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エルヴァンとの相談の結果、俺は土魔法で少しだけ土の壁を作って目印にする。

あまり大きい物で無ければ大丈夫だろうと判断した結果であるし、もし竜人達に駄目だと言われてしまったら直す事もさほど労力を使わない程度で済ませた。

そうしてまた霊峰を登り始めると、ふと気配察知のスキルに反応がある。

数は4体。

ただ俺達の方に来る訳では無く、どこかへ行くつもりなのか違う方向に進んでいるのが分かる。

ギリギリ引っかかった距離だな、見えるだろうか?

俺がそう思って視線を気配察知に反応した方を向けると、


「…竜人か?」

「ヴァルダ様、どうされましたか?」


俺の呟きを聞いたエルヴァンがそう聞いてくる。

エルヴァンの問いに俺は飛んでいる竜人達の方を指差しながら、


「気配察知スキルに反応したんだが、遠くでしっかりと見えないんだ。竜人で合っているのだろうか?」


そう言うと、エルヴァンが俺が指差した方向に視線を向けるのだが…。


「申し訳ありません、私にもしっかりとは見えません…」


エルヴァンが申し訳無さそうにそう言ってくる。

それを聞いた俺は、


「気にするな、俺だって見えないんだ。謝る事では無い」


俺がそう慰めの言葉を掛けると、


「何だ2人共、あれが見えないのか?竜人?が4人、全員男だ。オレみたいに爪が鋭いな~…。多分俺の方が強いだろうけどな!」


ファルシュがそんな事を言う。

俺とエルヴァンは自分達では見えなかった距離が、ファルシュには普通に見えている事に驚きつつ、


「どの方角から来たか分かるか?」


俺はそう質問をする。

それを聞いたファルシュは、


「向こうの方角だけど、確信して言えねえな」


そう言ってくる。

ファルシュの言葉を聞いた俺は、


「それでも感謝する。少しでも情報があるだけで心強い」


ファルシュに感謝すると、


「エルヴァン、ファルシュを担いで上げてくれ。ここは足場があまり良くない」


エルヴァンに指示を出して歩き始める。

俺の指示を聞いたエルヴァンは、ファルシュを片手で持ち上げると肩に座らせる。

そして少し亀裂が入って足元が崩れやすい岩場を通り過ぎると、エルヴァンは肩に乗せていたファルシュを下ろす。

そうして俺達は岩場などを歩き続け、すぐに夕方になってきた。

夕方になっても、辺りには何もいない故に気軽に野営の準備が出来る。

予め集めて袋に入れておいた薪を地面に置き、そこにクラスチェンジをして火の魔法を使い燃やすと、そこに集まる様に俺達は座り込む。

食事は簡単に保存食で済ませ、エルヴァンとファルシュは竜人達に出会ってもすぐに攻撃をしない事を注意していた。

俺はそんな2人の会話を聞きながら、すっかり暗くなった夜の空を見上げていた。

霊峰と呼ばれる山だからなのか、星がとても綺麗に見える。

空気も澄んでいるのだろうな。

俺はそう思いながら、夜空を照らしている星々の光を見ていると、


「ヴァルダ様、ファルシュにはキツく言っておきました」


エルヴァンがそう報告をしてくる。

それを聞いた俺は、


「あの子にも悪気がある訳じゃない。あまり責めては駄目だぞ」

「はい」


エルヴァンにそう言うと、彼は短く返事をする。

そんなエルヴァンに俺は、


「彼女の事については、何か知っている事があるか?」


頬を膨らませてエルヴァンに威嚇しているファルシュを見て、小さく声を出して質問をする。

俺の質問を聞いたエルヴァンは、


「あまり詳しくは…。気になる事を言う事もありますが、それを言う度に嫌そうな表情をして聞く事を躊躇います」


そう答える。

エルヴァンなら普通に聞いてそうだと思っていたが、ちゃんと配慮とかするんだな。

俺は少しエルヴァンに失礼な事を思いつつ、自分の考えを訂正して、


「その方が良いだろう。変にエルヴァンから聞くよりも、彼女が話したくなったら話してくれるだろう。話してくれる様に、エルヴァンももっと頑張るしかないな」


エルヴァンにそう助言みたいな事をするとエルヴァンは、


「はい」


と返事をする。

すると、エルヴァンは頬を膨らませて俺達の事を見てくるファルシュの元へ行こうと立ち上がる。

立ち上がると同時に、


「そういえば、ファルシュの父がヴァルダ様と目に見えない雰囲気などが似ていると、ここへ来る道中に言っていました」


俺にそんな事を教えてくれる。

ファルシュの父が何をしたのかは知らないが、彼女の様子からあまり褒められた親では無かった様に感じる。

そんな者と雰囲気が似ていると言われて、ショックを受けると同時に雰囲気のどこが似ているのだろうと考えてしまう。

そうして俺が悩み考えている間、エルヴァンはファルシュの機嫌を取ろうと剣を持って何かを指示していた。

普通の子なら、剣の修行みたいな事喜ばないと思うのだが…。


「これならどうだ!」

「動きがまだ単純だ。一撃で倒すだけでなく、更にそこから連撃に続けるのも意味がある」


ファルシュは楽しそうにエルヴァンに弱めの攻撃を仕掛ける。

それを受け止めたエルヴァンは、一度ファルシュの攻撃の指摘をしてから、


「ファルシュは攻撃の速さが素晴らしい、私でも反応するのが危うい時もある。それを一撃で済ませるのは勿体無い。速さを活かして連撃をするのが良いと私は思う。例えば、最初の一撃は敵の急所の防御を緩める為の攻撃にし、二撃目で急所に入れる攻撃にすれば確実に敵を倒せる」


エルヴァンは軽く大剣を振るう。

その姿に、エルヴァンにも戦い方を教える事が出来るのなら、より強くなれる人達がいるだろう。

冒険者業は一時的に休んで貰い、戦い方を教えたりもしくは知らない武器や武術を知って更にステータス以外の強さを成長させる事が出来るのではないだろうかと考える。

そんな事を思いつつ、俺はエルヴァンとファルシュの様子を眺めたり星空を眺めたりしながら夜を過ごした。

眠る際にも見張りはいらないと思い、普通に3人で寝てしまった。

そして翌日、朝の陽射しで目が覚めた俺は、寝ていたエルヴァンとファルシュを起こして朝食を食べた後に、昨日見かけた竜人達が飛んできた方に歩き出した。


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