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威圧スキルを発動させエルフの人達と敵対していた人達が倒れると、弓を構えていたエルフの人達が驚いた様子で弓を少しだけ下ろす。

おそらく突然の事で驚いて、弓を構えた状態を僅かに緩めてしまったんだろう。

俺がそう分析をしていると、


「うそ…」

「…何をした?奴らに予め毒でも盛っていたのか?」


後ろにいる2人の内の1人が、そう言って何やらゴソゴソしているのが聞こえた。

何をしているのか分からず、少し不安に思いながらも、


「毒なんて盛ってませんよ。威圧スキルを使って気絶させただけです。発狂はさせていませんし、起きるのもすぐだと思いますので、早めに拘束した方が良いですよ」


事実を述べて、そう進言をする。

俺の言葉を聞いた背後の人は、


「信用は出来ないが、確かに今の内に拘束しておいた方が良いな」


俺の言葉を信用はしていないが、確かに状況は今彼らを拘束した方が良いだろうと察したのかそう呟き、


「この男の見張りを頼む」

「任せとけ~!」


仲間にそう指示を出して、俺の横を通り過ぎて茂みから出て行く。

その際に彼女の横顔を見ると、キリッとした横顔が見えた。

そして俺の横を通り過ぎた際に見える後ろ姿は、短く切られた髪が揺れている姿が確認でき、エルフ特有の細長い耳も見えた。

髪の色は黄緑の様な感じであり、エルフにも様々な髪の色がある事を理解する。

ゲームだと、金髪一択しか無かったからな。

仲間に出来たエルフの髪の色はカスタマイズ出来るらしいが、俺はシェーファしか仲間にしていないしそのシェーファの白に近い金髪が綺麗で好きだから変えなかったしな…。

俺がそう思ってエルフの女性の後ろ姿を見ていると、


「僕達を連れ去る為に来た人って訳では無いの~?」


もう1人の背後の人がそう質問をしてくる。


「そうですね。色々と…本当に色々とありまして、ここに住んでいるエルフの方達と話し合いの場を設けたいと思って、ここまで来たんですが…。タイミングが悪かったですね…」


背後の人の質問にそう答える。

先程俺の横を通り過ぎた人と違って、今後ろにいる人は少し俺の話を聞いてくれそうな気がする。

俺がそう思っていると、


「確かに悪いねー。ただでさえ人手が少ない今に、こんなにいっぱい人が来てさー」


そんな事を言ってくる。

人手が少ないのか、何か理由があるのだろうか?

俺がそう思っていると、


「お、あっちも終わった感じだぁ」


背後の人が嬉しそうに言う言葉を聞いて、俺は少し視線を元に戻す。

そこには、木の上にいたエルフの人達が紐の様な物で男女らを拘束し、持っていた装備を一か所に集めている。

そして俺の横を通り過ぎたエルフの女性が、木の上にいた人達と俺の方を指差しながら何かを話している。

どうやら俺の存在を教えている様だ。

敵対する意思がない事を、伝えてくれると嬉しいのだが…。

信用してないと言われたし、もしかしたらこのまま気絶しているあの人達と同じ様に拘束されるかもな。

顔や服に泥を付けた状態のまま拘束されている人達を見ながらそう思っていると、エルフの集団が俺の元へと向かってくる。

さて、少しだけでも良い方向に話が進んでくれていると嬉しいのだが…。

俺がそう思っている内に、俺の目の前の茂みを掻き分けて俺の事を見てくるエルフの女性達。

皆が鋭い視線を送ってくる…。

すると、彼女達の肩辺りから淡く光る物体が俺の方に飛んでくる…。

な、なんだこれ?

俺がそう思っていると、


「…火の精霊、風の精霊、水の精霊、土の精霊の力を感じる。何で?」


淡く光る物体からそんな質問をされた。


「た、多分俺が召喚士(サモナー)で、精霊達と契約しているからだと思う」


よく分からないモノの質問に返答すると、


「…私達とは異なる力を使って、精霊を使役しているという事か…」


俺と光る物体の会話を聞いていたエルフの1人が、俺の事を分析してそう呟く。

エルフの人達は、精霊を使役しているのか?

俺がそう思って少し視線を彷徨わせると、1人1人のエルフの近くに飛んでいる物体が見える。

すると、


「…ひとまず、怪しい事に変わりは無い。だが、抵抗の意思が無いのなら、拘束する事はしないが?」


どうする?

とでも言いたげな様子で、エルフの女性がそう言ってくる。

彼女のその問いに、


「なるべく穏便に貴女達と話し合いをしたいと思っていますので、抵抗するつもりはありません。…話し合いに前向きに考えてくれると個人的には助かります」


俺はそう返した。

すると、女性達は拘束した者達を連れて行く班と、俺をどこかへ連れて行く班で分かれ行動を開始した。

最初に俺の背後に回ったエルフの女性と木の上にいた女性達の内の1人が、俺の前を歩きつつも少し警戒しているのかチラチラと俺の様子を窺ってくる。

警戒されるのは仕方がないと思い、俺は特に気にする事無く彼女達の後を追いかける。

すると、一瞬森に生えている樹木が動いた様に見えて歩みを止めてしまう。

歩みを止めると同時に気配察知スキルを発動してみるが、木が動いている様に見えた場所から生き物の気配を感知する事は出来ない。

ただの見間違いだろうかと思っていると、


「…何をしている?」


前を歩いている2人の女性が、立ち止まった俺に警戒してか弓を握る手に力が込められたのが分かる。


「いえ、今あの辺で木が動いた様に見えたんですけど…」


警戒を強めた2人のエルフに、森の方向を指差しながらそう言うと、


「………気のせいだ」

「速く進むぞ」


2人は少し視線でアイコンタクトをすると、俺にそう言って先に進んでいく。

何やら知っている様だが、それを俺に教えるつもりは無さそうだ。

もしここがエルフ達の管轄する森ならば、おそらく何かしらの秘密にしたいモノがあるのかもしれない。

それが木が動いた事なのか、その先に何かがあるのかは分からないが…。

俺はそう思いながら動いたと思われる木の方向を少し見つめた後、さっさと来いと言ってくるエルフの後を追いかけ始めた。

森は奥へ奥へと進んでいくにつれて倒木やそれに生えている苔が見え、視界がどんどん緑に染まっていく。

少しして広くは無いが拓けた場所に辿り着くとそこは、


「…面白い」


木に直接階段を取り付けた様な家があり、そこを問題無く歩いているエルフ達が見えた。


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