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シェーファとセシリアとの混浴が終わった俺は、興奮した気持ちを抑える為にすぐに就寝する事にした。

そして翌朝早朝、俺はエルフの集落に戻っておこうと思い朝早くから目を覚ますと、装備を着直して準備を整え、


「いってきます」


()()()()()部屋に挨拶をしてから、本の中の世界(ワールドブック)を開いて出発した。


「…出発したはいいけど、結局ここなんだよな~」


俺は朝日もまだ微妙な時間帯に来てしまった所為か、薄暗い独房の様な部屋で一人呟く。

どうしたものか、とりあえず部屋の掃除でもした方が良いのだろうか?

と言っても、部屋に開かない窓があるくらいで、埃なんて掃除しようものなら咳き込んだりするのが目に見えている。

床なら、水魔法で出来るかもしれないな…。

最悪、調整が出来ずに水が大変な事になるかもしれないが、流石にそこまで勢いよく出すつもりも無い。


「クラスチェンジ・魔法使い(ウィザード)


俺はクラスを変更し、


「ウォーター…バレット」


威力を出さない様にゆっくりと魔法を発動する。

床を破壊しない様に魔法を発動し続けて床を全体的に濡らしていくと、俺は布を取り出して床を拭っていく。

…湿気の所為か、動いてると暑くなってくるな…。

俺はそう思いながら、装備を脱いで少しでも涼しくなろうとする。

そうして床掃除を終わらせると、今度は埃が積もっている木箱などを移動させ始める。

一応必要な物かもしれないし、ある程度同じ様な形で部屋の端まで運んでいく。

木箱を移動させていくと、また細かくだが埃が見えてくる。

もう少し時間が掛かりそうだな。

俺はそう思いながら、部屋の掃除を進める。

そして遂に、


「…妥協点ってところだろう」


木箱を開けるのは躊躇い移動させただけではあるが、それでも床掃除をしただけでも結構綺麗になる。

それにしても、随分と時間が経つと思うのだが中々リエスさんは来ないな。

俺はそう思いつつ、他にはやる事が無いからと思いアイテム袋から椅子とコップを取り出して、椅子に座りコップに氷を魔法で出し、更に水を魔法で注いでから飲む。

湿気で暑くなった部屋に、掃除で火照った体に流し込む氷水が最高に美味い。

…マズいな、何かやる事が無くてどんどん変な事をする様になってきている。

俺はそう思いながら、他にやる事は無いかと考える。

すると、外から女性の話し声が聞こえてきた。

椅子から立ち上がり扉に耳を当てて外の話し声に集中するが、話し声が遠く詳細な事は分からない。

ただ複数人で話し合っているのは分かる。

俺はため息を吐くと、これ以上扉に耳を当てていても意味はないと悟り椅子へと戻って、監視であるリエスさんがやって来るのを待つ。

それからしばらくしていると、徐々に外から聞こえてくる話し声が増えて来て、男性の話し声や子供達の声も聞こえてくる。

しかしその話し声は楽しげと言うよりも、どこか真剣さを感じられるほど何かが張り詰めている様に感じる。

俺がそう感じていると、近くから階段を上ってくる音が聞こえてくる。

リエスさんが来てくれたのだろうか?

俺がそう思っていると、聞こえてくる足音が2人いることに気が付いて、もしかしたら俺に用があるのでは無く、俺が整頓した木箱が目的かもしれないな。

俺は椅子とコップを片付けると、適当に立って客を出迎えようとする。

そして階段を上っていた人達が扉の前までやって来ると、


「…開けろ、向かってきた時はこれで刺す」

「…流石にここまで来て抵抗の意思は無いと思うが…」


何やらそんな会話が聞こえてきて、俺は出迎えようなんて気は起こさずに棒立ちに徹する事を心掛けた。

そして部屋の扉が開くと、リエスさんともう1人女性が部屋へと入ってくる。

リエスさんは普通にしているが、もう1人の女性は短剣を構えて部屋に入ってきており、本気で刺すつもりだったのだろうと察する。

脅しとかでは無く、女性の目は少し恐怖を感じさせる程ギョロギョロと動いている…。

せっかくの綺麗な顔立ちが、台無しになっている…。

そんな感想を抱いていると、


「…部屋が掃除されている」


リエスさんが俺の功績に気が付いてくれた様だ。


「おはようございます」


俺がリエスさんと女性に挨拶をすると、2人は少し驚いた様子で俺の方に顔を向ける。


「…この部屋はお前が掃除したのか」


リエスさんが俺にそう質問をしてくる。


「ここで一晩過ごすにしては汚れていたので、軽く掃除をしただけです。木箱は部屋の隅に置いていますが、順番や乗せてあった木箱達は動かしていないのである程度分かると思います」


俺が少し嘘を言いながら、部屋の奥に置いてある木箱を指差しながら説明をすると、


「…ここにあるモノは全て使うか分からない物だけだった気がするが?」

「そうだ、だから何か盗まれたとしても問題は無い」


何故かそんな事を言い合うリエスさんと女性…。

信用無さすぎて、笑いしか出て来ない…。

俺は苦笑しつつ、


「何も怪しい事はしていませんよ。それより、外に出ても良いんですか?」


開かれている扉を見ながらそう聞くと、


「待て、私が先に出てからだ」


リエスさんがそう言って俺の元にやって来ると、


「?」


一瞬不思議そうな顔をしてから、部屋を出る。

俺も続いて部屋から出ると、森の涼しさが気持ち良く良い場所だなと思ってしまう。

これで、昨日みたいな人達が来なければ問題など無いのにな…。

俺がそう思っていると、


「ん?」


集落の中心で、炊き出しの様に何かのスープを子供達に配っている。


「あれは何をしてるんですか?」


下にいる人達を見ながらそう質問をすると、


「…食事に決まっているだろう」


リエスさんが俺の質問に答えてくれる…。

しかし俺の視界に映るのは、器いっぱいに注がれたスープを子供達が飲んでおり、残った少ない量のスープを大人達が分け合っている光景だ。

昨日シェーファと会話した事を思い出す。


「食糧不足…か」


俺がそう呟くと、リエスさんと女性が少し警戒した様子を見せる。

おそらく自分達の状況を俺に知られた事で、そこが弱点になってしまうのかもしれないと思っているのだろう。

だが、食糧不足に陥っているにも関わらず俺に保存食を渡してくれたリエスさんには、恩を返さないといけない。

俺はそう思い、


「下へ行く事は出来ます?俺が降りる事で皆が食事をする事が出来ないのなら、これを下へ持って行って欲しいのですが…」


シェーファとの話を思い出しつつ、アイテム袋から植物系の食材を出し始めた。


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