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街の綺麗に石が並べられた道を歩いていると、様々な店が建っている事に気づいて目を引かれる。

店の外に下げられている小さな看板には、読めはしないが何かが書かれていて絵も描かれている。

…もう少し分かりやすい絵とかなら何の店か分かるのだが、店に下げられている看板の絵は翼の絵だったり花の絵だ。

アイテム屋なら回復薬などの絵にして欲しいな。

そんな事を思いつつ歩いていると、ブルクハルトさんに教えて貰った剣と剣が交差している看板を見つける。


「…あそこだな」


俺はそう呟くと、その看板の建物に歩いていく。

建物の前に立つと、中から聞こえる騒がしさに入る気が無くなる…。

あまりうるさい所に行きたいとは思えないのだ。

しかし、ここで頑張らなければお金を稼ぐ手段が無い。


「スゥ~…ハァ~」


俺は一度深呼吸をしてから、冒険者ギルドの扉を開けて中に入る。

そこには、厳つい顔をしている男性や女性が様々な事をしている。

掲示板みたいな物に貼ってある紙を見ては悩まし気な顔をしている人や、受付をしている女性に絡んでしっしと追い払われている人、テーブルを囲んで話し合いをしている人など、本当に様々な人達がいる。

だが、共通しているのは鍛え上げられた体に装備を纏っているところだ。

俺がそれを見ながら冒険者ギルドの受付をしている女性の元に歩いて行くと、


「えっと、初めて見る顔ですが、どうしましたか?依頼ですか?それとも冒険者登録でしょうか?もしくは…ここで共に仕事をしますか?」


受付の女性が笑顔で俺にそう聞いてくる。


「えっと、冒険者登録をお願いします」


俺が女性にそう言うと女性はにこやかな笑顔のまま、はいッと返事をしてカウンターの引き出しを開けて紙をこちらに差し出してくる。

…読めないし書けないんですけど…。

俺はそう思い、


「すみません。読み書きが出来ないので、代筆を頼めませんか?」


女性にそう聞くと、


「大丈夫ですよ!それでは何個かご質問させてもらいます。まずお名前は?」


女性がそう言って紙をカウンターの上に置き、羽ペンを手に取って俺に質問をしてくる。


「…ヴァルダです」

「ヴァルダ様ですね」


俺は少し考えたのち、名前の部分だけを女性に教える。

女性は俺の名前を確認しつつ、紙におそらく俺の名前を書いていく。


「…奴隷は何人いますか?」


女性の次の質問に、俺はすぐに答えられなかった。

冒険者登録に、奴隷の人数が必要なのだろうか?

俺はそう思いながらも、


「いや、いないです」


そう答える。

すると、女性は難しそうな顔をして紙に0を書く。


「主にしたい仕事などありますか?」

「…モンスターを狩ったりでしょうか?とりあえず、お金が稼げれば何でも良いです」


女性の質問にそう答えると、女性はまた難しい顔をして俺の事をジロジロ見てくる。

自分で言っていて思ったが、俺結構怪しくないか?

俺がそんな心配をしていると、


「分かりました。それではヴァルダ様は第三級冒険者になります」


女性がそう言うと、先程まで書いていた紙に何やらハンコを押して俺に差し出してくる。

これで、俺も冒険者登録出来たのだろうか?

俺がそう思いながら差し出された紙を受け取ると、


「では少しだけ説明させていただきます。まずヴァルダ様は第三級冒険者ですので、採取依頼と一部の討伐依頼しか今は出来る事がありません。しかし、依頼を完了するごとにギルドの信頼を得る事が出来、少しずつではありますが受ける事が出来る依頼も増えていきます。第二級冒険者に到達しますと、貴族の方達の護衛依頼なども出来ます。しかし、第一冒険者になりますと少し話が変わります。毎月の依頼を完了する回数が発生し、それを出来なかった場合は第二級冒険者に降格されます。その分、第一級冒険者になりますと指名料が依頼料に上乗せされるので、報酬金が多く貰えます」


女性が俺に冒険者の説明をしてくれる。

つまり今の俺は実績も無いただの冒険者で受ける事が出来る依頼が少ないが、依頼を完了する事で冒険者ギルドに信頼してもらい第二級冒険者に昇格する事が出来る。

第二級冒険者になると依頼の数も増えて、更に依頼をこなしていくと第一級冒険者になれる。

しかし、第一級冒険者になると依頼のノルマが発生し、それを完了しないと降格させられる。

その分第一級冒険者の報酬が良いという事だろう。

俺は女性の説明を整理していると、


「何かご不明な点等がございましたら、いつでも聞いて下さい」


女性が笑顔でそう言ってくれる。

俺はその言葉に甘えて、


「何でさっき、奴隷の人数を聞いたんですか?冒険者としての力量を計るのに必要だったんですか?」


そう質問をする。

すると女性は、


「…ここだけの話にして下さいますか?」


小さな声でそう聞いてきた。

内緒話にする必要はあるのだろうか?

俺はそう思いながらも、


「はい」


そう答えると、女性がちょいちょいともう少し近づいてと手で合図を送ってくる。

俺が少しカウンターに身を乗り出すと、


「冒険者の中には、奴隷を囮にして依頼対象を討伐する人がいるらしいです。それに気づいた上の人達が、奴隷を沢山従えている人がいたら第二級冒険者にする事を許可しているんです。つまり、囮にする程奴隷を買える冒険者には更に依頼をこなして貰おうという魂胆なんでしょうね」


女性がそう言って俺から離れる。

俺も憤る気持ちを落ち着かせながら態勢を整えると、


「まぁ、私が受付をしている時に、そういう人は見ていないですけどね」


女性がそう言う。

少し安心するが、この女性は奴隷に少し優しい気持ちを持ってくれていて嬉しく思う。

だが彼女も冒険者ギルドの職員だ。

本当に奴隷を沢山従えている人が現れたら、その人を第二級冒険者にするしか出来ない。

…常識ある人が生きにくい世界。

ここに来てからよく思うようになった事だ。

俺はそう思いつつ、受付をしてくれた女性にお礼を言った後依頼を何個か見繕って貰い、冒険者ギルドを出発しようと歩き出す。

すると、


「あ、申し遅れました!私はリタと申します!これからよろしくお願いします!」


後ろから女性…リタさんがそう言ってくる。

俺は振り返って、


「よろしくお願いします。いってきます」


リタさんにそう言って冒険者ギルドの扉を開けて外に出た。


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[気になる点] 本当に保護したいなら革命とか自分の国を作るとか有るだろ
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