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俺がアイテム袋から食材を出していくと、リエスさんと女性は驚いた様子で俺の事を見た後、取り出した食材を見る。


「何も仕込んだりしていないですから、気にせずに持って行ってください。…大人達の食べている量を見て、子供達も心配そうにしています」


俺はリエスさんと女性にそう伝えながら、少し下を見て自分達が持っている器と大人達の事を交互に見ている子供達が見える。

俺が下を見ていると、リエスさん達も下を見る。

そんな2人に、


「美味しいですよ、どうぞどうぞ。エルフの方達は動物系の食料はあまり好まないと聞いたので、植物系でまとめています」


更に押し付ける様にどんどん食材を出していく。

俺の言葉を聞いたリエスさんが、俺が取り出した果実を1つ手に取ると、


「…」


少しそれを見つめた後、意を決した様に恐る恐る果実を一齧りする。

瞳をギュッと強く閉じて口だけを動かしていると、少しずつ表情が和らいでいき、


「…美味しい」


リエスさんはそう呟いて俺の事を見てくる。


「毒なんて入れていませんよ」


俺がそう言うと、もう1人の女性がリエスさんに視線を向け、それに気づいたリエスさんが女性に向かって頷くと、女性は俺に少しだけ頭を下げて食材を沢山持って階段を下りていった。

今俺自身が下に下りて行っても、おそらく皆は落ち着いて食事が出来ないだろうと思い、下を見ながらその場に留まる。

すると、リエスさんも俺と同じ様に下を見ながらその場に立っている…。


「リエスさんも食事に行った方が良いんじゃないですか?」


俺がそう聞くと、


「監視の対象を放置して、食事に行く訳にはいかない」


リエスさんが俺の言葉にそう返してくる。

俺はそれを聞き、確かにそうだなと納得し、


「じゃあ、これでも食べて下さい」


俺はアイテム袋から更に果物を取り出してリエスさんに差し出す。

それを一瞥した彼女は、俺の手から果物を受け取り、


「…感謝する」


一言感謝の言葉を伝えてきた。

それから少しして、最初は困惑していたエルフの人達は果物を齧り、食材を切ってスープに入れていく光景を見る。

これでエルフの人達が少しでも俺の事を安全な人だと思ってくれれば良いな。

俺がそう思っていると、食事をしているエルフの人達の元に精霊が集まって行く光景が見える。

その内の1人がリエスさんの元に来ると、


「皆元気になった~!リエスも良い感じ~!」


精霊がリエスさんの周りを飛び回りながら、嬉しそうにそう言っているのを眺めていると、


「私、とても貴方の事が気になるな~。もっとお話しよ~?」


精霊がそう言って俺の近くにやって来る。

とりあえず今は動かない方が、エルフの方達にとって良いと思い、


「そうですね。俺の暇つぶしに付き合って下さい」


そう答えると、アイテム袋から先程仕舞った椅子を再度取り出し、それと同じ物をリエスさん用にもう1つ取り出す。

俺が何でもアイテム袋から取り出している姿に驚いているのか、俺が座って下さいと椅子を差し出しても驚いた表情で固まってしまっている。

俺が椅子に座ると、精霊が俺の膝の上に止まる。

少しふんわりとした感触があり、ほのかな温かみがある。

俺がそう思っていると、


「貴方は何でここに来たの?」


精霊がそんな質問をしてくる。

それを聞いた俺は、


「色々と事情がありまして、エルフの人達と話し合いをしたいと思いましてここまで来たんですよ」


精霊の質問にそう答える。

俺の言葉を聞いたリエスさんが、


「事情とは何だ?」


そんな質問をしてくる。

彼女の問いに俺は答えても良いかと思ったが、今信用されていない状態で情報を出してしまうのは問題だと考え、


「…そうですね。これからの事についてです。これからある事が起きる際の、エルフの皆さんが選択を聞きたいなと思いまして」


俺は少しうやむやに、詳細は話さずに質問に答える。

それを聞いたリエスさんは首を傾げ、


「どういう事かサッパリだ~」


そんな事を言ってくる…。

それもそうだろう、詳細を教えていないからな…。

俺はそう思い、


「他に何か質問とか無いです?」


話題を変えようと俺が質問をすると、


「その袋に、何故あれだけの食料や物が入っているのだ?」


リエスさんが今度は質問をしてきた。


「単純に俺が食料などをたくさん持っていますし、自分の仲間が食料を栽培してるんですよ。そのお陰で、恩を返す事が出来ましたけど」


リエスさんの問いに、俺はアイテム袋を手で触れつつ答え、


「他にもいろいろと出せますよ」


そう言いながら、何か言っていただけたら出しますと言う。

それを聞いた精霊が、


「精霊は出せないの~?」


まさかの精霊を御所望してくる…。

ま、まぁ精霊くらいなら構わないけど…。


「この袋からは、流石に精霊は出せないですよ。精霊には、快適に過ごせる場所にいてもらっています」


俺は精霊にそう説明し、


「この袋から出せませんけど、それでも良いなら精霊を出しますよ」


精霊に質問をする。

俺の質問を聞いた精霊は、


「良いよ~!」


何故か嬉しそうな声でそう言ってくる。

俺は精霊の返事を聞き、


「えっと、少しスキルとか使いますけど良いですか?」


今さらではあるが、リエスさんに聞いてみる。

それを聞いたリエスさんは、少し考えた後、


「怪しい動きを見せたら、覚悟をするんだな」


そう言って静観してくれる。

彼女のそんな様子に、少し気になるのだろうかと思いながら、


「クラスチェンジ・召喚士(サモナー)


まずはスキルを使ってクラスを変更し、更に首に下がっている小さくなっている本の中の世界(ワールドブック)を取り出すと、それを元の大きさに戻す。

その光景自体に、リエスさんは少し驚いた表情をしている。

精霊は表情とか分からないが、


「じーー」


そう言いながら俺の様子を窺っているのは理解出来る。

俺はそんな2人の様子が少し面白く感じつつも、


召喚(サモン)、シル」


風の精霊シルフを召喚する。

俺に呼び出されて姿を現すシルではあるが…。


「お呼びになりました~?ヴァルダ様~?」


プカプカと空中に寝ころんでいる、少しの威厳も感じられない姿で召喚された…。


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