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アジ・ダハーカ、三つの首を持ち翼を広げれば世界を覆う事さえ出来ると言われているモンスター。
基本的に人の姿をしていないモンスターとして扱われている子達は、「UFO」時代から話をする事が出来なかった。
しかしこの様に、
「ヴァルダ様の事を考えているだけで、何をどうしてどうすれば良いのか分からずにどんどん悩んでしまうわ」
「ヴァルダ様は、待たされる苦痛を知っておくべきですわ!1人で考えて納得するまで考える事が止められないもどかしさ、苦痛は嫌ですわ」
「一緒に死ねば、大丈夫」
アジ・ダハーカは「UFO」での設定上、人と話が出来る魔法を習得しているという設定のお陰で話がする事が出来る。
ただし、苦痛、苦悩、死それぞれを象徴している言葉を話している。
それが聞き取るのに大変なのだ。
ゲーム時代なら、まだ会話内容を文章で表示させる方法もあったのだが、
「す、すまないな。色々と忙しくて中々ここへ来る事が出来なかった」
「あ、謝るんだったら許してあげるわ!ただし、私が気に入る品を献上する為に悩み苦しむと良いわ!」
「ヴァルダ様に謝罪をさせてしまった私をお許しください!ヴァルダ様が謝る程責めてしまった私はなんて罪深いのでしょう!私が苦痛をしなければ、ヴァルダ様に顔向け出来ません!」
「許す代わりに、一回死の?」
それぞれが違う反応で返してくれるお陰で、正直何を言っているのか分からない。
それぞれの言葉を少しずつ聞き取っているだけで、このままだと俺はアレンカ・ジェネフ・ダフネの言っている事を無視してしまう。
俺はそう思い、
「分かった。死ぬ事は出来ないが何か良い物を探しておこう。とりあえず最近来れていなかったのは俺の自業自得だ。次に来る時に期待していてくれ。…悪いが、今日はお願いがあって来たんだ、話を聞いて欲しい」
俺はとりあえず求めているであろう言葉を伝えると、俺が主体となって長く言葉を話させない様に、返事だけで答えられる様に言葉を伝えると、アジ・ダハーカの3つの首が同時に頷く。
「最近仲間になったルミルフルという女性がいるのだが、その人が強くなりたいと言っている。剣の事に関してはエルヴァンとバルドゥに任せた。魔法の事は、アレンカ・ジェネフ・ダフネに任せたいと思っているのだが、大丈夫か?」
俺が簡単に説明をすると、
「コクッ!」
「コクコクッ!」
「………コク…」
3つの首がそれぞれが頷かれる。
その光景に、可愛いなと感想を抱きながら、
「ありがとう。とりあえず、先にエルヴァン達に任せてレベルを上げるつもりだ。今はまだそこまで気にしないで大丈夫だから、気長に待っていてくれ」
そうアレンカ・ジェネフ・ダフネに伝えると、先程と同様にそれぞれの首が頷く。
俺はそれを確認すると、
「今度来るときに、それぞれが好きそうな物持ってくるからな」
そう言ってアレンカ・ジェネフ・ダフネの足元に近づくと、俺の手より数倍大きい手に触れて、
「待っていてくれ」
そう言うと、
「「「は、はい…」」」
珍しく同じ返事をしてきたアレンカ・ジェネフ・ダフネ。
彼女に背を向けて塔に戻り、今度は靜佳の部屋へと向かう。
塔の階段の往復に少し大変に思いつつ途中から無心で上っていると、
「ヴァルダ様」
珍しく、メヒテアと階段でバッタリと出会った。
「珍しいな、こんな所でメヒテアと会うとは」
俺が心の底から思った事を呟くと、
「申し訳ありません」
メヒテアが謝罪の言葉を伝えてくる。
それを聞いた俺は、無意識にメヒテアを責めてしまったのだと察し、
「謝る必要など無い。メヒテアが自由に行動しているのは、俺からしたら嬉しく感じるぞ。ただでさえ、メヒテアには塔の出入り口を任せているんだ。そこからあまり動かない様に指示を出してしまった俺が悪いのだが、メヒテアとこうして階段で軽い会話をするのも楽しいものだ」
俺は慌ててメヒテアにそう伝えると、
「そ、そこまで考えて頂いていたなんて…。勿体なきお言葉、ありがとうございます」
メヒテアの声が、少し喜びの感情を宿しているのが分かって安心して、
「それにしても、メヒテアは階段を下りてどこへ行こうとしてたんだ?」
俺がそう質問をすると、メヒテアは少し頬を緩ませて、
「あまり目的地は無いのです。ただ気の向くままに、塔の中を見て回っているのです」
そんな儚い様な、寂しくなる様な事を言ってくるメヒテア。
俺は彼女の言葉を聞いて、
「なら、今日は俺に付き合ってくれないか?」
メヒテアにそう聞く。
それを聞いたメヒテアは、少し慌てた様に辺りをキョロキョロすると、
「わ、私でよろしければ…」
そう言ってくれる。
俺はそれを聞き、
「では、ついでにシュリカの所へ行っても良いだろうか?俺個人としては、メヒテアにも会って親睦を深めて欲しいと思っている」
メヒテアにそう聞いてみると、
「ヴァルダ様にお任せします」
そう答えてくれる。
俺はメヒテアの言葉を聞き、
「では、シュリカの部屋に行こうか。下がって来ていたメヒテアには申し訳ないが、階段を上るぞ」
俺がそう言うと、メヒテアは首を少しだけ左右に振り、
「構いません。元々行く当ては無かったのです。ヴァルダ様が謝罪をする事などありません」
そう言ってくれる。
俺はメヒテアの言葉を聞き、彼女に感謝の言葉を伝えた後に階段を上り始める。
階段を上っている途中、
「塔に新しく入ってきた者達とは会ったか?」
「会う者もいれば、会わない者達もいます。セシリアが教えてくれた、最近来たエルフの人達とは会っていないですね。塔に来る事自体が少ない様で…。よく合うのは、ルミルフルさんと彼女の側にいる子供達でしょうか?よく出入りをするので、挨拶などはよくします。子供達が、私の目隠しを気にして質問をしてくるのは、少し説明がし辛くて大変ではあります。子供達に、メデューサの目の事に話しても楽しい訳では無いので」
俺とメヒテアは最近の近況を話し、そうしている内に俺とメヒテアは靜佳、シュリカの部屋の前まで辿り着いた。
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