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ヴァルダとエルヴァンが帝都に戻るためジーグを旅立った後、森に残ったアンリは…。


「剣聖さんの外見でも、戦い方でも何でもいいので情報を出してください!」


ヴァルダ達の監視を行っていた騎士を眷属にして、情報を引き出そうとしていた。

しかし…。


「分かりません。剣聖様には、私はお会いする事が出来ませんから…」


騎士は虚ろな表情でそう呟き、フラフラと立ったままの状態でアンリの次の指示を待つ。

アンリは騎士の言葉を聞き、


「剣聖さんの仲間なのに、会った事ないなんて…。やっぱり楽をしようなんて考えない方が良いですね。コツコツ地道にやっていきましょう」


そう独り言を呟くと、


「とりあえず、今まで通りの業務について教えてください」


情報収集を開始した。

しかし騎士から聞いた情報を聞いたアンリは、自分が思っている以上に剣聖側の慎重さがある事を知り、


「まさか、この人は僕達の監視以外の仕事をしてないなんて…」


一人森で項垂れていた。


「これは、思った以上に長期戦になりそうです…」


アンリはそう呟くと、目の前で立って次の指示を待つ騎士に、


「とりあえず元の業務に戻ってください」

「分かりました」


そう指示を出し、騎士も今まで通りに動き始める。

アンリは去っていく騎士の後姿を見つつ、


「剣聖に辿り着くには、その人に近しい人を無差別に眷属にしていくしかなさそうですね…」


そう呟き、スキルを使用して分裂体を作り出すと、蝙蝠の姿に変えて去っていく騎士の監視の為に後を追わせる。


「さて、次は僕が情報を流す為に連絡をしていた人ですね」


アンリはそう言うと、森を抜けて港に戻りいつも定期的に情報を流している相手を探す。

人族がいるだけでも目立つこの国で、目立たずに港にいる者は…。


「こんにちは。()()()()()()()()?」

「今日も特に何もないね~?()()()()のか、良い当たりが全然だ」


港の端の方で釣竿を握っている男。

彼こそ、アンリが定期的に嘘の情報を流している騎士の1人だ。

アンリは彼の隣に座ると、


「新しい客が増えてたらしいが、どんな理由で来たか知ってるか?」


男がアンリにそう問う。

それを聞いたアンリは、彼が聞いているのはヴァルダの事と察し、


「センジンさんとお話しをしていましたから、僕達は詳しい事は分かりません」


そう言う。

それを聞いた男は、


「…今の状況で亜人共の頭が会うとなれば、情報を知っている可能性が高いな。人族ではあるが、もしかしたら獣共に加担するゴミかもしれない。捕まえッッ何しやッ…ぐわッ………」


そう言葉を話そうとしたが、


「ヴァルダ様に危害を加える事をする気なら、僕は黙っていられません。さっさと僕の道具になってもらいます」


ヴァルダに敵対しようとした瞬間、それを聞いたアンリが瞬間に動いて噛み付くと血を吸い反対に自身のスキルを同時使用し、男を自分の駒にする事に成功する。

幸い港の端の方でいつも話しているお陰か人通りも少ない場所で、アンリが突然騎士に襲い掛かっても誰も気にしていなかった。


「うぇ、この人の血不味いぃ…。ちゃんと食生活を送ってくださいよぉ~」


アンリが少し舌を出しながらそう言うと、


「申し訳ありません。俺は肉しか食わないので、これからは野菜なども食べるようにします」


早速眷属にされた男が、棒読みに近い抑揚が無い声でそう謝罪をした。


「別に良いですよぉ、一回眷属にしちゃえば基本的には永続的にそのままなんで、もう2度と貴方の血は飲まなくて良いんですから」


アンリが男にそう言うと、


「さて、じゃあ貴方は剣聖さんに会った事はありますか?」


続けて質問をした。

それを聞いた男は、少し首を左右に動かし、


「会った事はありません。剣聖様に会えるのは、限られた騎士だけです。私もあともう少し昇級すれば、剣聖様に会う事が出来ます」


そう答えた。

先程の男と同様、彼も剣聖には会う事すら許されていない。

剣聖さんは、よほど慎重な人なんでしょうか?

それとも、貴族の方で下賤な者になど会いたくも無いって感じの人なんでしょうか?

帝都の貴族の方はそういう人も少なくなかったですし、あり得る事ですよね~。

アンリはそう思いつつも、


「じゃあ貴方の仕事は、僕達と剣聖さんに連絡をする騎士さんとの橋渡し的な役割なんですか?」


男に再度質問を投げる。

それを聞いた男は、


「そうです。それと同時に、俺はここで亜人族がどの様な物を仕入れて出しているのか見張る役もしていました」


アンリの質問にそう答える。

男の答えを聞いたアンリは、


「なるほど、何を国に入れて出しているのかを調べて、亜人族の企みがどこまで進んでいるのかを調べていたんですね?」

「そうです」


男にそう聞き、アンリの問いを聞いた男はアンリの言葉を肯定する。

この国から全ての物資を帝都まで運びながら動くのは、効率が悪いですからね。

奇襲を掛けられて、物資が燃やされでもしたら亜人族側の食料も装備も減らされてしまいます。

向こうもそれに気がついて、亜人族の皆さんがどういう動きをしているのか監視していたのでしょう…。

そうなると、早めに剣聖さんに辿り着かないといけませんね…。

アンリはそう思うと、


「貴方が知っている限りで良いので、貴方達剣聖さんの仲間の場所を教えて下さい」


男にそう質問をした。


「私が知っているのは、つい先日ここに入国した男の監視をしている者、それと獣共の頭、センジン・ムソウの館を監視している者、それと亜人族の物資に帝都への報告の書類を紛れ込ませる者です」


問いに答えた男の言葉を聞き、アンリは最初の人はすでに眷属にした男であると確信し、あと2人は眷属に出来る者がいる事を分かり、


「その人達の変装の服装や外見を教えてください」


男に更に詳しい情報を提示する様に求める。

男から仲間達の服装や外見の特徴を聞いたアンリは、彼にお礼と今まで通りに行動する事を指示した後、先にセンジンの屋敷を監視している者を見つけるべく歩き出した。

その瞬間、そんなアンリの事を見つめる視線がある事に、アンリは気がついていなかった。


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