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ブルクハルトさんの商館を後にした俺は、無理かもしれないと思いつつアイテム屋に移動していた。

一応ブルクハルトさんの説明を聞き、ある程度は方角を覚えた俺ではあるが、それでもやはり全てを覚える事は出来ない。

それ故に、アイテムを売っている道具屋で地図を買おうと思っていたのだが…。


「…無いんですか?」

「帝都周辺の地図はありますが、他の国すら描かれている地図となりますとうちでは扱っていませんね。何しろ高いですから…」


道具屋に来て質問をした結果、ブルクハルトさんが持っていたサイズの地図になると高く普通のお店では売っていないと言われてしまった。

聞くと、売っている専門店があるそうなのだが値段が桁で違い、帝都周辺の地図を買い周りの国に寄って周辺の地図を買った方が数は多くなってしまうが、安く手に入ると教えてくれた。

その方が良いだろうと俺も判断し、その道具屋で帝都周辺の地図を買った。

地図を買った俺は、まず帝都を出て平原へとやって来る。

買った地図を見ると、ギリギリ周辺の国が書かれている所がありそこから順番に進んでいくか、それとも地図を買わずにとりあえずある程度の方角に進むかを考える。

そうして少し悩んだ末、俺は周辺諸国に行って少しずつ目的地を目指す事にし、カルラを召喚して空へと旅立つ。

カルラに方角とあまり飛ばし過ぎない事をお願いし、ブルクハルトさんが部屋を出る時に言ってきた言葉を思い出す。

エルヴァンが、帝都の王族の目に留まったという話。

もしそれが事実ならば、前にアンリが盗み聞きをした冒険者ギルドのギルドマスター?か何かが言っていた通り、騎士団団長の候補者として呼ばれるだろう。

本当にそうなるかは分からないが、もしそうなった時の作戦は考えてある。

俺がそう思っている内に最初の国の上空に辿り着き、カルラに頼んで少し離れた川の元まで運んでもらい、俺は帝都から近い最初の国に入国する事が出来た。

冒険者カードのお陰で身分を証明する事が出来、特に怪しまれずに検問を通る事が出来た。

街並みは帝都とあまり変わらないな、人は多いけど普通に歩けるし。

そう思いつつ少し視線を脇に逸らすと、虐げられている亜人族の人や子供の姿も無い。

この国は奴隷とか少ないのだろうか?

そんな事を考えながら道具屋を検問所で予め聞いておいた故に初めての国でも迷う事は無く、俺は案内された通りに道を歩いて道具屋に辿り着く事が出来た。

店の扉を開けて中に入ると、


「…いらっしゃい」


少し乱雑に置かれている道具の数々の奥に、ぶっきらぼうに挨拶をしてくるおじさん店主がいた。

店主の元に行き、


「地図はありますか?」


そう質問をする。

すると、


「…その棚にあるよ」


面倒そうに紙の束が置かれている棚を指差す店主。

…帝都の道具屋が凄く良い人なのが分かるな。

俺はそう思いつつも、


「ありがとうございます」


上辺だけの感謝の言葉を伝えて、指差された棚の紙の束の中から地図を探す。

少しして、帝都で買った地図と同じ様な絵柄の地図を見つける事が出来た。

面白いな、帝都がしっかりと書かれている。

でもその所為で、地図が見辛い。

距離感が少し悪いと言うか、帝都とこの国ってこんなに近くないだろうと思ってしまう。

しかし文句なんて言っている場合でも無いし、第一道具屋の店主に文句を言うのは意味が無いしお門違いだろうと思い、


「これを買います」


そう言って店主に見せる。

俺の言葉に対して、銀貨を請求してくる店主。

あまり良い印象では無かった故に、不当な金額を請求されるかと思ったが大丈夫だった。

帝都の道具屋で買った物と同じ値段であり、俺はそれを購入して道具屋を後にする。

ブルクハルトさんが国の名前を言っていたが、ここは何て名前だったかな?

そう思っている内に国を出る。

俺の事を検問してきた騎士の人が、不思議そうに俺の事を見てきたのが面白かった。

彼からしたら、国に入って来て十数分で国を出るおかしな人物だと思われただろう。

さて、ここからは山々を超えなければいけないな。


召喚(サモン)、カルラ」


俺はそう思いつつ、カルラを召喚して彼女にまた方角を言ってから彼女に跨る。

俺が背中に乗った事を確認したカルラは、一鳴きしてから空へ駆け出す。

あぁ、羽毛の芯がある硬さとフワフワ感、少し獣の匂いがありつつも優しい匂いが彼女から溢れている。

空を飛んでいるカルラから振り落とされない様にしがみ付きながらそう思っていると、


「ピィィ~ッ!!」


カルラが警戒した様な声を出す。

彼女の体から頭を離して顔を上げると、少し前から何かが飛んでいるのが見える。


「こっちには気づいていなさそうだな。カルラ、少し面倒だが遠回りで飛ぼう。今戦闘するのは面倒だ」


俺はカルラにそう指示を出し、少しだけ周りを警戒する。

戦うのが面倒と言うのもあるが、それに加えてカルラの上で戦闘するという事が怖い。

普通に上空から落とされそうだ。

俺がそう思っていると、カルラは俺の指示に従って少し飛んでいる軌道を変えてくれた。

それから少しの間山脈の上空を飛び、山が終わるのと同時に山に沿う様に作られた城と街があるのが見えた。

山と同化しているその国の壮大な光景に、少し感動してしまう。

何というか、ゲームの最後の街みたいな感じがする。

帝都より、こっちの光景の方が威厳を感じられるが…。

俺はそう思いつつも、


「カルラ、頼む」


カルラにそうお願いをする。

もはや細かな指示をする必要も無いのだろう、俺の言葉を聞いただけでカルラは国から少し離れた場所に降り立つ。


「カルラありがとう。今日は終わりにする、ゆっくりと休んでくれ」


俺が感謝の言葉を伝えると、カルラは俺の腹に頭を擦り付けて一鳴きした。

カルラを帰還させた俺は少し遠くの位置から改めてその国を見ると、城下街に入る為の門が凄く大きい事に気がつく。

帝都の検問の門は、縦も横もあまり大きくなく最低限の通行できる幅しか無かった。

しかし目の前にある門は、おそらく高さだけで帝都の建物と同じくらいの高さかそれ以上だと思う。


「…凄いな」


俺はそう呟きながら、門に近づいて行く。


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