをする。

メヒテアの要望を聞いた靜佳は、任せてと言うと俺に手を伸ばして必要なアイテムを言ってくる。

俺は靜佳の言葉に従い、アイテムを袋から取り出していくと、次々に取り出されるアイテムを少し乱雑に床に置き始める。

そうして言われたアイテムを全て出し終えると、靜佳は自身の愛用している装備を取り出してそれを装備すると、


「じゃあ、始めるね。スキル、研磨発動」


靜佳はアイテムを次々に加工していき、アイテムをを1つのモノに加工をしていく。

そんな光景を見ていたメヒテアは、


「凄いですね、ヴァルダ様」


感嘆の声を出し、靜佳の手で行われているアイテムの変化を楽しんでいる様子だ。

俺はそんなメヒテアの様子に、


「シュリカの技術は、俺よりも高度なモノだ。俺が取得していないスキルなどもあるからな」


俺がそう言うと、メヒテアは潤ってプルンとしている唇を僅かに開きながら、靜佳の動きをジッと見つめている。

俺はそんな表情をするメヒテアの事を横目で見て笑うと、


「そうだシュリカ。もう一つ頼みたい事があったんだが、聞いてくれるか?」


俺は真剣にスキルを使っている靜佳にそう声を掛ける。

すると、


「待って待って、今大事な工程だから。ヴァルダには分からないだろうけど、上位のスキルを使うとなるとタイミングとかもシビアになるんだから」


靜佳にそう返されてしまう。

それを聞いた俺は、靜佳が作業を終えるまで声を掛けない様にしようと思い、俺は靜佳の様子を眺めているメヒテアの横顔を見ながら時間が経過するのを待った。

やがて靜佳の動きが止まると、


「ふぅ~!結構良い仕上がりになったよ!」


靜佳はそう言って嬉しそうに、今仕上げた目隠しを俺とメヒテアに見せる様に手を伸ばして俺達に向けてくる。

黒の布に、黄金色の3体の蛇が絡み合う刺繍が施されている目隠しを見て、


「凄いな。色合いもメヒテアに合っていて綺麗な色合いになっているし、その刺繍も大き過ぎず小さ過ぎていないから、主張が激しくない」


俺がそう声を漏らすと、靜佳は満足気な表情をする。

すると、俺が先に感想を言ってしまった所為かメヒテアが声を出していない事に気がつき視線を横にいるメヒテアに移すと、


「………」


目元が見えていても、見えていなくても分かる。

一目惚れをした様な、気に入った様子をしているメヒテアの様子。

すると、メヒテアの様子を見た靜佳は嬉しそうな顔をして、


「何も言わなくても分かる程、分かり易い反応してくれてる~」


そう言うと、俺に今出来上がった目隠しを渡してくると、


「ほらヴァルダ。メヒテアさんにちゃんと着けてあげないと」


更に続けてそう言い、


「メヒテアさんの目の事は知ってるよ、だから私は隠れてま~す!」


置かれている家具の後ろへ行ってしまった…。


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