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ありえないモノを見ている様に、視線を左右上下に移動させて口を半開きにしている姿を見て、心の中で笑ってしまう。

あまりにも素直な反応に、そして普通なら情けない表情をしているはずなのに、普通に様になっているのは彼らの顔が整っているからだろうと思う。

俺がそう思っていると、ある事に気がついた…。


「シェーファ、シルはどこへ行ったのかな?」

「………おそらく、もう風に乗って…」


俺がシルの姿が見えずにシェーファにそう聞くと、シェーファも呆れた様子でそう言ってくる。

…だろうな、シェーファの言葉が正しいだろう…。

俺はそう思いつつ、


「さ、さて。ここが俺達の家であり、貴方達エルフに来てもらいたい安寧の地です」


未だに呆然とした表情をしているリエスさんと男性に声を掛ける。

俺の言葉を呆けた様子で聞いていた2人であったが、少し時間を置くと、


「こ、ここは何なんだッ?!」


リエスさんが正気に戻ってくれて俺にそう聞いてくる。


「ここは俺が創った世界です。様々な人がいますけど、ここにいる人達は皆他者を傷つける人達ではありません」


俺がそう説明し、


「…すみません、シルはもうどこかへ飛んで行ってしまったようで…」


シルに興味を持っていたリエスさんに、シルの自由な行動を謝罪する。

しかし俺の謝罪を聞いたリエスさんは、すでに興味が周りの視界に映る全てのモノに興味が引かれている。


「…セシリア」

「おかえりなさいませ、ヴァルダ様」

「「ッ?!」」


俺がセシリアの名前を呼ぶと、いつも通りセシリアが突然現れる。

流石に慣れていないセシリアの突然の登場に、リエスさんと男性がビックリしている。


「ただいま。今エルフの人達に塔の紹介をしようと思っているのだが、セシリアからしてどこを案内した方が良い?」


俺がセシリアにそう質問をすると、


「ではダグスさんの畑はどうでしょうか?今は作業が一段落しており、皆で休憩をしているところです」


セシリアが俺にそう進言してくる。

俺の質問に答えたセシリアは、言い終えると俺に近寄り、


「…彼らも何か複雑な事情があるのは、シェーファとの話を聞いて知っています。畑で種族など関係無しに皆が協力し合っている姿を見せる事は良いと、私は思います」


そう囁いてきた。

俺にそう言ったセシリアが少し離れると、フフッと微笑んでくる。

あ、これは少し不機嫌な気がする。

な、何故だ?

俺はそう思いつつも、今はリエスさん達の事だと思い直し、


「では案内します。付いて来て下さい」


俺はリエスさんと男性にそう言って歩き始める。

歩き始めると、シェーファとセシリアが俺の斜め後ろに控える様に付いて来る。

そして畑がある島を呼んで今立っている島と大地をくっ付けると、


「足元に注意して下さい」


俺はそう言って先に島を渡り歩き、俺に続いてシェーファとセシリアも普通に島を渡る。

そしてリエスさんと男性も、思った以上に普通に島を渡り、彼女達は生活している場所が高所だからあまり恐怖しなかったのだろうと思い、


「もしこれからここへ移り住む事になっても、大丈夫そうですね」


俺がそう言う。

それを聞いた男性が


「…貴殿は一体、何者なんだ?この広大な世界を創り出したなんて、正直信用する事は出来ない」


俺にそう聞いてくる。

しかし、俺の事を全て話す訳にも…というか、説明しても信用して貰えるのかが問題でもあるな。

俺はそう思い、


「俺個人だけで作ったモノではないので、俺自身はそんなに凄い存在では無いですよ」


男性の質問にそう答えると、


「いえ、ヴァルダ様は私達にとって偉大な存在です」

「はい。ヴァルダ様は絶対的な存在であり、誰であろうともヴァルダ様の存在を揺るがす事は出来ません。もしもヴァルダ様に危害を加えようとする者がいるのなら、それはこの塔にいる全ての者達が敵になり、そこには生きているモノは存在しなくなります」


セシリアが俺の事をそう言ってくれ、シェーファは脅してる様に聞こえてしまう言葉まで言ってしまう…。


「こらこら、あまり過激な事を言うものでは無いぞ」

「はい、ヴァルダ様」


俺が注意をすると、シェーファはキリッとした表情でそう返事をする。

それを聞いていた男性が、


「ハイエルフともあろう存在が、あそこまで陶酔している…。やはり、ただの人族では無さそうだ」


シェーファの事を見ながらそう呟く。

そんな感じで話している内に、ダグスさんの畑までやって来る。

そこには、


「皆、今日もすまないね」

「やっぱり何かしてないと、色々と不安になるから良いの良いの」

「我々も、新しい薬草の栽培方法に試行錯誤していたので、貴方の知識はとても勉強になります。教えてくれる知識の代わりに、我々は労働力でお返ししているんです」

「私も体を動かさないと、凄い体の動きが鈍るし丁度良いわ」

「サールちゃん、ソルちゃん、危ないよ…」

「ギラッとしてるね~!」

「剣みたい、でも土を掘る為の剣なんだって」


土で汚れているダグスさんがおり、彼の言葉にバルドゥと一緒に草原島に住んでいるエリーゼさんが体を少し伸ばしながらそう答え、ブルクハルトさんから買い取ったエルフのユルゲンさんが熱心な表情でそう言い、ルミルフルが肩に担いでいる農具を見ながらダグスさんに気にしないでと伝え、視線を農具が置いてある場所に移す。

ルミルフルの視線の先には、地面に置いてある農具が気になっているサールとソルがおり、それを危ないからと注意しているヴィアンがいる。

視線を少しずらすと、少し離れた所に獣人のヒャルダがつまらなそうに畑を見ている。

すると、


「ん?あ、ヴァルダ様ではないですか!」


話をしていたダグスさんが俺に気づいて声を出す。

それに釣られて周りの皆も俺に気づき、


「久しぶりに感じるな。いつもありがとうな、皆のお陰で塔の食糧も安定してきている」


俺がそう言うと、


「…後ろのエルフの方達は、新しく来た人達ですか?」


同じエルフの事が気になるのか、ユルゲンさんが俺の後ろにいるリエスさんと男性を見てそう質問をしてくる。

その問いに俺は、


「そういう訳では無いですが、ここを気に入ってくれれば移り住んでも良いと言って下さった人達ですよ。そう言えば、ユルゲンさんはエルフの森から来たと言っていましたが、お知り合いでは無いんですか?」


彼に聞かれた答えを言い、彼と契約する時に聞いたブルクハルトさんの言葉を思い出してそう質問をした。


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