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239頁

集落に戻ってきた俺はリエスさんに連れて来られて、昨日に入れられた倉庫らしき場所へ戻ってきていた…。

あれ、さっきの会話で分かり合えた感じでは無かったか?

俺がそんな事を思っていると、


「これから貴様の話した事を他の者達に話してくるが、貴様を一緒に連れて行く訳にも行かない。それに監視の任をしている私がいない状況で、1人で行動させるのも貴様のここでの体裁が良くないだろう」


リエスさんが俺にそう説明をしてくる。

それを聞いた俺は、確かに今は俺が無害だと言う事を示さなければいけないと思い、


「分かりました。よろしくお願いします」


俺はリエスさんの言葉に従って倉庫に入ると、リエスさんによって閉められた扉を見る。

さてどうしたものか、今俺がこの場で出来る事は何かあるか?

俺はそう思いながら薄暗い部屋を見回すが、


「…簡易的にだが掃除もしちゃったし、本当に何もする事が無いな…」


俺は独り言を呟く。

その瞬間、微かな爆発音が聞こえてきた!

それと同時に、女性や子供の悲鳴と混乱しているであろうエルフ族の声も聞こえてくる。

何か問題が起こっている!

俺はそう判断すると、


「後で謝罪と修理をすれば!」


扉に体当たりをして破壊すると、倉庫の外に飛び出す。

見ると、少し遠くの方から煙が立ち昇っているのが見える。

あそこで何かが起きているのだろうと思い、下にいるエルフの様子を窺う。

数人の女性が子供達を集めて、革であろうモノで作られた袋を背負わせると煙が出ていない方に向かって走り出していくのが見える。

それと同時に、男性達とリエスさんを含めた弓などを装備した女性達が煙の方に向かって走り出した。

俺も狭い踊り場から飛び降りて地面に下り立つと、リエスさん達の後を追う為に走り出す。

爆発音は更に聞こえてくるが、音の大きさと煙の昇っている位置から察するにあまり大規模な爆発物を使用していないと察する。

俺がそう思っていると、


「まさか、レンツィオッ?!レンツィオなのかッ?!」

「そ、そんな…」


そんな声が聞こえて走るスピードを落とすと、森を爆発で焼き払って拡張した森の出口の辺りに先に走り出したリエスさん達が立ち止まり、燃え始めている木々を倒したり消火に勤しんでいる人達と、弓矢を構えている人達で分かれている。

そして弓矢を構えている人達は、森の外にいる人だかりの方を見て何やら困惑している様な怒っている様な、様々な感情が混ざった声を出す。

俺も森の外に視線を向けると、


「…エルフ」


数人のエルフが膝を付けて座っている姿が見え、その後ろに何十人の人族がニヤニヤと笑ってこちらを見ている姿が確認できた。

エルフは男女数名ではあるが、その全ての人が顔に痛々しい痣が作られており、着ている質素な肌着も破けて素肌が見えている。

そこから見える素肌にも痣や切り傷が見え、何かに噛みつかれたのか歯形まで付いている。

俺が様子を窺っていると、


「オラお前らッ!この仲間の様子が見えねえのかァッ?!こいつらを痛めつけられている姿を見たくなかったら、さっさと武器を置いて裸になりやがれッ!!」


跪いているエルフの後ろから、鎖を握っている男が出てくる。

握られている鎖は何本もあり、それらがエルフ達に繋がっていると考えて良いだろう。


「ず、ずまない皆…。俺達が馬鹿だっ…ぶッ!」

「何勝手に喋ってんだ!てめえに話す権利は許してねえぞ!」


俺がそう思っていると、跪いているエルフが謝罪の言葉を口にして顔を蹴られた。

リエスさん達の様子は、捕まっているエルフ達を助けたいと思うと同時に自分達の集落を護ろうとする警戒心がせめぎ合い、顔を顰めて様子を窺っている。

すると、


「仲間が蹴られてるってのに、随分と大人しくしてるんだなぁ~。こいつらなんて、俺達に捕まった仲間を助けるために戦ったって言うのによ~?」


鎖を何本も持っている男がそう言って馬鹿にした様な笑い声を上げる。

それと同時に男の後ろに控えている者達も笑い声を出す。

そんな笑い声に跪いているエルフ達が顔を顰めようとすると、


「てめえらも自分達の馬鹿な行いを笑いなッ!」


男がそう言って鎖を1人のエルフの女性の首に巻き付けると、鎖で首を絞めつけながらそんな事を言う。

首を絞められている女性は苦しそうな表情をしていたが、男の命令に従って無理矢理苦しそうに笑顔を作る。


「貴様ッ!その手を、鎖を外せッ!」


リエスさんがそう怒号を発すると、構えていた弓から矢を放つ!

それと同時に、


「最低な奴め!吹き飛ばせ!」


精霊ルーさんが少し光ると、リエスさんが放った矢の速度が加速する!

それと同時に仲間のエルフ達も怒りの声を上げて矢を放ち、彼らの側にいた精霊達がルーさんと同じ様に放った矢に力を付与する。

普通の人に対して放つのだとしたらとても良い攻撃だが…。

俺がそう思っていると、


「牛ッ!」


鎖を握っている男性が大声を出すと、男達の後ろから普通の人よりも大きい体躯が跪いているエルフ達と放った矢の間に割り込むと、


「オ゛オ゛ォォォッッ!!」


手に握っている斧を横に薙ぎ払うと、リエスさん達が放った矢が全て薙ぎ払われてしまう。

…ミノタウロスか。

鍛え上げられてた隆々とした筋肉を纏い、手には斧、頭には鋭く尖った二本の角。

息を荒々しく吐き出しており、興奮しているのが分かる。

それに動きからして、あの力強さに加えて速さもある様だ。

俺はそう分析すると、リエスさん達から少し離れていた位置から歩き出して彼女達の横を通る。

すると俺の事を見た鎖を握っている男は、


「人族か?何でエルフなんかと一緒にいるんだぁ~?まさか、エルフを捕まえに来て逆に捕まったってか?」


俺の事を馬鹿にした様にそう言うと、また大笑いをしてその後ろの者達も釣られて大笑いをする。


「お、おいお前!」


そんな事など気にしないで歩き続けると、後ろから心配そうなリエスさんの声が聞こえてくる。

俺はそれに大丈夫ですとリエスさんの事を見ずにそう言うと、


「…召喚士(サモナー)では無いな。お前、クラスは何だ?」


俺は笑っている男にそう質問をした。


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