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カルラのお陰で話はすぐに終わり、俺の提案の元周りから見たら俺達は今凄い状態になっているだろうと思う。

その状態は、


「いつもより体が軽いなカルラ!」

「ピィピャァッ!」


まずアレクシアとカルラが俺と繋いである縄を握って走って俺の事を引っ張り、それに続く様に2つの檻を掴んで浮いている俺がいる状態。

カルラ達の体をシルの風で軽くしており、俺と檻が浮いているのもシルのお陰だ。

この場合、おそらく俺の分が無駄になっている様に見えるだろうがそれは違う。


「うえ~、その草気持ち悪い~」


アレクシアとカルラのどちらかに乗れば良いという訳では無いのが、この檻の中の者達と一緒に来てしまった草花だ。

意外に生命力が高く、傷ついた根を癒すためなのか根を突き刺せる物を探しているのだ。

アレクシアとカルラに伸びたら俺自身が嫌だし、それを気にして2人の走りが悪くなるのを避けたかったのだ。

俺に根を突き刺そうとしても、防御力がこんな植物の攻撃を遥かに上回っている俺が対処に回った方が良いと判断した。

俺達と同じ速度で風に乗っているシルが、俺の腕などに伸びてくる根を見て嫌そうな表情をして声を出す。

だよな、俺も手から腕に肌を這いずる根の感触が気持ち悪い。

こんな感触をアレクシアとカルラに味合わせたくなかった。

良かった良かった、まぁ俺を引っ張るという事自体2人はあまり乗り気では無かった様だが、2人のスピードがどうしても必要だと説明したら渋々了承してくれた。

そんな様子で走り続けて結構な時間が経つと、


「…ヴァルダ様、あれは何でしょうか?」


アレクシアが不思議そうな声で俺にそう聞いてくる。

檻をアレクシアとカルラに近づかせないために、俺は向かっている方向とは反対の方に向いているから、アレクシアの言葉を聞いても何も見えない。

頭を動かして視線の端にアレクシアを捉えると、アレクシアが上の方を指差している。

見ると、上空にワイバーンの様なモンスターの影が2つ、縦に並ぶように飛んでいる姿が見える。

それと同時に、縦に並んだモンスターの間に何やら四角い箱の様な物も見える。

…何だかわからないが、緊急事態が起きている訳ではなさそうだな。

俺はアレクシアが指差した物を見てそう判断をすると、


「分からないな。俺もアレを見た事がない。ただ、害があるモノではなさそうだし、放っておいても大丈夫だろう」


アレクシアにそう言うと、アレクシアは俺の言葉に返事をして走る事に集中し直す。

カルラにわざわざ走らせるのも、申し訳ないな…。

俺はそう感じながらも、今はこれを運ぶ事に集中しようと思い腕を上げ続ける。

そうして大地を走り続け、数日後に帝都まで戻って来る事が出来た。

道中は特に問題は無く、体力が続く限りアレクシアとカルラは走り続けてくれて、最初はザルツェンまで行こうと思っていたのだが、途中からはアレクシアとカルラが互いにどちらの体力が先に無くなるのかという張り合いになってしまい、ザルツェンに寄る暇も無く走り続けてしまった…。

ま、まぁ2人も途中から苦しそうになりつつも楽しそうにしていたし、邪魔する事も出来なかった。

シルも途中から応援していたし、結果的には楽しそうに皆がしていたし良かった…と思う。

俺はそう思いながらも帝都の近くの森でアレクシアとカルラとシルにお礼を言ってから塔に戻すと、この距離なら引き摺っても壊れないだろうと思い、俺の体を縛っていた縄を檻に繋げて引っ張って移動を開始した。

帝都の検問所に来ると、


「…何だこいつらは?」


俺が引き摺っている檻の中に入っている人達を見て、検問所にいた騎士が俺にそう質問をしてきた。

…仕方がない事ではあるが、何て説明しようか?

俺がそう考えていると、


「ん??何だこれは?」


騎士の1人が檻に絡まっている根に触れようと手を伸ばした。

その光景を見て、俺は良い言い訳を思い付き、


「それに触れない方が良いですよ。檻の中の人達の様に、寄生されてしまいますからね」


そんな嘘を言う。

俺の嘘を聞いた騎士は、慌てた様子で檻に近づけていた手を引っ込める。


「彼らは体に草花の根が刺された事で寄生されて、自分では動く事が出来ない状態になっているんですよ。根が届かない位置で見てください」


俺がそう言うと、騎士の人が檻の中の人達をまじまじと見つめて、


「…これは酷いな。…治す手立てはあるのか?」


心配そうな声でそう聞いてくる。

俺は彼の言葉に、この状態から助けても奴隷にされるだけだし、俺個人としてはどちらでも良いのだが…。

そう思いながら、


「その為にここまで運んできたんです。通して貰っても良いですか?早くしないと彼らの体力が持たないと思いますし」


そう騎士に問うと、彼は足止めした事を謝罪して帝都に入る事を許可してくれた。

俺は帝都に入ると、まずはブルクハルトさんの商館に行く為に再度檻を引き摺り始める。

流石帝都、檻を引き摺っている俺がいても大して気にしている様子がないな。

帝都では隠密行動は目的の人物に見つからなければ大丈夫そうだと、そんな事を思いながら帝都の道を歩く。

俺が道を歩いていると、


「ん、あの姿は」


少し遠くにエルヴァンの姿が見え、俺は彼が今も頑張っているのだろうと思って見送ろうとした瞬間、エルヴァンの周りを飛び跳ねている者がいるのに気がついて首を捻る。

だ、誰だあの子供は?

アンリでは無いし、どこから連れて来た子供だ?

俺は少し困惑しながらも、どうしようと考える。

今はエルヴァンと人が多い所で話す訳にもいかない…。

冒険者ギルドによって、エルヴァンの情報を聞いて回るか。

それでも分からなかったら、夜にでも隠れてエルヴァンに会いに行くとするか。

とりあえず、今は商館に行くか。

俺はそう思い直すと、エルヴァンの様子を気にしつつブルクハルトさんの商館に向かって歩き出す。

そうしてブルクハルトさんの商館に辿り着いた俺は、檻を少し離れた所に置いて商館の扉をノックしてから扉を開けた。


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