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俺はブルクハルトさんの事を見て、彼が何を考えているのか分からないと感じる。

笑顔ではあるが、その裏にどんな顔が潜んでいるのか…。

それに、威圧スキルに慣れてしまうという死の恐怖を感じる環境に身を置いていたと考えると、ステータスが高いのかもと考える。

俺がそう思っていると、


「そんなに緊張なさらないで下さい。支配人と言っても、それほど影響力を持っている訳ではありませんので」


彼は笑顔で俺にそう言ってくる。

それに、なるべく顔に出さない様に気を付けていたのだが、彼には俺が緊張している事が分かっている。

観察眼も凄いな。

俺がそう思いながら、


「俺はヴァルダ・ビステルです」


簡潔な自己紹介をする。

おそらく、田舎から来た旅人だと嘘を言ったら、この人にはばれると思う。

それだけ人の細かい部分を見ている。

…力で勝てても、心理戦はこの人の方が上手だ。

俺はそう思っていると、


「ビステル様は、どのような奴隷をお探しでしょうか?」


ブルクハルトさんがそう聞いてくる。

奴隷は保護したいが、俺は今お金を持っていない。


「すみませんが、俺は今手持ちがないです。金が入り次第、こちらで奴隷を売って下さい」


俺がそう言って入ってきた扉に向かおうとすると、


「お待ち下さいビステル様!お買いになるのは後日でも良いですので、ご覧になっていって下さい!」


ブルクハルトさんがそう言ってくる。

…何でここまで俺を引き留めようとするのだろうか?

ここまで大きな商館なら、売り上げもそこそこあるだろうし金に困っている訳ではなさそうだ。

俺はそう考えつつ、


「分かりました」


そう答える。

すると、


「では、こちらへどうぞ!店番を頼むぞ!」

「はい、旦那様」


ブルクハルトが俺の案内をしようとする前に、女性にそう指示を出す。

女性は笑顔で返事をすると、椅子に座る。

俺はその光景を見ながらブルクハルトさんの後に付いて商館の奥へ歩いて行くと、そこには牢屋が並んでいた。

だが、そこは俺が想像していた空間とは全く違っていた。

俺の想像だと、奴隷達はまともな服を着せてもらえずに身嗜みも整っていなく、死んだような表情をしているイメージだったのだが、俺の目の前に広がっている奴隷達はその真逆だ。

服装はこの街で見た人達と同じかもしくはそれ以上の服を着ていて、顔も生き生きとしている。

痩せている訳でも無く、見た感じでは健康的だ。

俺がそう思っていると、


「どうでしょうか?うちの奴隷達は?」


ブルクハルトさんが自信満々にそう聞いてきた。


「思った以上に良い生活をしている様ですね。服も良い物を着ている様ですし、俺の想像していたものとはかけ離れている」


俺がそう言うと、ブルクハルトさんはうんうんと何度も頷き、


「私は奴隷を商品だと思っていますが、ならば商品をより良い環境にして良いものに見せるのが売れる事になると思っています。そして何より、私は亜人趣味なんですよ。美しい亜人をより艶やかに、可愛い亜人をより華やかにするのが好きなのです」


俺にそう力説してくる。

この人とは色々な意味では仲良くなれそうな気がしてきた。


「そして、私は亜人を異常なほど迫害している人達に売ったりはしません!亜人達が買われた後も幸せになれる様に、主人となる者をしっかりと判断します」


ブルクハルトさんの言葉を聞いて、彼があの騒動で俺に声を掛けてきた理由が分かる。

俺はそう思いながら、


「でもそうなると、なかなか売れたりはしない様な気がしますが?正直、この世界の人達は亜人を異常に嫌っています。なかなか貴方の様な人はいないと思いますが…」


そう聞いてみると、彼はフッフッフと不敵な笑いをし、


「貴族の方達は、様々な欲求を抱えているモノなのです。おそらく日々のストレスが原因なのでしょうな。奴隷の亜人に癒されたいと買われていく人が多い。全ての貴族がそういう訳では無いですがね。中には亜人を嫌って難癖をつけて殺そうとする貴族もいますから」


そう言ってくる。

言葉の最後の方は、少し悲し気なのは気のせいではないだろう。

そして貴族が相手だから、お金も入って来るのだろう。

俺がそう思っていると、


「貴族の方とは良い関係を築けていますね。正直、奴隷商人の中では上位に入る私でも、貴族達しか入れない奴隷の闇オークションには入れません。その時はなるべく貴族の方達に代わりに買って貰い、後で私が支払うんです。しかし、闇オークションとなると金銭がいくらあっても足りないです。ただの亜人ではない所為で金銭が跳ね上がり、支払う事が出来ない事があります」


ブルクハルトさんが悔しそうにそう言う。

難しい問題だな。

俺がそう思っていると、


「おっとすみません!お客様にみっともない話をしてしまいました。ささ、どうぞ見て下さい」


ブルクハルトさんがそう言ってくれる。

俺は彼の言葉に甘えて、1番近くの牢屋に歩いて近づき、中にいた猫耳の亜人の女性に声を掛ける。

その後、牢屋にいた亜人の人や人族と話して、奴隷になる前の方が辛い事が多かったと聞いたりした。

亜人の人達は口をそろえて、迫害されてきたのが辛いと言っており、人族はそれぞれの事情で奴隷になったらしい。

今回話した奴隷の人達は、犯罪を犯して奴隷になった訳では無かったのが良かったと思う。

正直、犯罪犯した奴隷と会うのは色々と緊張する。

俺は、食べる物が無く店で泥棒したくらいの犯罪で奴隷になってしまい、改心しているか元々切迫した状況じゃ無ければ温厚な人なら保護したい。

だが、自分の身勝手で犯罪を犯した奴隷を保護するつもりは無い。

それは、自業自得だと思っている。

…俺は何様なんだろうと、少し考えながら奴隷の人達としばらく話をした後、ブルクハルトさんの奴隷商館を後にした。

奴隷商館を出る時に、ブルクハルトさんがお金を稼ぐなら商人か冒険者がおすすめだと教えてくれた。

俺は経営とか出来ないから、冒険者になろうと思い冒険者ギルドに歩き出す。

ちなみに冒険者ギルドもブルクハルトさんに教えて貰った。

お金が入ったら、彼の商館で奴隷を買わないとな。


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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公は虐げられている奴隷を保護したいんじゃなくて、奴隷だったらなんでもいいから保護したいのか? 前者なら奴隷になる主人もしっかり選定してくれるこの奴隷商から買う必要無いだろうし
[一言] 会話の前にいちいち「〜、」って表現をしない方がいいと思います。 例えば、 俺はそう考えつつ、 「分かりました」 そう答える。 みたいな表現です。 これが頻発していて、読みにくいと感じ…
[一言] 主人公ただのクズじゃん。奴隷商人と仲良くなれそうとかありえないでしょ。
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