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ハーピーの援護のお陰で少しだけなら話を聞いてくれる事になった俺達は、シェルガ様と呼ばれていた女性の案内で、俺達は話し合いをする為に移動を開始した。

移動をしながら、俺は狭間の町を観察する。

建物はジーグの様に平屋の建物が多く、素材も木材や藁などで作ってある感じだ。

今は俺とアンリに集中している所為か騒がしいが、それでも見た感じあまり人が多い様には見えない。

夜空の様に空は真っ黒なのだが、それでも様々な物がしっかりと見えるくらい明るく感じる。

それと、何だか甘い変な匂いがするな…。

俺がそう思っていると、


「入れ」


どうやら目的の場所に着いたらしく、俺とアンリはシェルガ様と呼ばれていた女性に続いて建物の中へと入る。

失礼しますと俺とアンリが声を揃えて中に入ると、中は普通の民家の様な感じだ。

ここで生活していると言っている様に、布団が乱雑に置かれて何やら芋の様な細い物が齧られた状態で放置されている。

正直に言うと、少し汚い…。

俺がそう思っていると、シェルガ様と呼ばれた女性が布団を家の隅に払う様に蹴り飛ばして場所を確保すると、


「好きに座れ」


そう言いつつ、自分はまるでこの部屋の主の様に蹴り払った布団の上に座る…。

仕方がなく、俺とアンリは先程まで布団があった場所に座る。

…この家の周りから凄まじい人の気配を感じ、それと同時に視線を感じる。

視線を感じる方向を見ると、建物の木材の隙間から俺達の事をジッと見つめる瞳が見えた…。

単純に怖いし、外からでも中の状態が丸見えなこの建物の主はそれで良いのだろうか?

俺がそう思っていると、


「それで、話とは何だ?」


シェルガ様と呼ばれた女性がそう聞いてきた。

俺は彼女の言葉を聞き、とりあえず外の人達は放っておこうと考え直し、


「改めて、俺はヴァルダと言います。この子はアンリ。手短に話しますと、アンリを気に入ったのか、今回で2回貴女の仲間に攫われています。しかし今アンリはとても重要な事を成し遂げようとしています。それを邪魔される訳にはいかないので、アンリを攫う事を止めて貰えないでしょうか?」


そう簡単に事情を説明し、俺の要求を包み隠さず願う。

回りくどい言い方をして、彼女の機嫌を損なわない様にしないとこの事は解決しないだろうと思う。

俺がそう思っていると、


「…我はシェルガ、この狭間の町の管理をしている者だ。………何故我らが貴様達の都合を考えて行動しなければならない。我らは種を存在させ続ける事しか考えていない」


シェルガさんがそう言って、退屈そうな顔をする。

それにしても、それしか考えていないと断言するとは…。


「故に我らは、外から手頃な男を連れ去り種を存続させ続けてきた。喜べ、貴様達はここで一生我らとまぐわい続ける事が出来るのだ。働く事も必要とせず、ただ食べまぐわうだけ。死ぬまでだ」


…確かにシェルガさんも含めて、美形な女性しかいないから普通の男達からしたら嬉しい事かもしれないな。

しかし、


「ありがたい話ではありますが、俺を含めアンリもそういう訳にもいかない立場故、見逃してはくれないでしょうか?もしくは、代わりの者を連れて来ると言うのはどうですか?」


俺はそんな生活をしたい訳では無い。

そんな生活をしてしまったら、塔の皆に顔向け出来ない。

俺がそう思っていると、


「…許さぬ、男の選定はハッシャクに任せている。この町の住人は選り好みする者が多いが、その子供の様な者は万人受けをする。貴様は返しても良いが、子供は置いて行け」


シェルガさんがアンリの事をチラッと見ながらそう言った。

俺もアンリの事を見ると、少し怒っている様な表情をしているアンリ。

それもそうだろう、アンリは見た目は子供と変わらないが歳は結構上だ。

なのに子供だと言われてしまったら、怒る気持ちも分かる。


「その話に乗る訳にはいかないです。アンリは俺の大切な家族、彼をただの道具の様な気持ちで見ているのなら、今すぐにでもここから出ていきます」


俺は彼女の言葉に強気で返す。

一切の相談する気はないと思わせる様にする。

しかし、


「ここから逃げられると思っているのか?ここは我らが同伴でないと出入りが出来ぬ場所だ」


シェルガさんも、相談する気はないと暗に言っている。

それに対して、


「アンリは一度ここから一度出てきています。今貴女と話しているのは、俺達の行動の邪魔をしないと言う約束が欲しいのです。貴女達が種を存続させたい気持ちは分かります。その為に人を攫うのも、一応理解出来ます」


俺は事実を述べつつ、シェルガさんも含めた狭間の町の住人達の状況を理解している事を伝える。

俺の言葉を聞いたシェルガさんは、そうだろうと言う様に少しドヤ顔の様な顔をして何度も頷く。


「しかし、それはアンリでなければいけないという訳では無いですよね?」


そんなシェルガさんに、俺は彼女達に必要なのはアンリでは無く好みに合う男だという事を指摘する。

指摘された言葉を聞いたシェルガさんは、苛立った様な表情をすると、


「これ以上の会話は無駄だ。今ここで押し倒して快楽を知れば、そんな戯言を言う事も無くなるだろう。元々ここはその為の家だ」


布団から立ち上がる。

何というか、凄く欲望に素直な人…達の様だ。

シェルガさんの言葉を聞いて、家の外から歓声が聞こえる…。

家を叩いているのか、壁から凄い音がしている。

俺はそう思いつつも、彼女達と平和的に解決する方法は無いか考える。

このままでは、話し合いは終わりまたアンリが攫われる事に緊張しながら生活してしまう事になる。

………あっ!

俺はある事を閃いていると、まるで獲物を狙うモンスターの様にゆっくりと相手を威圧するかの様にこちらに向かってくるシェルガさん。

そんな彼女に俺は、


「取引をしませんか?アンリは万人受けすると言っていましたが、やはり皆それぞれが好きな相手の特徴があると思います。…俺に協力してくれるなら、貴女達にはそれ趣向に合った人を連れて来れる様にしてあげます」


そう切り出した。


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