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センジンさんの言葉を聞いた俺は、悪ガキ達を少しでも大人しくさせようとした戦鬼さんの考えなんだと察するが、まさか本当に出てきてしまうとは思ってもいなかっただろう…。

もしかしてアレか?

そういう妖系は大人子供関係なく噂が大きくなっていったから、存在をしっかりと作り出せる様になったとかか?

もしそれが本当なら戦鬼さん、大変な存在を創り出しましたね?

俺がそんな事を思っていると、


「意味深にアンリを見て消えたって事は、またアンリを攫いに来るって事だよな?」


センジンさんがアンリを見ながらそう言ってくる。


「おそらくそうでしょうね。…どうにかしてアンリの事を諦めて貰うしかないか?」


俺はセンジンさんの言葉に同意し、今後の事を考え始める。

今アンリを連れて行かれるのは困る、しかし向こうは俺達の都合を考えている様子は無い。

どうにかして話し合いは出来ないだろうか?

俺がそう思っていると、


「ヴァルダ様。騎士さん達の情報がどうなっているのか確認しに行きたいんですけど…。行っても大丈夫でしょうか?」


アンリがそう聞いてくる。

今アンリを1人にするのは危ないよな…。

俺はそう思い、ならばアンリにくっ付いていれば良いのだと考える。

アンリの仕事を邪魔せずに、アンリを連れ攫おうとしている者達が動いたらすぐに動ける場所にいれば良い。


「大丈夫だ、俺はアンリの事を遠くから監視している。アンリが連れ攫われそうになったら、アンリに触れるなどをして一緒に巻き込まれて連れて行ってもらおう。帰りの事は、狭間の町に行ってから考えるとしよう」


俺がそう言うと、


「…今はそれに賭けるしかないな。狭間の町の住人から逃げながら準備を進めていくなんて、時間が倍に掛かっちまう」

「では、行ってきますね」


センジンさんも俺の意見に賛同し、アンリは俺とセンジンさんに一礼して部屋から出て行く。

俺はアイテムを入れている袋から、毎度お馴染みアンジェの指輪を取り出すと、


「センジンさんは、センジンさん達が出来る事をお願いします」


俺はセンジンさんにそうお願いをしてアンリの後を追いかける。


「分かった。気をつけてくれ」


センジンさんの忠告を背中で受け止め、俺はアンジェの指輪を装備してアンリの後を少し離れた距離から付いて行く。

アンリは町の人達と挨拶をしながら歩いていき、ここへ来た時に慌てていた様子だった人にはどこにいたんだと問い詰められ、それを笑顔で誤魔化しながらどんどん進んでいく。

どこに行くのだろうか?

俺がそう思っていると、アンリはそのまま町から出て港に続く獣道を歩き始める。

そうして獣道を進み終えて港に着くと、更に港にいる普通の人達に何か話を聞いている様だ。

真面目な表情で相手の話を聞いているアンリの横顔を見て、こういう感じで過ごしているんだなと思いつつも、八尺様と呼ばれているあの高身長の女性が姿を現さないか注意して周りを見る。

おそらくアンリを攫うなら、誰も見ていない獣道が怪しいと思っていたのだが、特に何かをしてくる事も無かった。

帰り道も気をつけないととは思うが、いつ来るか分からない相手を待ち構えるのも大変だな。

そうしている内にアンリは用事を終わらせたのか、話しかけていた人から離れてまた違う人に話し掛けに行く。

そうしてアンリは港にいる人達との話が終わった様で、移動を開始した。

俺も普通に歩いているアンリを離れた距離から追いかける。

しかし結局獣道ではアンリを攫おうとする者はいなく、町まで戻ってきてしまった…。

すると、今度は前に俺が泊まった宿屋にアンリが入って行く。

慌てて扉が閉まりきる前に、滑り込む形でアンリに続いて宿屋に入る。

宿屋に入ると、階段を上って2階へと行きある部屋の前に立つとノックをし、中から声が聞こえるとアンリは俺を気遣ってか部屋の扉をゆっくりと開けて中に入り、ゆっくりと扉を閉じた。

中にいるのは、1人の人族である。

俺が部屋の者を見ていると、


「書類の製作はどうですか?見せて下さい」


アンリがそう言って男に向かって手を伸ばす。


「これが、今度帝都に送る書類です」


アンリに手を伸ばされた男は、少し虚ろな表情でテーブルに置かれている書類をアンリに差し出す。

書類を受け取ったアンリが書類に目に通す様子を見て、中身の字が読めるのだろうかと疑問に思ってしまう。

すると、


「一応、これと同じ物をもう1つ作って下さい」

「分かりました」


アンリがそう指示を出して、男はそれに従って動き始める。

男が書類を書き写しているのを見ていると、アンリはそれを待つ為にベッドに座る。

…俺は立ったままの方が良いな、おそらくアンリも狭間の町の住人を誘き出すために敢えて油断している姿を見せているんだろう。

俺はすぐに動ける様に、立っておいた方が良いな。

俺はそう思うと、ただ周りの警戒しながら男が書類を書き写して終わるのを待つ。

そうして時間は過ぎていき、


「終わりました」


男はそう言って書き写して終わった書類をアンリに差し出す。

ベッドから降りて男に差し出された書類を受け取ると、


「僕が良いと言うまで、その書類は出しては駄目ですよ。それとこれは貰って行きます。ありがとうございました」


アンリはそう言って要件が済んだのか、部屋からまた俺を気遣ってゆっくりと出て行くと、宿屋を後にしてセンジンの家に向かい始めた。

これで、終わりなのだろうか?

狭間の町の住人も、今日すぐに行動を起こしてくる訳では無いか?

俺はそう疑問に思いつつ、アンリの後を付いて行く。

相変わらず屋敷に行くまでの道は結構入り組んでいるな。

俺がそう思った瞬間、


「ぽぽ」


十字路の真ん中にアンリがおり、その右から突然現れる女性。

気配はしなかった、どうやってこんなに近くまで接近したんだ!

俺はそう思いつつも、アンリに触れようとしている女性よりも速くアンリに触れる。

アンリもやはり突然現れた女性に驚いて固まってしまっている。

そう思っているうちに女性がアンリの腕にそっと触れた。

瞬間、先程までいた建物が建ち少し見晴らしが悪かった十字路とは全く別の空間へと移動していた…。


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