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俺の言葉を聞いた瞬間、シェルガさんを含めて皆が静かになった。

すると、


「私はアンリ君ちゃんで良いけどな~!むしろアンリ君ちゃんじゃないと駄目~!ほらあんたも言ってやんなさいよ!」

「…ぽ、ぽぽぽぽ」


外からそんな声が聞こえてくる。

あの声は案内をしてくれたハーピーと、八尺様の声だ。

すると、2人の言葉から自分達の趣味嗜好の話に盛り上がり始める女性達。

そんな俺の言葉を聞いたシェルガさんは、少し考える様な素振りを見せる。

このまま丸め込めれば良いのだが…。


「…悪くはない話だが、それでも貴様達は信用する事は出来ない」


やはり、そう簡単には納得してくれないか…。

俺がそう思うと、


「…ヴァルダ様、発言してもよろしいですか?」


アンリが少し手を挙げてそう聞いてきた。

発言をしないように言っていた訳ではないが、気を使って声を発しない様にしていたのか。

俺はアンリの事を見ながらそう思い、


「構わないぞ。むしろ彼女達はアンリに対して熱中している、アンリが何か言ってくれた方が良いかも知れない。気を使ってくれてありがとう」


アンリに感謝の言葉を伝える。

それを聞いたアンリは少し嬉しそうな表情をすると、


「信用する事が出来ないのなら、信用して貰える様に努力するつもりです。信用してくれるまで、僕の事を連れて行っても構いません。ただ、僕もヴァルダ様に頼まれた重要な事をしていますので、僕の意思でここへ連れて来て貰えると助かります」


真剣な表情でシェルガさんを見て、自分の彼女に意思を伝えた。

…心配ではあるが、アンリの意見を尊重したい故に俺は黙っておく。

アンリの言葉を聞いたシェルガさんは、


「その言葉すら、信用できないと言っている」


ハッキリとアンリの意見を信用できないと断言する。


「僕が逃げるかもしれないと思うのなら、それは絶対にありません。今僕はヴァルダ様の指示の下、ジーグから離れる訳にはいかないのです!僕の忠誠心を、信用する事は出来ないですか?」


アンリが更に積極的に話を進めようとするが、それでもシェルガさんは疑った表情をしている。

すると、


「シェルガ~、そろそろこの人達の意見を聞いてあげても良いんじゃない~?たまに来てくれるなら、その時に何しても良いんじゃない?これ以上この子達の意見を聞かないで、完全に逃げられたら元も子もないよ~」


外から俺達を気遣っている様な言葉が聞こえてきた。

少し気が抜けている様なハーピーが、シェルガさんを説得しようとしている。

それに続いて、


「ぽぽぽぽ、ぽぽぽぽぽ」


八尺様の声も聞こえてくる。

のだが、俺とアンリの彼女の言っている言葉が分からない…。

すると、シェルガさんの意見に賛同してハーピーや八尺様の意見に反対する声が挙がる。

外の声が激しく言い争いに発展し始めそうになっていると、


「…静まれ」


シェルガさんが威圧スキルを発動しながらそう呟いた。

その呟きだけで、建物の外から聞こえていた声が一瞬で聞こえなくなった。

そして、


「………奴に感謝するんだな」


シェルガさんはそう言うと、俺とアンリの脇を通り過ぎて建物から出て行った。

…とりあえず、保留という事だろう。

俺がそう思っていると、


「大丈夫~?シェルガは強いから偉そうな態度してるけど、あれも皆と自分の事を考えてたからなんだよ~?だから許してね~?」


ハーピーがトコトコと建物の中に入って来て、にへら~と顔を緩ませて笑顔でそう言う。

何だろう、この顔を見ると癒される。

俺がそう思っていると、


「はいこれ、歓迎の品だよ~」


ハーピーがそう言って、最初にアンリが身に着けていた羽毛の塊を渡してきた…。


「あ、ありがとう」


感謝の言葉を伝えると、


「ささ、ここは当分使う事は無いだろうし、後で皆で掃除するから出ていこ~」


ハーピーはそう言って建物から出て行く。

俺とアンリも彼女の後に続いて建物から外に出ると、


「ヴァルダ様」


アンリがそう声を掛けて来た。


「どうしたアンリ?」

「ヴァルダ様、申し訳ありません。僕が変な事を言ってしまった所為で、シェルガさんが怒ってしまいました…」


どうやらアンリは、自分の発言で話し合いは中途半端なところで終わってしまったと思っている様だ。


「謝る事など無いぞ、アンリ。むしろアンリとハーピーの彼女のお陰で、決裂しないで話し合いが終わったと思う。今は彼女の信頼を得られる様に、頑張るしかなさそうだな」


俺がそう言うと、アンリはやる気を出す様に両手で両頬を少し叩くと、


「僕、ここの人達に信用して貰える様に頑張ります!」


決意を語ってくれた。

…俺ももっと頑張らないとな。


「まずは、アンリのするべき事を改めよう。…すみません、えっと…」


俺はアンリと話し合いをする為に、落ち着いて話が出来る場所を聞き出そうとし、前をどんどん先に進んでいくハーピーの彼女を呼び止めようとするが、彼女の名前が分からず言い淀んでしまう。

言葉を詰まらせていると、


「そう言えば、名前を教えてなかったね~。ジャブジャブって言うんだよ~」


ハーピーが自身の名前を告げた…。

ジャブジャブって、あの不思議の国のか?

一体、どういう事だ?

リアルで知られているモノが、この世界に存在しているというのは何故なんだ?

八尺様に、ジャブジャブ。

名前を知った2人が既に日本でも知られている名前だ。

謎がどんどん深まっていくな。

俺はそう思いつつ、


「俺はヴァルダ・ビステルです。…ジャ、ジャブジャブさん。どこか落ち着ける場所はありますか?」


何とか自分の名前を告げて、落ち着ける場所が無いか聞いてみる。

すると、


「じゃあ、私の家に来てよ~。ハッシャクも~」


ジャブジャブさんがそう言い、


「ぽぽ」


いつの間にか背後にいた八尺様も、ジャブジャブさんの言葉に答える。

それにしても、ジャブジャブさんって呼ぶのも変な感じがするな。

すると、


「よろしくねヴァルダくん~。じゃあ私の家行こ~」


ジャブジャブさんはそう言って飛び立つ。

その瞬間、


「僕は良いですけど、ヴァルダ様にくん付けで呼ぶのは駄目です~ッ!」


アンリは飛び立つジャブジャブにそんな事を言い放った…。

…アンリ君ちゃんも、結構凄い呼ばれ方だと思うのだが…。


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