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ハイシェーラさんが消えた後少しして、部屋の扉がノックされて扉を開けると、


「ハイシェーラ様が、お呼びしています」


竜人族の女性がそう言って頭を下げてくる。

俺はエルヴァンとファルシュには部屋に残って貰い、俺は女性にお願いしてハイシェーラさんの元に案内してくれる様にお願いし、俺は部屋を出て女性の後を追いかける。

女性の後ろを付いて歩いて行き遺跡の中を移動する。

ハイシェーラさんと一緒にいた時も思ったが、壁のどの模様も同じに見えて今自分がどこにいるのかも分からないな。

俺がそう思っていると、先程までいた俺達が借りている部屋とは違って扉がない部屋へと来ると、


「こちらでハイシェーラ様がお待ちです」


そう言って部屋の外の壁に背を預ける様に立つ。

俺はそんな女性の事をチラリと見た後、俺は部屋の普通なら扉がある場所に下がっている幕の様な物を手で動かして中に入る。

そこには、モンスターの毛皮か何かを何重にも敷いたであろうベッドの上で横になっているハイシェーラさんがいた。

どうやらここは、病室みたいな安静室みたいな感じの部屋なんだろう。

もう1つ、ベッドがあるがそこには誰もおらず、部屋には俺とハイシェーラさんしかいない。

俺はそれを確認した後、彼女の元まで歩み寄る。

すると、


「すまないな、皆私の回復には慎重でな。起き上がる事は許されても、立って歩く事は禁止されてしまったんだ」


ハイシェーラさんがそう言ってベッドから起き上がろうとする。


「構いません、楽にして下さい」


俺が起き上がろうとする彼女を止めようとすると、


「盟約を結ぶのに、片方がベッドに横たわっているのは失礼だろう。まぁ、ベッドの上に座っているのも良い事では無いが…」


彼女は俺の言葉を聞くが、それを気にしないで起き上がってベッドの上に座る。

そして、


「手を出してくれ」


ハイシェーラさんが俺にそう言ってくる。

俺は彼女の言葉を聞き、先程の悲しい握手をしようとしていた時と同じ様に手を差し出すと、


「ここに盟約を」


ハイシェーラさんは、片腕をドラゴンの腕に変化をさせてそう言う。

俺がその手を握ると、


「これからよろしくお願いします」

「あぁ。私等の事も頼むぞ」


俺とハイシェーラさんはそう言い合い、今日はハイシェーラさんの体の事を考えてそれで終わりにし、話し合いは明日からになった。

俺はまたここまで連れて来てくれた女性に案内を頼み、俺はエルヴァンとファルシュのいる部屋へと戻った。

その際に昨日と同じ様に食事が届き、俺はそれのお返しに肉系の食料を渡す。

俺の渡した食料にファルシュが羨ましそうに見ていたので、ファルシュにもそれを渡した後は食事をしながら明日の事とこれからの事について話し合いを始める。


「もぐもぐ…それで…明日の…話し合いはどうするんだ?」


食べ物を口に入れながらそう聞いてくるファルシュに、


「まず彼らにはここに住み続けて貰う。帝都との依頼には、皆殺しにしたという話で進める。確認するにも、帝都からここまでは距離がある。今ジーグの亜人族が反乱を仕掛けるか情報の確認をしている状況で帝都も騎士団を動かす訳にもいかないだろうし、偵察する者がいても一団では無いだろう。数人の人達なら、この遺跡に辿り着ける可能性も低い上に、見つけたとしてもこの遺跡の中では道が分からないから深追いは出来ないはずだ。奥の方に竜人族の皆には隠れて貰って、やり過ごして欲しいと伝える」


俺がそう答えると、


「ファルシュ、飲み込んでからでないと、ヴァルダ様に失礼だ」


エルヴァンはファルシュにそう注意をした後に、


「しかしヴァルダ様、それでは彼らが戦いを望む場合はどうやってジーグの者達と合流させるおつもりでしょうか?」


そう聞いてくる。

エルヴァンの問いに対して、


「彼らは翼を持っているそして俺も、カルラや他の者に頼めば空を移動する事は可能だ。距離は分からないが、ある程度の道中の景色などは覚えた。彼らに対しての連絡は俺自らしようと思っている」


俺はそう答えると、エルヴァンはカルラなどに任せる、なるほどと納得した様子だ。

しかし今俺が言った言葉は、所詮俺の事情や考えだけを言っただけに過ぎない。

竜人族の人達にも事情はあるだろうし、明日の話し合いを早く進めて帝都に帰らなければ…。

俺がそう思っていると、


「なんか……んぐっ!難しい話してるけど、一応これで依頼は終わったんだろ?帝都に戻ったら、良いモンいっぱい食いたい!」


ファルシュがキラキラした目でエルヴァンにそう言う。

ファルシュの言葉を聞いたエルヴァンは、


「そうだな。今回はファルシュにも無理をさせた。好きなだけ食べさせよう」


そう伝えると、ファルシュは嬉しそうな顔をする。

それを見て俺はエルヴァンに、


「エルヴァン、第一級冒険者の仕事の方はどうなのだ?話を聞いてみたい」


聞いてみる。

少し気になっていたのだ、先日第二級冒険者になって感じた事を。

第三級冒険者から第二級冒険者になった時に、依頼料の違いと受けられる依頼の種類の違いに。

冒険者として登録した際に、受付の人に軽く説明はされていたが、まさかあそこまで違いがあるとは思っていなかった。

正直第三級冒険者は、依頼の仕事だけでは生活は出来ないと感じる。

俺がそう思っていると、エルヴァンは俺の質問に答えてくれた。

第一級冒険者になると、決められた依頼数を完了させなければいけない話や依頼料の額、依頼内容は第二級冒険者と変わらない感じではあるが、第一級冒険者としての名が依頼完遂の保障になっているみたいに感じた。

実際、護衛依頼を受ける際には第二級冒険者は依頼を受けるのにこちらからお金を支払わないといけないが、第一級冒険者はそれをギルドから出してくれると教えてくれた。

エルヴァンは基本的には討伐系の依頼を受ける事を目的にしているが、たまにギルドから直接依頼の願いが届いて、渋々受けているらしい。

俺とエルヴァンの話は夜まで続き、ファルシュが眠そうにしたのをきっかけに話を中断して眠りにつく事にした。

俺は明日の話し合いの事を考えている内に眠くなり、考え事をしたまま意識を失った。


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